太平洋セメント研究報告
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2021 巻, 180 号
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表紙・裏表紙
巻頭言
論文
  • 平野 燿子, 坂井 悦郎, 森 泰一郎, 黒川 大亮
    2021 年 2021 巻 180 号 p. 3-12
    発行日: 2021/07/30
    公開日: 2025/01/12
    研究報告書・技術報告書 フリー
     CO2排出削減とリサイクル原単位維持の両立を目指し, 少量混合成分とアルミネート相を増量した新規普通ポルトランドセメント(OPC)設計において, セメントの水和熱とコンクリートの熱特性の関係を検討した. アルミネート相を約1%増量し少量混合成分を10%としたセメントを用いたコンクリート試験では, 断熱温度上昇量は基準OPCを用いた場合と同等となった. 当該設計における28日水和熱は, 現行のJIS R 5203 に準拠して算出した場合, 基準セメントに対して約20 J/g上昇した. しかし, 強熱減量の影響を受けない修正法で算出した場合, 28日水和熱の上昇幅は約10J/gに抑えられた. 水和熱の計算方法を修正し, 強熱減量が水和熱に与える影響を排除することで, 水和熱とコンクリート熱特性の整合性が向上する可能性が示唆された.
  • 林 建佑, 髙野 美育, 桐野 裕介, 内田 俊一郎
    2021 年 2021 巻 180 号 p. 13-30
    発行日: 2021/07/30
    公開日: 2025/01/12
    研究報告書・技術報告書 フリー
     本研究では, 資源循環型社会の構築に向けた取り組みの一環として, 廃棄物を多量に使用した人工細骨材の設計を行い, それを使用したモルタルおよびコンクリートの性能を評価した. 人工細骨材の製造にはロータリーキルンを使用することを想定しており, 原料組成の決定に際しては焼成温度幅を広く得られるものを電気炉実験にて選定した. また, 電気炉実験により決定した原料を小型テストキルンにて焼成し, 得られた焼塊物を破砕・分級を行うことで新し人工細骨材を試製した. モルタル実験やコンクリート実験では, 試製した人工細骨材に加えて普通ポルトランドセメントクリンカーから製造した細骨材を用いた. 本研究の結果, 新しい人工細骨材のモジュラスは水硬率(HM)=1.10, 珪酸率(SM) ≦ 2.40 が適していることがわかり, このような組成に調整した原料を用いたテストロータリーキルンを使用した実験においても安定して焼塊物が得られることが確認できた. このようにして得られた新しい人工骨材は, ビーライトを含むものの水硬性が著しく低く, コンクリートに有害とされるf.CaOを含まないものであり, 貯蔵面で有利なものであると考えられた. また, これを使用したモルタルやコンクリートの評価の結果, 普通ポルトランドセメントクリンカーを細骨材として使用した場合のような高機能化は期待できないものの, 汎用的な細骨材と強度や耐久性の点で同程度の性能を有することが明らかとなった.
  • 河野克哉 , 別府 万寿博, 岸良 竜, 溝口 愛実, 落合 昴雄, 小亀 大佑
    2021 年 2021 巻 180 号 p. 31-40
    発行日: 2021/07/30
    公開日: 2025/01/12
    研究報告書・技術報告書 フリー
     本研究では, 400 N/mm2 程度の圧縮強度を発現する無孔性コンクリート(PFC)の高速衝撃に対する防護性能を評価するため, 鋼繊維混入率と衝突速度を変化させたPFCパネルの飛翔体衝突実験を行った. また, コンクリートの種類が耐衝撃挙動に及ぼす影響を検討する目的で, 圧縮強度30 N/mm2 程度の普通コンクリートを用いた鉄筋コンクリートパネルの実験も実施した. この実験的研究から以下の結果を得た. 1)鋼繊維を混入したPFCパネルの防護性能は, 普通RCパネルの場合よりも大幅に向上する. 2)繊維補強PFCを防護パネルに適用することで, 薄肉化や軽量化が可能となり, 設置コストの低減を図ることができる.
  • 平山 愉子, 山下 弘樹, 大神 剛章
    2021 年 2021 巻 180 号 p. 41-54
    発行日: 2021/07/30
    公開日: 2025/01/12
    研究報告書・技術報告書 フリー
     90 wt.%以上の活物質を含む正極において, 電極配合がリチウムイオン電池の電気化学的特性に与える影響を評価した. 正極は, 活物質としてLiMn0.7Fe0.3PO4/C造粒体, 導電助剤としてアセチレンブラック(AB), 結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を使用し, N-メチル-2-ピロリドンと混合して作製した. 反射電子像より解析した正極表面の活物質面積率は, AB量の増加に伴い減少した. 正極の導電率は, AB量の増加, 活物質量の減少に伴い増加した. 90-99 wt.%の活物質を含む正極の0.2 C における放電容量は153.1-157.3 mAh g−1を示し, 活物質量の減少に伴い増加した. このときエネルギー密度は560.5-592.0 Wh kg−1であった. また, 90-98 wt.%の活物質を含む正極の5/0.2 Cにおける容量維持率は79.8 -91.5 %を示し, 活物質量の減少に伴って増加した. これは, 電荷移動抵抗の低下によるものと考えられる. 90-99 wt.%の活物質比率において, AB/PVDF比=1/3, 1, 3のうち1 が最も低い電荷移動抵抗および最も高いレート特性を示した.
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