Synthesiology
Online ISSN : 1882-7365
Print ISSN : 1882-6229
ISSN-L : 1882-6229
3 巻, 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
研究論文
  • - 新規半導体デバイス開発における産総研の役割 -
    荒井 和雄
    2010 年 3 巻 4 号 p. 259-271
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
    SiC半導体のパワーデバイスの実現は、その省エネルギー効果により大きな期待が持たれている。SiCのような新規半導体のデバイスとしての実用化には、乗り越えなくてはならないいくつもの技術上の壁がある。産総研が関与した国家プロジェクトを中心として、15年を越える実用化に向けての研究開発活動を、産総研内の組織の変遷に対応させて、1)研究目標、2)個別課題の設定と解決のための戦略およびその成果、3)戦略の妥当性の評価に分けて記述し、最後に今後の課題について述べる。
  • - マイクロ波プラズマCVD法による大型化とウェハ化技術 -
    茶谷原 昭義, 杢野 由明, 坪内 信輝, 山田 英明
    2010 年 3 巻 4 号 p. 272-280
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
    ダイヤモンドは超高圧安定相であることから大型結晶の合成が困難であり、応用は工具など硬度を利用した用途に限られていたが、大きさとコストの課題をクリアできれば、その用途は計り知れない。特に究極の半導体と称され、半導体開発ロードマップ上では、炭化ケイ素SiCや窒化ガリウムGaNの次に位置している。高温動作が可能であり、物質中最高の熱伝導率が活かせるパワーデバイスが実現すれば、例えば、車載用インバータを冷却フリー化でき、低電力損失と冷却システムの軽量化の両面から省エネに貢献できる。本稿では、大型化が可能な気相合成による単結晶ダイヤモンド合成と難加工材であるダイヤモンドをウェハ形状にする技術開発について述べる。
  • - 陸と海を統合した地球化学図の作成 -
    今井 登
    2010 年 3 巻 4 号 p. 281-291
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
    日本全土における海と陸の元素分布を調査し、日本の地球化学図を初めて作成した。これにより日本列島の海と陸のバックグラウンド値が明らかになり、陸から海への元素の連続的な流れを知ることができるようになった。地球化学図作成に用いた試料は、陸では河川堆積物3,024個、海では海底堆積物4,905個で、分析した元素はヒ素、水銀、カドミウムなどの有害元素を含む53元素である。この研究では、特定の地域で確立した方法を適用し、現実的な実施可能性を考慮した発想の転換により一挙に全国カバーへの展開を実現し、陸域から海域、さらに土壌へと対象を拡大している。地球化学図は、人間・産業活動による土壌や海底堆積物の汚染の評価にも使用される。また、結果は出版やweb公開により、社会的なインパクトを与えている。本稿では、日本の地球化学図を作成するために採った研究シナリオを述べ、次に試料採取から試料処理、化学分析・元素濃度測定、地図作成、データ公開に至る一連の研究プロセスを述べる。
  • - 開発マネージメントと事業化について -
    池田 博榮, 小林 祥延, 平野 和夫
    2010 年 3 巻 4 号 p. 292-300
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
    日本が実用化の先鞭をつけた車のカーナビゲーションシステムは、今や全世界に広がりたいへん有用なものとなり、日本だけでも約5000億円/年を超える事業規模となっていると思われる。しかし、これを実現するためには、当時にはなかった全国のデジタル地図作成のための仕組みづくりと作成、交通情報を車に流す仕組みや米国によるGPS整備とその利用等環境整備が必要であり、これに多くの労力を割いた。またマップマッチング等位置検出技術、ジャイロセンサー、ディスプレー、メモリー、マイコン等ナビに必要なソフトウエア、ハードウエア開発が必要であった。今ではカーナビゲーションシステムは車載情報通信システムとして発展拡大している。まだ世の中に同システムに必要な要件が整備されていなかったところから始めた開発と事業化について、開発マネージメントの観点から述べる。
  • - 金属間化合物を活用した高機能硬質材料 -
    小林 慶三, 尾崎 公洋, 松本 章宏, 中山 博行
    2010 年 3 巻 4 号 p. 301-308
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
    セラミックス粒子を金属で結合した硬質材料は、わが国の高度加工技術を支える金型や工具の材料として利用されている。しかし、硬質材料は資源的に少ないレアメタルを大量に含むため、新しい材料開発が求められていた。そこで、Fe-Al金属間化合物を結合相とした硬質材料を開発した。この硬質材料は鋳造と粉末冶金の技術を組み合わせたプロセスで合成することにより高硬度で高強度とすることができた。本稿では開発した材料を工業的に利用するための第2種基礎研究への取り組み、さらに異なる専門分野の研究者の融合による効率的な研究開発の方法論について紹介する。
対談
編集委員会
feedback
Top