Synthesiology English edition
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10 巻, 2 号
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論文のポイント
研究論文
  • — 振動・加速度・衝撃計測標準の国家標準開発および関連技術の開発と国際比較の歩み —
    臼田 孝, 大田 明博, 野里 英明, 穀山 渉
    2017 年 10 巻 2 号 p. 47-61
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル フリー
    計測の一貫性(いつ、どこで、誰が測定したかによらず比較評価が可能)を確保するためには、単位やその基準となる量(国家一次計量標準)が統一されているだけでは不十分である。今日では各国の計量標準機関(日本では産業技術総合研究所等)が参加する、国際相互承認(Mutual Recognition of Arrangement: MRA)の枠組みの下で、計測結果の相互比較等同等性を評価する活動が行われている。この論文では、産総研における振動校正技術の開発と、同等性評価を巡る国際的な動きを通して振動計測の信頼性とその同等性確立について振り返る。あわせて今後の課題と展望を論じる。
  • — 未利用熱エネルギーの革新的活用に向けて —
    太田 道広
    2017 年 10 巻 2 号 p. 62-74
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル フリー
    熱電発電が抱える二つの課題である、低い変換効率と毒性・希少元素の含有を解決するために、国内外の研究機関と共同して、前者についてはナノテクノロジーを、後者は元素代替を用いて解決を試みている。脚光の当たりやすい材料開発のみならず、泥臭いモジュール開発等にも精力的に取り組み、熱電発電の高効率化、低毒性化、低コスト化に道筋をつけた。さらに、熱電発電の市場開拓に積極的に関与するために、これら研究成果をもとにベンチャー企業を設立した。この論文では、基礎研究から起業までの各ターニングポイントで、著者がとった研究戦略について議論する。
報告
  • — レーザー超音波と冷陰極X線源による検査装置の開発 —
    王 波, 高坪 純治, 劉 小軍, 鈴木 修一
    2017 年 10 巻 2 号 p. 75-87
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル フリー
    日本は先のオリンピックに代表される50年以上前の高度経済成長期に建設された社会インフラ、産業インフラが老朽化の一途を辿り、さらに2020年の東京オリンピックを成功させるためにも、その経年変化に対する健全性検査が急務の課題となっている。そこで、我々は産業技術総合研究所発の技術移転ベンチャーとして、産業技術総合研究所で研究開発された非破壊検査技術の中でレーザー超音波による世界初の可視化技術とカーボンナノ構造体冷陰極X線による小型X線技術をもとにして、新しい日本産の非破壊検査装置を研究、開発し、実用に供してきた。ここでは、その開発における各種のチャレンジについて述べる。
論説
  • — 国立研究所30年の総括 —
    石田 直理雄
    2017 年 10 巻 2 号 p. 88-100
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル フリー
    著者が設立した研究グループが哺乳類時計遺伝子Period2(per2)を発見したのは1998年である。本稿では、その後の生物時計分子機構の進展についてまとめる。マウスやヒトの生物時計による睡眠覚醒を始めとするさまざまな24時間振動現象にClock/Bmal、Period/CryによるE-box制御だけでなく、bZIP型転写因子E4BP4によるper2振動発現やグリコーゲン合成酵素キナーゼによるper2リン酸化の時間特異的核移行が重要であることを明らかにした。また滋賀県のツジコー株式会社が植物工場で育てたアイスプラントの機能分析をお手伝いした過程で、イノシトールが体内時計の周期を延長することを見出した。研究開始当初は24時間のリズム生成機構のみを研究しているつもりだったが、日長を測れる生物が持つ季節時計も時計遺伝子からその新たな分子経路が解明された(休眠)。我々は基礎シフトといわれた時代に国研に入所したが、それから24~5年ほど経ったころに基礎研究予算が大幅にカットされた。「すぐ役に立つ研究をやれ」という世の中の大きなうねりが来た。悩んだあげくお金のかかるマウス研究をあきらめショウジョウバエに絞った。その結果、神経変性疾患と体内時計分子機構が関わることを見出し、中でもパーキンソン病、ゴーシェ病モデルショウジョウバエで若年期から睡眠覚醒リズム異常を示すことを見出した。現在はこれらのモデルを用いて認知症の分子機構を遺伝子レベルで研究しており、その成果と応用についても報告する。1986年の工業技術院微生物工業技術研究所入所以来、30年間生物時計一筋で研究者生活を送れたことに感謝しつつこの論説をまとめている。
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