4種類のセメント(普通ポルトランドセメント,早強ポルトランドセメント,2種類のビーライト系セメント),混和材(石灰石粉,シリカフューム)および混和剤(膨張材,収縮低減剤,発泡剤)を用いたセメントペーストについて,配合条件が収縮に及ぼす影響を調査した.結果を以下に示す.
(1)セメントペーストの収縮は2段階の水和収縮(一次水和収縮,二次水和収縮)と乾燥収縮の3種類に大別され,初期の一次水和収縮は他の2つの収縮に比べて大きい.
(2)ビーライト系セメントの使用は二次水和収縮と乾燥収縮の低減に有効である.しかし,ビーライト系セメントを使用すると一次水和収縮は増大する.
(3)膨張材と収縮低減剤の併用は水粉体比が極めて低い領域での二次水和収縮の低減に有効な手段である.
(4)重回帰分析の結果より,セメントペーストの収縮量は構成材料の種類と配合条件を基に予測可能である.
(5)収縮低減のために配合の最適化を行なったところ,水和収縮と乾燥収縮は大幅に改善された.
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