現行の空調機器の冷媒は地球温暖化係数(GWP)が高いため、R-1234yfをはじめとした、よりGWPの低い物質が次世代冷媒候補として検討されている。しかし低GWP物質は相対的に化学反応性が高く、燃焼性、有害性、分解物生成、省エネ性能低下によるCO
2排出量増加の側面ではリスクを高める可能性、すなわちリスクトレードオフの可能性がある。この研究では(1)環境特性、(2)燃焼特性、(3)有害性、(4)温室効果ガス排出量、(5)実装可能性の5項目から構成されるリスクトレードオフ評価の枠組みを提示し、絞り込み過程を明示しながら次世代低GWP冷媒物質の選定を行った。リスクトレードオフを考慮した意思決定において、複数の評価項目の組み合わせ方と評価基準を明示することが重要であることを示した。これにより、意思決定に必要なデータの迅速な把握と、社会情勢に柔軟に対応した意思決定が可能となった。
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