日本原子力学会和文論文誌
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3 巻 , 1 号
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  • 減速材温度係数推定法の提案
    森 治嗣, 加賀見 雄一, 兼本 茂, 玉置 哲男, 榎本 光広, 河村 真一郎
    2004 年 3 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    The purpose of the present paper is to establish a new moderator temperature coefficient (MTC) estimation method based on gray box modeling concept. The gray box model consists of a point kinetics model as the first principle model and a fitting model of moderator temperature kinetics. Applying Kalman filter and maximum likelihood estimation algorithms to the gray box model, MTC can be estimated. The verification test is done by Monte Carlo simulation, and, it is shown that the present method gives the best estimation results comparing with the conventional methods from the viewpoints of non-biased and smallest scattering estimation performance. Furthermore, the method is verified via real plant data analysis. The reason of good performance of the present method is explained by proper definition of likelihood function based on explicit expression of observation and system noise in the gray box model.
  • ボイド反応度係数推定法の提案
    森 治嗣, 加賀見 雄一, 兼本 茂, 玉置 哲男, 榎本 光広, 河村 真一郎
    2004 年 3 巻 1 号 p. 11-23
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    The purpose of the present paper is to establish a new void reactivity coefficient (VRC) estimation method based on gray box modeling concept. The gray box model consists of a point kinetics model as the first principle model and a fitting model of core flow kinetics. Two approaches in frequency and time domain are applied to estimate VRC from steady state fluctuating data. With the VRC estimation, principal noise sources, which are important for assuring VRC estimation reliability, are also estimated. In the frequency domain approach, the estimation criterion is defined by power spectral density, transfer function and coherence function. This criterion is useful to estimate VRC and system noise sources at the same time. This approach gives better results than the time domain approach using Kalman filter and maximum likelihood. The effectiveness of the proposed method is shown by comparing the core performance calculation code based on actual BWR plant data measured through one year fuel cycle. The method can also provide related BWR core dynamics information such as core stability using an eigenvalue of the gray box model.
  • 鈴木 勝男, 鈴土 知明, 鍋島 邦彦
    2004 年 3 巻 1 号 p. 24-33
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    原子炉をより安全に運転するために,原子炉安全性の基本量である正味反応度をオンライン・リアルタイムで推定し,それを許容範囲内に保つこと,そしてもしなんらかの反応度異常が生じた場合には,それを早期に検知するシステムの開発が望まれる。通常,運転中の正味反応度は中性子束等の計測量から推定される。この計測量から正味の反応度を推定する方法として,逆動特性方程式法とカルマンフィルタ法がよく知られている。しかし,一般に計測信号は測定雑音を含むため,中性子計測信号をそのまま用いた場合,逆動特性方程式法による推定反応度には大きな揺らぎが伴う。したがって,この揺らぎを除去するためには,雑音除去フィルタが必要となる。一方,カルマンフィルタ法では,このようなフィルタは不要であるが,推定反応度の真値への即応性が低下する。これは,カルマンフィルタが全状態量の推定誤差分散を最小化するように設計されるため,雑音フィルタ性と即応性の性能仕様を独立に扱えないからである。そこで,入力雑音から推定誤差までの伝達関数のHノルムを最小化する最適H推定理論に基づいた反応度推定器の設計法が提案された。この設計法により,即応性と雑音フィルタの設計仕様を独立に与えて反応度推定器を設計することが可能となった。さらに,このH推定器の推定特性やオンライン・リアルタイム推定の実現性などが日本原子力研究所VHTRC臨界実験装置において実験的に評価され,その実用化の見通しが得られた。
    上記の正味反応度推定法では,いずれも中性子測定信号が用いられるが,これとは別に,正味反応度を炉心温度,圧力,燃料の燃焼度,毒物量など原子炉状態量のフィードバック反応度の総和として算出することもできる。通常,これらフィードバック反応度は,あらかじめ作成された反応度校正曲線などを用いて静的に推定される。この校正曲線の作成には,膨大な設計計算や詳細に吟味された実機試験による各種データが必要である。この静的推定法は,原子炉状態がある定常状態から別の定常状態に変化する場合のフィードバック推定に適したものである。
    よく知られている反応度バランス法は,上述した各種フィードバック反応度の総和と中性子信号から推定した正味反応度との差異から異常反応度を検出する方法である。文献では,HFIR炉(High Flux Isotope Reactor)の主要なフィードバック反応度は燃焼度や毒物などのフィードバック反応度であるとして,異常反応度の検知システムが検討された。文献では,TTR-1炉(Toshiba Training Reactor I)における制御棒反応度,温度や毒物など多くのフィードバック反応度を考慮した異常反応度検知システムが構築され,実験的にその有効性が評価された。いずれのシステムにおいても各種フィードバック反応度は予め求めた校正曲線などを用いて静的に推定されている。しかし持続的に変動する原子炉の内部状態のフィードバック反応度の推定には,このような静的推定よりも動的推定が適している。
    本報では,数十秒程度の短時間で,周期的あるいは持続的に変動する反応度異常を検知するため,原子炉の内部状態量からのフィードバック反応度を動的に推定し,正味反応度とのバランスから,反応度異常を検知するシステムを提案する。本報では,時間応答の速い燃料温度や減速材温度などのフィードバック反応度を動的に推定し,時間的にゆるやかに変化する燃焼度や毒物などの反応度を無視した。さらに,高速実験炉「常陽」を対象とした数値シミュレーション実験に基づき提案システムの有効性と実用上の課題をまとめた。
  • 桜井 克巳, 岡本 孝司, 班目 春樹
    2004 年 3 巻 1 号 p. 34-43
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    超臨界圧水を冷却材に用いた新型炉(Super critical water reactor: SCWR)の開発に伴い,超臨界流体の熱伝達特性が改めて重要視されてきている。一般にタービン入口の蒸気条件を高温,高圧化することによってタービンサイクルの熱効率は改善する。発電プラントの熱効率向上のためにすでに火力発電では超臨界圧化が果たされている。一方,原子力発電への適用には,放射線環境下という条件も加わるほか,効率のみならず安全性を十分に確保した設計が必要となる。そのため,超臨界圧流体の熱流動特性の詳細な把握が重要である。超臨界圧領域では,密度,定圧比熱などの物性値が液相の通常状態に比べて大きく連続的に変動する。擬臨界点近傍で定圧比熱は急峻なピークを持つことが知られている。これまでに水や二酸化炭素などを用いた実験により,この領域では低い熱流束に対して大幅な伝熱促進が起こる一方で,熱流束が高くなるにつれ伝熱劣化が生じてくることが調べられている。しかしながらこれらの現象の機構については未解明な部分も多い。特に設計上,重要である伝熱劣化現象は物性変化を伴う単相の乱流熱伝達なのか,一種の擬似的な沸騰に近い現象が起きる二相流的なものかで意見が分かれていた。Koshizukaらによる数値解析を用いた,単相的な捉え方による解析で既往の実験とよく一致した例などがあるが,一方で可視化実験によって臨界点付近での二相流的な現象の存在も発見されており,統一した説明はまだない。
    超臨界圧流体の強制対流熱流動は高圧などからくる困難のため,一般流体で広く適用されている可視化計測はほとんど行なわれていない。可視化計測が適用できれば,複雑な熱伝達現象の解明に寄与できる。本研究では可視化部を有する超臨界圧二酸化炭素ループにより,超臨界圧強制対流熱伝達現象を可視化観察する。
  • 浜田 広次, 栗原 成計
    2004 年 3 巻 1 号 p. 44-50
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    原子力発電プラント等における蒸気発生器(以下,SGと略す)では,厚さ数mmの伝熱管壁を介して熱交換が行われるため,万が一,伝熱管壁に貫通欠陥が生じると,冷却材が高圧側から低圧側へ漏えいする。高速炉のSGでは,漏えいにより低圧のナトリウム(Na)中へ高圧の水/蒸気が噴出して,Na-水反応が生じる。この反応に寄与する重要な化学反応式は以下の2式とされる。
    Na+H2O→NaOH+1/2H2+ΔH
    2Na+H2O→Na2O+H2+ΔH
    Na中に漏えいした水/蒸気は,反応生成物である水素ガス,Na2O,腐食性のNaOHおよび反応熱を伴う高温の二相噴流(以下,反応ジェットと略す)を形成することから,一般的な液体金属の二相流現象とは異なる設計上の配慮が必要となる。プラントでは,Na中に水/蒸気が漏えいした場合,その量が少ないうちに水素検出計やカバーガス圧力計等で検出し,原子炉を停止するとともに,伝熱管内の水/蒸気を抜き取り,Na-水反応を停止するように設計されている。反応が停止するまでの間に反応ジェットが隣接する伝熱管に当たると,エロージョンとコロージョンの作用によりウェステージと呼ばれる管壁の損耗を引き起こす。日本のSG体系での実験によると,ウェステージの進行速度(減肉速度)は水漏えい率に依存し,中規模な水漏えい(10g/s~2kg/s)では,それより小規模な水漏えいに比べてウェステージの進行速度は小さいが,反応ジェットが相対的に大きくなることから,その影響は複数の伝熱管に及ぶ。そして2kg/s前後の水漏えい率では,隣接する伝熱管が高温の反応ジェットに覆われるため,ウェステージの進行による破損ではなく,むしろ局所的に管壁温度が上昇して機械的な強度の低下による破裂(以下,高温ラプチャと略す)を引き起こす可能性がある。したがって,反応ジェットにさらされた状態における高温ラプチャ挙動の解明が重要となる。
    高温ラプチャ挙動は,反応ジェットからの伝熱により上昇した管壁温度における材料強度と管壁応力の相対関係により評価できるが,これらは伝熱管の材質,寸法を始めとするSGの設計や運転条件に大きく依存する。そのため,和田らによるSG伝熱管の材料強度データの取得と円筒の内圧破損に関する構造健全性評価に関する研究が行われた。一方,不透明で化学的に活性なNaを扱うという実験技術上の困難さから,これまで,反応ジェットによる高温ラプチャ実験結果を定量的に説明するまでには至らなかった。筆者らは,現象別に構造的側面と熱的側面に着目した2つの実験を計画し,前者の実験において,高周波誘導加熱装置を用いた急速加熱による破損模擬実験と解析により,高温状態で内圧負荷を受ける伝熱管の破裂挙動と解析モデルの裕度を明らかにして,構造健全性評価手法の保守性・妥当性を確認した。
    反応ジェットと伝熱管の伝熱特性は,管壁温度の評価に係わる重要なテーマである。これまで,ウェステージ現象に関連して反応ジェットの温度分布を調べた研究はなされたが,高温ラプチャ現象に着目して伝熱特性を調べた研究はほとんどない。そのため,伝熱管の熱的影響が反応ジェットの最高温度に依存すると考えて,実験的に反応ジェットの温度と実効熱伝達率の相関図を作成し,実験データを包絡する保守的な値を選定することで,高温ラプチャ評価に適用してきた。すなわち,反応ジェットと伝熱管の伝熱現象を評価し,実験式を導出した研究は見当たらない。
    本研究では,反応ジェットが主に水素ガス(気相)と伝熱性能に優れるNa(液相)からなる二相噴流であるとの観点から,熱的側面に着目したNa実験と解析により反応ジェットと伝熱管の伝熱現象を考察し,その上で,安全評価に適用すべき実効熱伝達率の実験式を導出することを主な研究目的とする。
  • 高橋 玲子, 中込 良廣
    2004 年 3 巻 1 号 p. 51-58
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2010/06/23
    ジャーナル フリー
    近年,太陽光や風力などいわゆる新エネルギーには,供給面での高コストや不安定性,エネルギー低密度に伴う回収の非効率性など,電源として実用化するにあたり多くの克服すべき点が残されているものの,将来に望ましい電源として人々の期待が寄せられている。一方,すでに電力供給の主流である原子力は,エネルギーセキュリティや地球温暖化抑制の観点から,国策上は基幹とすべき電源にされているにもかかわらず,核関連施設や放射性廃棄物に対する人々の不安感が依然として強く,その利用には十分な国民的賛同が得られていない。このように,個々の電源に対して必ずしも基本的な特性や位置付けを的確に理解しているとは考えられないものの,人々はそれぞれの電源に対して何らかの選好意識を抱いていることは確かである。
    このような状況のもとで,今後は電力自由化拡大の論議が引き続き進展するに伴って,原子力利用に対する国民の合意形成が一段と膠着化していくことが予測される。こうした事態打破のひとつの方策として,本報ではわが国の電源選択の意思決定プロセスに人々が直接関わるというアプローチを想定してみる。そのための糸口として,まず人々が問題への関与をどの程度認識しているかを把握すること,例えば,仮に電源選択という行動に踏み込むことになった場合に,どのような意見を表明するかを定量化することが望まれる。しかし,実際のところ,複数の異なった電源から供給される電力は送電網を通して「一様の電気」となって消費者に届けられるため,人々が各自の電源選好意識を個人としての電源選択行動に結びつけることはそもそも物理的に無理である。また,たとえ人々に積極的に関与する意欲があっても,それを直接行動に反映させる具体的な手段に乏しい。近年では一般家庭に太陽光発電システムが導入されるようになり,グリーン電力基金加入制度も創設されてはいるが,これらも現在のところ一部の人々の参加に限られている段階にある。
    こうした背景に基づき,本研究は仮想評価法(Contingent Valuation Method: CVM)による手法を適用し,人々の電源選好に対する意識を定量的に捉えることを試みたものである。CVMとは調査の題材となる対象に関連した仮定条件を提示し,それが導きうる状況シナリオを具体的に説明したうえで,その変化を回避するために回答者が個人として最大限負担しても構わないとする支払い意志額(Willingness To Pay: WTP)を尋ねる手法である。本来,CVMは景観のように何らかの間接的な便益をもたらす,いわゆる非利用価値の評価に用いられてきた。本研究においては,CVMの仮定条件として,まず将来のわが国の電源選択に人々が直接関与する状況を想定し,この際の意志の強さをWTP値により提示することを求めた。また,人々の電源選択の意見形成に与える影響要因について分析を試みるために,回答者の持つ意識の背景に関連する質問項目をさまざまな側面から設定した。なお,本来このような目的の調査においてはコンジョイント分析による手法も用いられるが,今回は人々のこうした意識の把握に対して初めてCVMを試行的に採用することにより,CVM適用の有効性を見極めるとともに調査設計の妥当性について検証を加えることを意図している。
    これまでの国内外におけるCVM適用については,一般にエネルギー問題以外の分野の調査において数多く見られるが,電源選択や電気料金に関わる調査においては事例が少ない。本調査の実施にあたっては,原子力の,いわゆる外部性評価の観点から関連施設の周辺住民の意識に対して行われたCVM調査,および太陽光や風力など将来のエネルギー導入のあり方に対して人々の意見を尋ねたCVM調査の2つを主に参考にした。また,本調査に先立ち筆者らは,CVMによる妥当な調査設計条件を概略的に絞込むためにプレテストを実施しているが,その際に得られた知見も本調査に反映させた。例えば,今回の調査ではアンケート調査と訪問調査の2つのステップからなる構成としている。なお,調査対象としては,代表的な電源地域(立地地域)と需要地域(都市地域)を選定した。前者は原子力発電所の周辺市町村を,後者は電力の消費地である大都市区部としている。これら立地地域と都市地域における人々の意識の比較および意識形成の特徴などに関する資料も得られているが,これらについては別途報告することにしたい。
  • 石倉 修一, 粉川 広行, 二川 正敏, 神永 雅紀, 日野 竜太郎, 齊藤 正克
    2004 年 3 巻 1 号 p. 59-66
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    日本原子力研究所(JAERI)は高エネルギー加速器研究機構(KEK)と共同で,大強度陽子加速器を用いた複合研究施設J-PARC (Japan Proton Accelerator Research Complex)の建設を進めている。その中核施設となるMW規模の核破砕中性子源の建設は世界で初めての試みであり,中性子収率や熱除去等を考慮して液体水銀を陽子ビームの標的(ターゲット)に用いる。水銀ターゲットには,Fig. 1に示すように,3GeV/1MWの陽子ビームがパルス幅1μs, 25Hzのサイクルで窓部を通過して水銀に入射する。このとき,水銀ターゲットでは核破砕反応により,1パルスあたり最大18.5J/ccの高密度の熱が発生する。それに伴い水銀が熱膨張するが,温度上昇速度が水銀の膨張速度よりも速いために瞬間的に圧縮状態となり,約52MPaの圧縮場が発生する。それを基点として圧力波が周囲に伝播し,ターゲット容器に動圧として作用する。この動的作用が2×108回程度(ターゲット容器の使用時間を2,500hとして)繰り返すために,ターゲット容器の構造健全性を確保する上で重要な課題となる。
    そこで,液体水銀を弾性液体と仮定して水銀の圧力変動に関する解析を行い,圧力波の伝播と窓部変形の相互作用により,ターゲット容器先端の陽子ビーム窓部で最大約105MPaの応力が発生するとともに,圧力波が窓部で反転する際に,負圧(引張り応力)が生じることを明らかにした。水銀中での負圧の発生はキャビテーションを誘起する可能性が高く,キャビテーション気泡の崩壊に伴って発生するマイクロジェットや衝撃波により,接液界面である窓部表面において壊食損傷(ピット)を生じることが予想される。
    ピットの形成に関連した解析的検討の代表例としては,液滴が亜音速で固体壁に衝突するときの解析評価例と,収縮気泡が再膨張するときに周辺液体に発生する衝撃波を対象とした評価例がある。前者はマイクロジェットによるピット形成に対する考察として有意義であるが,キャビテーションとの関連はない。後者は衝撃波に対する解析評価であり,固体の構成モデルは静的な弾塑性体の扱いである。キャビテーションによるピット形成の重要な因子であるマイクロジェットによるピット形成を気泡の挙動から固体壁への衝突現象まで統一的に検討した例は見られない。
    本報では,まず水銀中にマイクロ気泡が存在するときの圧力波の伝播挙動に伴う気泡の挙動を,気泡動力学によりシミュレーションを行い,気泡の収縮速度を評価する。次に,マイクロジェットが収縮速度で固体壁に衝突すると仮定して,マイクロジェットがピット形成に及ぼす影響を,水銀の非線形性と固体壁の歪速度硬化を考慮した連成解析により材料強度の観点から考察する。
  • 片西 昌司, 武井 正信, 中田 哲夫, 國富 一彦
    2004 年 3 巻 1 号 p. 67-75
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    日本原子力研究所(原研)では,2001年度から,高温ガス炉の熱利用研究の一環として,高温ガス炉を用いた電気出力300MW程度のガスタービン発電システム(Gas Turbine High Temperature Reactor 300: GTHTR300)の設計研究を行っている。これは,原研の高温ガス炉である高温工学試験研究炉(HTTR)における経験を踏まえて,高温ガス炉固有の安全上の特長を十分に活かした高い安全性をもつプラントシステムを構築し,かつ,十分な安全性を確保した上で安全機能の簡素化等をはかり経済性の点でも有利なプラントとすることを目指している。この設計研究の一環として,GTHTR300用燃料の設計とその成立性評価を行った。燃料の成立性評価としては,すでに報告したFP放出に対する障壁としての被覆燃料粒子の成立性評価に加え,燃料棒としての構造健全性について評価・検討した。
    GTHTR300の燃料設計に課される主な条件としては,HTTRに比べ出力密度が増加するため燃料から冷却材への効率的な伝熱をはかること,高燃焼度化に耐えられるものとすることおよび経済性を高めるために製作コストを抑えること等がある。これらの条件を満たすために,GTHTR300では,HTTRにおける燃料の開発経験をもとに,さらにそれを高性能化した燃料を使用することとした。すなわち,HTTRでは,円筒形の燃料コンパクトを黒鉛スリーブに収納して燃料棒としているのに対し,GTHTR300では,黒鉛スリーブは使用せず,燃料コンパクトを積み重ねたものを燃料棒とし,ヘリウムガスが直接燃料棒表面に接触して冷却する構造とした。また,GTHTR300における使用条件である高い燃焼度に対応できるものとするため,燃料粒子の被覆層を厚くすることとした。
    これまでに,FP放出に対する基本的障壁である被覆燃料粒子の被覆層の健全性について検討し,GTHTR300で予定している運転条件において,炉内滞在期間4年間で最大燃焼度約140GWd/tにおいても有意な破損はなく,被覆燃料粒子の健全性が保たれることを解析評価により確認し,平行して実施した経済性評価の結果と併せてすでに報告した。
    GTHTR300用燃料では,被覆燃料粒子を黒鉛とともに焼結した円筒形の燃料コンパクトを積み重ねた燃料棒を炉心に装荷する。この燃料棒について,通常運転中に予想される熱応力や地震による外力等に対して燃料棒としての健全性が保たれることも重要である。そこで,スリーブなしで燃料棒としての形状を保ち,かつ,応力や外力に対し十分な強度を持つようなGTHTR300独自の燃料棒の構造概念を考案し,地震等の荷重,通常運転時の熱膨張や照射変形,冷却材ヘリウムガスの圧力損失等に関して検討を行い,成立性のある燃料棒の具体的な構造を決定した。
    本報では,GTHTR300用高燃焼度燃料の成立性に関し,その第II報として,燃料棒の構造検討および構造健全性について検討した結果について報告する。
    本研究は,文部科学省から原研への委託により実施している電源特会「核熱利用システム技術開発」のうち「高温発電システム」として実施しているものである。
  • HTTR試験結果を用いた検証
    高松 邦吉, 片西 昌司, 中川 繁昭, 國富 一彦
    2004 年 3 巻 1 号 p. 76-87
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    日本原子力研究所(原研)では,2001年から,高温ガス炉の熱利用研究の一環として,高温ガス炉を用いた電気出力約300MWのガスタービン発電システム(GTHTR300:Gas Turbine High Temperature Reactor 300)の設計研究を行っている。これは,高温ガス炉固有の安全上の特長により,十分な安全性を確保しつつ,安全機能の簡素化等をはかり経済性の優れたプラントとすることを目指している。GTHTR300のプラント構成をFig. 1に示す。原子炉から出た約850℃の冷却材(ヘリウムガス)によりガスタービンを回転させ,これにより圧縮機と発電機を駆動する。ヘリウムガスはタービンを駆動した後,再生熱交換器と前置冷却器により温度を下げてから圧縮機により圧縮され,再度,再生熱交換器により昇温されて原子炉に戻される。このシステムはブレイトンサイクルを構成する。
    GTHTR300の安全性を確保する上で,通常運転時の子炉およびタービン系機器の制御特性や,異常時の原子炉およびタービン系の挙動等,サイクル全体の動特性を評価し,安全性を確認することが不可欠であり,そのための安全解析コードの開発に着手した。
    原研では,高温ガス炉用動特性解析コードとしてTHYDE-HTGRコードおよびACCORDコードの2種類をすでに開発している。THYDE-HTGRコードは,原研の高温ガス炉である高温工学試験研究炉(HTTR:HighTemperature Engineering Test Reactor)の安全評価に用いられたものである。THYDE-HTGRコードは,1次冷却設備,2次ヘリウム冷却設備,加圧水冷却設備および補助冷却設備におけるヘリウムや水の熱流力挙動を解析できる。さらに配管破断等に起因する冷却材の流量や温度の変化および反応度の変化に対する原子炉の核熱挙動も解析できるコードである。しかしながら,THYDE-HTGRコードは,温度応答特性に多大な影響を与える炉心および冷却系機器の熱容量を十分にはモデル化していないため,事象発生後数千秒までの挙動のみしか解析できない。
    一方,ACCORDコードは炉心の熱容量をモデル化し,事象発生後数千秒を超えるプラントシステムの挙動を解析するために開発された。ACCORDコードは,機器の伝熱計算,ヘリウム系,加圧水系の流動計算を独立して行えるようにすることで,機器毎の伝熱流動特性について解析できる。しかしながら,ACCORDコードの流動計算で用いた基礎式は,定常・非圧縮性のベルヌーイの定理を用いており,減圧事故のようにヘリウムの圧縮性を考慮しなければならない過渡事象解析を行うことができない。
    そこで,GTHTR300の設計研究の一環として,高温ガス炉システム全体の動特性を解析するためのコード“Code for Numerical Analysis of GTHTR (Conan-GTHTR)”の開発を行った。
    Conan-GTHTRコードは,主に米国で軽水炉の安全解析用として用いられているRELAP5/MOD3コードを基に開発を行った。RELAP5/MOD3コードの使用および改造については,RELAPコードの開発者の了解を得ている。Conan-GTHTRコードの特長の一つに,RELAPコードに含まれていない高温ガス炉の発電系のモデル,すなわち,タービンおよび圧縮機のターボ機器モデルがある。基礎式については,ターボ機器の入口/出口のヘリウムガスの状態変化式およびエネルギー変化式,ターボ機器による仕事の式,軸トルクと回転数の関係式,質量流量と膨張および圧縮比の関係式をプログラムに組込んだ。高温ガス炉特有のヘリウムおよび黒鉛等の物性値は新たに追加した。これらの改造に加え,コードの利便性を考え,高温ガス炉の熱伝達相関式を入力データ形式で与え,それを壁面熱伝達率として使用できるようプログラムを改造した。さらに,コードの原子炉系の部分について,日本で唯一の高温ガス炉HTTRにおける運転・試験の結果を用いて,コードの検証を行った。また,発電系については,発電系機器全体の動特性を調べるための運転制御性試験装置を製作して試験を行う計画があり,その結果を用いて今後検証を行う。以上より,軽水炉の特長が強いコードを将来型高温ガス炉の安全解析コードとして再構築し,Conan-GTHTRコードと名付けた。
    本報では,HTTRの試験・運転結果を用いて,Conan-GTHTRコードの高温ガス炉解析への適用性に関し,検討した結果について述べる。
    なお,本件は文部科学省から原研への委託により実施している電源特会「核熱利用システム技術開発」の「高温発電システム」の内容に関するものである。
  • 中桐 俊男, 大滝 明, 星屋 泰二, 青砥 紀身
    2004 年 3 巻 1 号 p. 88-94
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    核燃料サイクル機構(以下サイクル機構と称する)では,高速増殖炉(FBR)サイクル実用化戦略調査研究(Feasibilty Study)の中で,多目的小型FBRを用いた水素製造の可能性について検討しており,この一環として,水を原料とし,CO2を排出しない高効率の水素製造法の検討,燃料電池自動車(FCV)用水素を原子力で生産した場合の国内設備容量および電力・水素生産用原子力設備最大導入可能量の評価等が行われている。
    既存の水素製造法のうち,熱化学法は地球上に無尽蔵に存在する水を原料とし,CO2を排出しないとともに,40%を超える熱利用効率が期待できるという優れた特徴を有する。このため,これまで2,000~3,000を超えるプロセスが提案され,国内外で高温ガス炉への適用が検討され,実用化に向けた研究が進展しているが,800~900℃の高い温度を必要とすることから,これまでFBRへの適用は検討されていなかった。
    サイクル機構では,熱化学法の中でも高い実用性が期待できる硫酸生成・分解プロセスを組み合わせた熱電併用ハイブリッドプロセスの一種であるWestinghouseプロセスを選定し,プロセス中で最も高温を要するSO3分解反応を電気分解に置き換えてプロセス全体を低温化する方法(以下,低温熱化学法と称す)の実証を目指した調査・検討を進めている。低温熱化学法では,約500℃においてプロセス全体でも理論電解電圧が約0.5V以下と予想されることから,水を直接電気分解する場合の約1Vの1/2以下の電圧での水素製造の可能性があり,消費電気エネルギーの大幅な低減が期待できる。さらに,硫酸のみを使用することによる簡素な装置構成が実現するとともに,IS (iodine-sulfur)プロセス,sulfuric acid-bromine hybrid process等の熱化学プロセスで使用されている活性の強いヨウ素,臭素等を用いないことから,材料腐食の問題を大幅に低減可能である。安全性の面からも,水素発生を低温で行うために水素爆発の危険性を低下できる等の長所を有する。
    本報は,低温熱化学法で必要とされる理論電解電圧,化学反応を基にした熱利用効率の評価,長所および今後の開発課題について検討した結果をまとめたものである。
  • 関 正之, 河野 秀作
    2004 年 3 巻 1 号 p. 95-105
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    The pressurized resistance welding (PRW) method has been optimized to apply to the welding of cladding tube and end-plug of the oxide dispersion-strengthened ferritic steel (ODS) for the fuel rods in Na-FBR. The PRW method is based on electric resistance heating of the contact area for a short time while a sufficient continuous pressure (axial load) is maintained to forge weld without melting, and can avoid a remarkable decrease in strength caused by the TIG welding due to the generation of porosity and cohesive coarsening of the oxide particles.
    Among various sets of such test parameters as current, time, and axial load, the optimum welding condition has been found by evaluating weld strength and microstructure.
  • 石山 新太郎
    2004 年 3 巻 1 号 p. 106-119
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    To estimate FP deposition rate on the typical turbomachinary, including gas turbine of GTHTR300 and exposure dose limit at its maintenance, FP plate-out analysis was been carried out using FP compound formation theory and FP concentration controled diffusion mechanisum.
    As the results, following conclusions were derived;
    (1) It is found that the analysis data computed by the VICTORIA code with assumption of the correct thickness of reactive zone exhibits very good correlation with the experimental data obtained by simulated FP plate-out experiment.
    (2) 137Cs, 110mAg and 137Cs (131+133)I compound are major fission products deposited on the surface of turbomachinery.
    (3) Deposition rates of major FPs on the surface of gas turbine blade and disk are (131+133)I>137Cs>110mAg.
    (4) Total dose rate and allowable work time at turbine of GTHTR300 are given as 19.2mSv/h and 2.6h by VICTORIA code analysis and these values are conservative than that given by simple code analysis.
  • 立花 光夫, 伊藤 博邦, 畠山 睦夫, 柳原 敏
    2004 年 3 巻 1 号 p. 120-127
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    原子力施設の廃止措置において解体撤去を選択した場合,その最終段階で建屋・構造物の撤去が必要となるが,原子力施設の建屋・構造物は頑丈な鉄筋コンクリートからなり,解体から発生するすべてのコンクリートを放射性廃棄物として取り扱うことは合理的ではない。そこで,建屋・構造物から放射性の部分のみを分離し,発生するコンクリートを非放射性廃棄物として取り扱う必要がある。これには,建屋表面の放射能汚染を除去し,建屋の床,壁および天井の全表面にわたって有意な汚染のないことを確認(確認測定)した後,建屋を非放射性廃棄物として解体撤去することになる。
    1986年から1996年に行われた日本原子力研究所(原研)の動力試験炉(JPDR: Japan Power Demonstration Reactor)の解体作業における建屋コンクリートの確認測定は,そのほとんどが汎用の表面汚染検査計(β線+γ線)を用いた作業員による測定作業であったため,多くの労力と時間を費やす結果となった。また,確認測定は,原子力施設の運転により発生した人工放射性核種が残っていないことを示すために実施したが,バックグラウンド計数率の変動が大きく,計数率が小さい場合には汚染のないことを確認することが容易ではなかった。バックグラウンド計数率は,コンクリート中に含まれる40K等や測定範囲外に存在する埋設配管等からの放射線に起因しており,その大部分が40K等のγ線である。作業員の負担を軽減し,効率化を図るには,測定作業の自動化が有効である。また,代表的な汚染核種である60Co(β線とγ線を放出)からのβ線の測定は,飛程が短く,バックグラウンド計数率が低いため,測定範囲の汚染を正確に把握し,低レベルの汚染を検出できる可能性がある。
    そこで,バックグラウンド計数率の変動に影響されず,低レベルの放射線を自動測定することを目的に,測定対象物から放出されるβ線とγ線を分離してβ線のみを評価する積層型検出器を考案するとともに全方向に移動可能な自動走行ロボットを開発した。さらに,積層型検出器を自動走行ロボットに搭載し,コンクリート表面における低レベル放射能汚染を自動測定する建屋表面汚染測定装置(RAPID-1600: Radiation Measuring Pilot Device for Building Surface Contamination with 1,600cmcm2 Detectors)として完成した。
    本報は,RAPID-1600の開発およびその特性についてまとめたものである。
  • 井頭 政之, 柴田 恵一, 高野 秀機, 山野 直樹, 松延 廣幸, 喜多尾 憲助, 片倉 純一, 中川 庸雄, 長谷川 明, 岩崎 智彦, ...
    2004 年 3 巻 1 号 p. 128-139
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2010/01/21
    ジャーナル フリー
    This technical note summarizes research activities on nuclear data carried out by Japanese Nuclear Data Committee (JNDC) committee during the fiscal years of 2001 and 2002. During this period, the newest version of general purpose nuclear data library JENDL-3.3 was completed, and it was released after intensive benchmark tests were performed. Other activities such as special purpose files, research on fission yields and nuclear structure data are described as well as a summary of 40-years of JNDC.
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