塩化カリウムを多く含む,低ナトリウム塩中のカリウムの分析法として陽イオンクロマトグラフィーを適用した.陽イオンクロマトグラフィーの条件は,溶離液であるメタンスルホン酸の濃度を30 mmol/L とすることで,ナトリウムイオン,カリウムイオン,マグネシウムイオン,カルシウムイオンが分離することを確認した.カリウムの回収率99.8 %~100.2 %が得られた.また,1-50 mg/L の濃度範囲におけるカリウムの検量線は良い直線性が得られた.本分析法における真度,併行精度などの結果から妥当性が確認され,迅速かつ効率的な分析法として適用可能であることが示された.
天然水試料中のほう素定量のためのフローインジェクション分析( FIA) システムを開発した.安価で小型,簡便なシステムを構築するため,送液ポンプには小型で低消費電力のマイクロリングポンプを用いた.また,紫外線発光ダイオード( UV-LED) の光源と光電流の積分回路を用いる小型の蛍光検出器を開発した.この検出器の大きさは125×90×60 mm で,質量は400 g である.ほう素の高感度蛍光試薬として知られているクロモトロープ酸を用いた.反応コイル長,試料導入量などを最適化したところ,検量線の直線範囲はほう素として少なくとも0 ~ 0.5 mg L-1,検出限界( LOD) は0.017 mg L-1 で,1 時間あたり20 試料の定量が可能であった.河川水及び海水中のほう素定量に応用することができた.
富栄養化海水を栄養源とする不稔性アオサ属植物(Ulva sp.)の効率的培養生産を狙いに,アオサ属植物の高増殖条件の評価を行った.海上を模擬した培養装置を作製し,窒素制御環境下の培養装置でLeaf Area Index(LAI)に代わる指標として,培養槽底面の光合成有効光量子束密度(PPFD)を指標に比増殖速度の最大条件を検証した.その結果,培養槽底面の1 週間の平均PPFD は20.6 µmol m-2s-1 で比増殖速度が最高値を示し, 4.0 µmol m-2s-1 では比増殖速度は顕著に減少した.このことから,底面のPPFD を指標にアオサ属植物の密度を管理すれば,煩雑なLAI の計測が不要で,アオサ属植物の高い増殖速度を維持できる培養制御方法になるものと考えられた.得られた培養知見を元に簡便で生産効率の高い新たなアオサ培養システムを提案した.
相対湿度の変動周期を制御し,短期間で塩商品の固結性評価を可能とするための加速試験方法を検討した.固結現象は,水分の吸放湿による,結晶の溶解と再結晶が原因であるため,吸湿時における水分増加量が,固結強度に影響するが,さらに吸湿速度の影響を受けていた.具体的には,吸放湿時の水分の変化量を経過時間で累積した値が,固結強度と比例関係にあることから,相対湿度の変動周期を再設定し,固結強度の増加速度がこれまでの標準条件の3 倍となる条件が設定可能となり,従来,56 日必要であった試験期間を20 日へ短縮した.本方法により,様々な塩種の固結性評価が将来可能になると考えられた.
ウメ干し作製における食塩の添加量,および添加する食塩中の塩化カリウム含有量を変化させ,ウメ干し製造におけるウメ干しの保存性に与える影響について検討した.食塩の添加量が9 %のウメから真菌が検出され,保存効果の低いことが示された.一方,食塩の添加量を18 %一定として,市販されている低ナトリウム塩を想定し,塩化カリウム含有量の異なる食塩を用いてウメ漬けをした場合,いずれのウメからも一般生菌・真菌は検出されなかった.したがって,塩化カリウムは,塩化ナトリウムと同様に微生物数の増殖を抑える働きのあることが示唆された.このことから,塩化カリウム含有量の異なる塩を用いることで,保存効果を保ちつつ,低ナトリウムのウメ干しを作製できることが示唆された.