Synthesiology
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6 巻, 2 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
研究論文
  • - リハビリテーション現場での実用化に向けて -
    関 喜一
    2013 年 6 巻 2 号 p. 66-74
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/04
    ジャーナル フリー
    視覚障害者が歩行するためには、音を手がかりに周囲の様子を把握する技能を習得する訓練が必要である。そのために著者は、“安全な仮想空間の中で訓練を実現する技術を開発してリハビリテーションの現場に導入する”ことを目指し、訓練システムの開発を行った。この訓練システムの実現のために、①音による空間認知のメカニズム、②メカニズムを再現する3次元音響技術、③3次元音響演算用ハード/ソフトウエア、④頭部位置方向計測技術、⑤訓練カリキュラム等の基盤研究および要素技術の開発を行った。構築した訓練システムの有効性を検証した結果、このシステムがこれまでの実環境訓練よりも有効であることを確認した。2010年9月より、訓練システム簡易版が視覚障害関係者に配布され、指導員養成課程等で活用されている。
  • - 大量・安価な金属型・半導体型CNTの生産を目指して -
    田中 丈士, 片浦 弘道
    2013 年 6 巻 2 号 p. 75-83
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/04
    ジャーナル フリー
    カーボンナノチューブ(CNT)には金属型と半導体型が存在し、その優れた電気的性質を応用するには、2者を分離する必要がある。産業応用に向けては、大量・安価な分離法が求められる。我々は、生体分子の分離法を応用することにより、CNTの新規分離法を開発することに成功した。アガロースゲルを用いた電気泳動に始まり、最終的にはカラムを用いて大量・安価な分離を達成し、試料提供も開始した。直列カラムへのCNTの過剰投入による単一構造半導体型CNTの分離法も開発した。また、本論文では研究を効果的に進めるための、特許出願、成果発表、予算申請のタイミングの要点についても論じた。
  • - 30数万点の釉薬テストピースのデータベース化と活用 -
    杉山 豊彦
    2013 年 6 巻 2 号 p. 84-92
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/04
    ジャーナル フリー
    産総研に30数万点の釉薬テストピースが保管されている。これらは、陶磁器試験所、名古屋工業技術試験所の80年以上の陶磁器研究において作成されたものである。テストピースは実験結果と実験過程が見える形で残されたものであり、釉薬および陶磁器の研究の基礎データとして貴重である。産業界等にこれらのデータを提供して、研究開発や製品化研究の省力化や加速化を実現する目的で、釉薬テストピースの情報のデータベース構築を行った。釉名称、焼成温度、焼成雰囲気、発色、化学組成、原料調合、外観性状等のデータ項目と外観画像を伴ったデータベース構成とした。データベースは、新規の研究開発等に利用されて有効性が確認された。
  • - テレビ受像機への描画からリアルタイムグラッフィクスへ -
    三部 幸治
    2013 年 6 巻 2 号 p. 93-102
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/04
    ジャーナル フリー
    1970年代に本格化した業務用ビデオゲームは、さまざまな画像表示手法が投入され独自の進化をしてきた。「TTLロジック」による手法に始まり、「ビットマップ表示方式」によるスペースインベーダーの大ヒットを経て、業務用ゲーム独自の「スプライト表示技術」は市場を広げ、DSP等の高速演算機能を組み込んだ「リアルタイムポリゴン表示」等、他産業より数年早く新技術を投入活用してきた。そして、これら業務用ゲームの技術は、家庭用ゲーム、携帯電話コンテンツ、通信カラオケ等多くの産業に繋がっている。この論文では、これら業務用ビデオゲームの中心となる画像表示手法の進化とその背景を述べる。
  • - 国の権益領域拡大と地球科学の貢献 -
    西村 昭, 湯浅 真人, 岸本 清行, 飯笹 幸吉
    2013 年 6 巻 2 号 p. 103-117
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/04
    ジャーナル フリー
    大陸棚画定調査は政府一体として取り組まれた事業である。その目的は国連海洋法条約に定められた「大陸棚」について、科学的根拠を含む延伸大陸棚の限界に関する情報の取りまとめを行い、国連へ提出することにあった。産総研の海洋地質に関わる研究者は、海域調査の実施、採取岩石試料の分析・解析・解釈、ならびに国連への申請書案作成のための作業部会への参加を通じて、海洋地質学の専門家集団としての総合力を発揮することにより大陸棚画定調査に貢献した。関係省庁各機関が協力してとりまとめられた日本の延伸大陸棚に関する情報は、2008年11月12日、日本政府が国連の「大陸棚の限界に関する委員会」に申請書として提出した。そして、同委員会より、申請の審査の結果としての「勧告」を2012年4月26日に日本政府は受領した。本報告では、「大陸棚」および日本の「大陸棚」に関する簡単な解説とともに、科学的な情報が基礎となってわが国の海域における権益の及ぶ範囲の増大に貢献できるという稀有な機会に、産総研の研究者が組織の一員として、また研究者として参加したことの経緯とその成果を示し、さらに、このような事業を実施するうえでの問題点について議論した。
論説
  • - 最近の日本の研究評価の状況との比較 -
    大谷 竜, 加茂 真理子, 小林 直人
    2013 年 6 巻 2 号 p. 118-125
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/04
    ジャーナル フリー
    現在英国では、高等教育機関で実施されている研究の評価の新たな枠組みであるREF(Research Excellence Framework)の実施が準備されている。REFでは、高等教育機関で行われる卓越した研究が、その潜在的な効果を最大限に発揮できるよう、評価軸として、アウトプットの質、インパクト、研究環境の3つの要素が設定された。特に着目される点として、大学等での研究評価にも関わらず、社会的なインパクトも明示的に取り入れられていることである。また、アウトプットの質の評価においても、専門家パネルによるレビューとともに、論文被引用情報を中心とする計量書誌学的な定量的データを参考として用いることが提案されている。本稿では、REFにおける、アウトプットからインパクトまでの評価の考え方について紹介するとともに、わが国の研究評価や大学評価への示唆について考察する。
報告
編集委員会
編集後記
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