太平洋セメント研究報告
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最新号
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表紙・裏表紙
巻頭言
論文
  • 金田 涼, 山口 麻衣子, 細川 佳史
    2026 年2026 巻190 号 p. 3-12
    発行日: 2026/07/29
    公開日: 2026/08/18
    研究報告書・技術報告書 フリー
     クリンカー鉱物の組織形態や光学的特性は,その製造過程で受ける熱履歴により変化し,熱履歴はクリンカー鉱物の水和活性にも影響を与える.したがって,クリンカー組織の顕微鏡観察で得られる情報は,製造条件の推定や品質制御の指標として有用であり,プロセス・品質制御の両面において重要である.一方,顕微鏡観察による評価は観察者の目視判断に依存するため,一定精度の観察には高度な技術と経験が求められ,単位時間当たりの測定量にも限りがある.そのため,実製造におけるオンライン適用が難しい.そこで,人工知能(AI)と画像処理を活用した,熱履歴の自動分析システムを開発した.本論文では,異なる熱履歴を受けたクリンカーを対象に,顕微鏡技術者と本システムによる評価結果の比較を行った.その結果,本システムでは焼成条件によるビーライトの組織形態や光学的特性の変化を,顕微鏡技術者と同等の基準で評価可能であることが示された.
  • 住吉 裕次郎, 野中 潔, 岸良 竜, 池田 茜
    2026 年2026 巻190 号 p. 13-21
    発行日: 2026/07/29
    公開日: 2026/08/18
    研究報告書・技術報告書 フリー
     コンクリートの養生温度は強度発現に大きく影響するため,養生時のコンクリート温度測定を施工時の品質管理に活用する試みがこれまでなされてきた.一般にコンクリート温度の測定には熱電対などの有線センサが使用されるが,実工事では配線作業の負担等の理由により,有線センサによる測定は困難な場合が多い.そこで著者らは,配線を必要とせず近距離無線通信で温度履歴を計測・取得可能な温度センサRFID タグを用いた養生管理システムを開発した.コンクリート版体中に本システムを適用し,打設直後からの温度測定結果を有線センサと比較した結果,温度センサRFID タグは有線センサと同等の測温精度を有することを確認した.さらに,本システムをコンクリート舗装工における初期目地切削の実施時期判定に適用した結果,温度センサRFID タグの測定結果から算出できる積算温度を用いることで,目地切削時期を判定することが可能となり,舗装工事現場における施工の省力化・効率化に貢献できると考えられた.
  • 大澤 紀久, 石井 智子, 石井 健嗣, 新堀 雄一
    2026 年2026 巻190 号 p. 22-34
    発行日: 2026/07/29
    公開日: 2026/08/18
    研究報告書・技術報告書 フリー
     高レベル放射性廃棄物を地下に処分する際には、廃棄物の周りに「緩衝材」と呼ばれる粘土(ベントナイト)の層が設置され,核種の移行を抑制するなどの重要な役割を果たすことが期待されている.しかし,日本のように地下水が多い環境では,この粘土が水の流れによって削られ,流出する可能性がある.本研究では,X線CTと分光光度法を用いて,粘土が削られる際に発生する水みちの形状と流出量を詳しく測定した.その結果,水の流量が変わっても「見かけの流出速度定数(削られやすさを示す値)」はほぼ一定であることが分かった.この値を使えば,粘土の流出量を予測し,緩衝材の機能に及ぼす影響を評価できる可能性がある.また,X線CTが粘土の内部変化を非破壊で測定できる有効なツールであることも示された.
報告
  • 藤原 有彩, 石田 征男, 林 建佑, 米山 暁, 小畠 明, 梶屋 敬一郎, 中村 敦士, 中村 美咲
    2026 年2026 巻190 号 p. 35-47
    発行日: 2026/07/29
    公開日: 2026/08/18
    研究報告書・技術報告書 フリー
     当社では,建設業界における環境負荷低減型コンクリートの需要拡大に伴い,2025年9月より高炉セメントC種を販売開始しており,高炉セメントC種の販売に向け,適正かつ有効な利用を促進することを目的とした技術資料の整備を行った.本報では,当社が販売している高炉セメントC種(BC)を用いて作製したコンクリートのフレッシュ性状,強度特性,および各種耐久性の評価で得られた結果について報告する.BCを使用したコンクリートにて所定のスランプおよびスランプフローを得るために必要な高性能AE減水剤(SP)量は,いずれの環境温度においても,標準的な使用量であり,普通ポルトランドセメント(N)の場合と比較して必要なSP量が少なくなった.BCを使用したコンクリートは,Nを使用したコンクリートと比較して材齢初期の圧縮強度は低いものの,長期にわたる強度増進が大きかった.また,環境温度が高いほど材齢7日の圧縮強度は大きく,材齢7日以降の圧縮強度の増進は環境温度が5℃の場合は20℃の場合と同程度であるが,35℃の場合は小さくなった.BCを使用したコンクリートの耐久性として,乾燥収縮試験ではNの場合と比較して,質量減少率が小さく,乾燥期間26週における長さ変化率は同等以下であった.BCを使用したコンクリートは,Nを使用した場合と比較して明確に耐硫酸性が優れていることを確認した.
  • 野中 潔, 岸良 竜, 鈴木 伸明, 堀之内 晋也
    2026 年2026 巻190 号 p. 48-54
    発行日: 2026/07/29
    公開日: 2026/08/18
    研究報告書・技術報告書 フリー
     タイル張り外壁は広く利用される外装仕上げであるが,経年劣化による剥離・落下事故が生じる恐れがある.建築基準法で定期的な外壁点検が義務付けられているが,点検費用や入居者等との調整コストは建築物の管理者の負担となっている.
     著者らが開発した「ウォールサーベイシステム」は,屋上から吊り下げて走査するウォールサーベイロボと,延伸することで地上から最大7.5mの高さの外壁にアクセスできるウォールサーベイロッドを用いる打診技術である.両者は,円運動する打撃部を搭載しており,効率的に壁面を連続打撃することができる.本報では実建築物を対象に従来の手打診との比較によりタイル浮きの検出精度を評価した事例を紹介する.
     これらの結果に基づき,本技術は日本建築防災協会の技術認証制度により国土交通省告示に示す打診方法と同等の精度を有する技術であることが認められ,2025年7月に法定点検(12条点検)での使用が可能となった.
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