Synthesiology
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5 巻, 3 号
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研究論文
  • - 全球地球観測システムの共通基盤の標準化 -
    岩男 弘毅
    2012 年 5 巻 3 号 p. 152-161
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/09
    ジャーナル フリー
    さまざまな地球観測データが世界各国で個別に取得・加工・利用されている中で、それらの情報の統合的な利用を容易にするための全球地球観測システムが必要とされている。そのため国際的な合意のもとに組織された地球観測に関する政府間会合が全球地球観測システムのための共通基盤を構築した。複数の機関から共通基盤を構成する要素の提供の申し出があったが、政府間会合は構成要素のそれぞれについて公正な評価を行い、最適な構成要素を組み合わせた共通基盤を推奨した。特定の構成要素を選定して共通基盤を推奨することは、全球地球観測システムに関連するいくつかのデジュール標準を策定することに相当した。日本は独自の構成要素の提供を申し出なかった関係で、構成要素を評価するにあたって中立的立場をとり、デジュール標準の策定においてイニシアティブをとることができた。その結果、日本で広く利用されている方法のいくつかをデジュール標準に採用することができた。今回の経験は、一つの事例として、日本にとって今後の国際標準化活動のあり方を示唆している。
  • - 量産車用燃焼圧センサーへの応用 -
    秋山 守人, 田原 竜夫, 岸 和司
    2012 年 5 巻 3 号 p. 162-170
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/09
    ジャーナル フリー
    この論文では、著者らが世界で初めて窒化アルミニウム(AlN)系薄膜圧電体を用いて開発した、量産車用燃焼圧センサーの研究開発の経緯について述べる。この研究開発の構想当時(2003年以前)は、単結晶を用いたセンサーが一般的であり、薄膜圧電体を用いた燃焼圧センサーは未開拓領域であり、その有用性は認識されていなかった。しかし、この研究開始以降、国内外の自動車部品会社や大学などが興味を示し、実用化に向けた共同研究を実施した。その結果、冷却を必要とせず、小型で高感度の燃焼圧センサーの開発に成功した。現在、著者らはセンサーの実用化を目指し、センサー信号の安定化、センサー構造の簡素化などの課題を解決するために研究を行っている。
  • - 機能性ソフトマテリアルの新展開 -
    吉田 勝
    2012 年 5 巻 3 号 p. 171-178
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/09
    ジャーナル フリー
    種々の溶媒系を擬固体化できる新しいゲル化剤を開発した。水等の極性溶媒に親和性を有する電解質構造をもつこの材料は、極めて簡便に大量合成できる。さらに、イオン液体等電解液の擬固体化、歪崩壊後の自己修復性、さらにはカーボンナノチューブとの容易な複合化等、既存材料にはないさまざまな特性をもち、現在では新しいゲル化用化学試薬として販売が開始されている。
  • - オープンサービスフィールドにおける行動調査技術 -
    山本 吉伸
    2012 年 5 巻 3 号 p. 179-189
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/09
    ジャーナル フリー
    観光地では毎年なんらかの集客施策を実施しているが、施策の効果測定はほとんど行われていない。集客施策によって観光客がどれくらい変化したのか、回遊経路がどのように変化したのかを計測することは観光地づくりの基礎データになるが、合理的費用で定量的かつ継続的に回遊行動を捕捉する技術がなかった。我々は観光地等で定量的かつ継続的に観測・調査を実現する「オープンサービスフィールド型POS(Point of Service)」を開発し、実用化に向けたプロジェクトを実施した。この論文では、兵庫県城崎温泉における事例を、地元関係者と技術者との共同作業という観点から考察する。
  • - 過去10年間の産総研糖鎖医工学研究センターの研究戦略 -
    成松 久
    2012 年 5 巻 3 号 p. 190-203
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/09
    ジャーナル フリー
    糖鎖研究という新しい科学技術領域を開拓するにあたり、10年間の長期戦略を最初に考案した。多くの研究者・技術者がこの領域に参入できるよう基盤ツールの開発を行った。まずは、糖鎖遺伝子の網羅的発見と機能解析を遂行した。この成果は、糖鎖合成技術、糖鎖構造解析技術、糖鎖の生物機能解析へつながる布石となった。開発された基盤技術ツールを応用して、癌診断等に有用な糖鎖バイオマーカー開発を実施した。肝線維化マーカー、胆管癌マーカー等の実用化に成功した。その他の種類の癌マーカーの開発も進行している。10年の長きにわたる研究成果はアジア諸国をはじめ世界へ輸出され、国内および諸外国との共同研究へと発展している。
座談会
  • 価値の創造とシンセシス
    Editorial Board
    2012 年 5 巻 3 号 p. 204-210
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/09
    ジャーナル フリー
    東京大学の石川正俊教授は、分析的な真理の探求だけではなく新しい社会的な価値の創造が必要であると主張され、2004年4月から2006年3月まで東京大学の副学長を務められ、独創性の高い研究成果を社会に導入していくための制度作りをされてきました。シンセシオロジーが目指す研究成果の社会導入を大学の立場で実践されている石川教授と小野編集委員長(当時)と赤松編集幹事が座談会を行い、価値創造に向けた社会づくりについての議論を行いました。
編集委員会
編集後記
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