オゾンのビタミンCへの影響を明らかにするため, 0.2~4.1ppmオゾンを4~16時間暴露したマウス肺のアスコルビン酸およびデヒドロアスコルビン酸の変化を検討した。結果は以下のとおりである。
1. 全肺のアスコルビン酸は0.5ppm以上, 4時間または0.2ppm以上, 8時間暴露で有意に減少した。デヒドロアスコルビン酸は変化しなかった。8時間以内の暴露では, アスコルビン酸の減少は暴露量 (濃度×時間) に比例した。アスコルビン酸の減少をもたらす暴露量限界値は0.6ppm・hと計算された。
2. 減少した全肺のアスコルビン酸は暴露終了後増加に転じて対照値以上となり, 後減少し対照値に近づいていった。
3. 気道洗浄によって得られる気道のアスコルビン酸の比率は全肺の約5%であった。気道のアスコルビン酸は肺組織のそれよりもオゾン暴露によって著しく減少した。
4. 全肺のα-トコフェロールは4.1ppm, 4時間暴露でも変化しなかった。
5. 全肺の還元型グルタチオンは4.1ppm, 4時間暴露で有意に減少した。全肺の約1%を占める気道の還元型グルタチオンは2.0ppm, 4時間暴露で有意に減少した。
6. 以上の成績から, マウス肺のビタミンCはα-トコフェロールおよび還元型グルタチオンよりオゾンの影響を受け易いことが示された。その主な原因は, ビタミンCの気道に分布する比率の高いことによるものと考えられた。ビタミンCのオゾン毒性軽減作用は, 肺におけるオゾンとの高い反応性によるものと推察された。
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