本研究では, キルンの安定運転と廃プラスチックの増量を両立する条件を見出すため, 熱流体シミュレーションを用いて, 当社で開発したTaiheiyo Multi-Purpose(TMP) キルンバーナの運転条件が, 廃プラスチックのキルン内落下率やキルン内燃焼挙動に及ぼす影響について評価した. その結果, TMPバーナの直進外流, 旋回外流, 旋回内流ポートの風速または風量の増加は, 廃プラスチックの燃焼速度の増加, およびクリンカ表面への廃プラスチック落下量の減少に寄与することが確認された. また, 直進外流の風量または風速の増加が, キルン内の発熱履 歴やガス温度履歴に与える影響は小さく, 従来の運転条件と同等のキルン内燃焼挙動が得られた. 風量および風速が廃プラスチックの燃焼挙動に及ぼす影響度は, 両者でほぼ同じであるものの, 風量の増加はキルン内への大気流入量が多くなり燃費を悪化させるため, 直進外流の風 速を増加させることが最適な条件と考えられた.
抄録全体を表示