第1報で報告した差分法による沿道自動車排出ガス拡散モデルの検証を行うため, 縮尺1/150の市街地模型を用いて風洞拡散実験を行い, 計算結果との比較を行った。これに先立ち, モデルを3次元問題に適用するための境界条件の設定法を整理した。風洞模型実験では, 平面, 堀割, 盛土, 高架の4種の道路構造と高層ビル, 中層ビル, 低層住宅の3種類の建物模型を組み合わせてさまざまな仮想的市街地を表現できるようにした。トレーサーガスにはエタンを使用し, 1つの設定について数十~数百地点で濃度を測定した。実験は道路直交風について行った。
2次元構造として, 平坦地において道路構造を変化させる4種類と建物高さの異なるストリートキャニオン2種類の計6種類を, また, 3次元構造として道路に沿ったビルとビルの間隔を考慮したストリートキャニオンとこれに高架道路の加えた2種類を設定し, 各々2次元, 3次元差分モデルの結果と比較した。すべての設定について, 両者の結果は概ね一致した。風洞実験結果との比較から, 差分モデルにおいて, 発生源近傍や濃度勾配の大きい領域の格子幅を小さくとること, 構造物による気流への影響のスケールに比べて十分大きな計算領域をとることの必要性が明らかにされた。風洞実験で得られたモデルの拡散パラメータの値は前報で野外実験結果から得られた値より小さく, モデルの実フィールドの適用に際しては風洞との条件の相違に注意が必要である。
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