大気環境学会誌
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31 巻, 5 号
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  • 岡島 重伸, 武田 信生
    1996 年 31 巻 5 号 p. 185-190
    発行日: 1996年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    有機ハロゲン化合物の分解方法には酸化分解法と還元分解法があるが, 本実験では, 揮発性有機ハロゲン化合物を活性炭を用いて還元分解することを目的として行った。モデル化合物として選んだCFC-113 (CCl2FCClF2) の分解実験では, CFC-113は活性炭によって還元分解が300℃ からはじまり, 600℃ になると中間生成物も認められなかった。この還元分解の水素源には水分が利用できた。中間生成物としては, 塩素の脱離によりクロロトリフルオロエテンが多く生成したが, CFC-12やCFG13も検出された。また, 活性炭による還元分解は四塩化炭素やテトラクロロエチレンといった揮発性の有機塩素化合物の分解にも効果が認められた。
  • 雨谷 敬史, 烏蘭 参丹, 松下 秀鶴
    1996 年 31 巻 5 号 p. 191-202
    発行日: 1996年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Passive samplerを用いた, 室内空気中の9種類の有機ハロゲン化合物濃度およびこれらの化合物の個人曝露濃度を精度良く測定しうる簡易分析方法を開発した。
    本法は分子拡散を利用した有機ハロゲン化合物の捕集, トルエンを用いた振盪抽出, GC/ECDによる分離分析の諸操作から成り立つ。用いたsamplerは, 多孔質PTFEチューブに活性炭を詰めたもので, 市販品を改良して有効捕集長と活性炭の充填量を均一にしたものである。Passivesamplerによる各化合物の捕集量から空気中の濃度への換算式は, 一般環境でのactive samplerとの併用実験結果から求めた。Passive samplerへの各化合物の添加回収率はo-dichlorobenzeneの80.1%を除けば88.3-106.3%とおおむね良好であり, また, 本サンプラーは, アルミニウム製の袋の中にしまうことで少なくとも一週間は安定であることを確認した。本分析法は高感度で, 各化合物の定量下限値は1。4-99pg (s/n=10) の範囲にあった。サンプリングから分析に至る全過程を含む測定値のサンプラー間のばらつきはcv値で3.1-8.4%と小さく, 室内等の実態調査に使用可能と判断された。有機ハロゲン化合物の室内および個人曝露濃度測定の一例として, 静岡市における2家庭の屋外・居間・台所・寝室・浴室, およびその家庭内の協力者1名の個人曝露濃度測定を行った結果, 9種類の分析対象化合物のうち7種類が検出された。
  • 河野 吉久, 松村 秀幸, 小林 卓也
    1996 年 31 巻 5 号 p. 203-212
    発行日: 1996年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    黒ボク土に植栽したスギ, ヒノキ, サワラに対して人工酸性雨 (SAR) を23ヵ月間暴露し, 土壌の理化学性の変化と根の乾物生長との関係について検討した。SARのpHは4.0, 3.0, 2.0および純水 (pH5.6) の4段階とし, 暴露したSARの総降水量は2460, 3960および5450mmの3段階を設定した。また, 土壌養分条件として施肥・無施肥の2区分を設けた。
    土壌pHは, 暴露したSARのpHが4.0の場合にはpH5.6との間に差異がみられなかった。pH2.0のSARを23ヵ月間暴露した結果, 土壌pHは4.0に低下した。施肥した区画の方が無施肥の場合よりも土壌pHが低い傾向にあったが, 暴露した総降水量, 植栽した樹種の相違は, 土壌pHに対して有意な影響を与えなかった。
    SARを5450mm暴露したスギ植栽土壌を対象にして, 水溶性と交換性塩基類とAlの濃度について検討した。その結果, pH2.0のSARを暴露した場合, 土壌pHの低下に伴って交換性のCaおよびMg濃度の低下と水溶性Al濃度の顕著な上昇がみられた。このため,(K+Ca+Mg)/Alのモル濃度比は顕著に低下した。この比の経時変化を検討した結果, SARの暴露を開始してから1年後の時点でほぼ平衡状態に達していた。
    無施肥条件下の根の乾物重量を検討した結果, SAR暴露によって (K+Ca+Mg)/A1のモル濃度比が顕著に低下し, A1濃度が高くなっても, 供試した針葉樹の根の乾物重量には有意な影響がみられなかった。このため, 酸の負荷に伴う土壌酸性化現象が, 供試した針葉樹の衰退要因となる可溶性は小さいものと考えられた。
  • 渡辺 征夫, 中西 基晴, 前田 恒昭, 畠山 史郎
    1996 年 31 巻 5 号 p. 213-223
    発行日: 1996年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Peroxyacyl nitrates類 (PANs) は, 反応性の窒素化合物の重要なリザーバーとして注目されており, 全球的な環境分布の解明が重要な課題となっている。そこで, PANsの主要な構成成分であるPeroxyacetyl nitrate (PAN) とPeroxypropionyl nitrate (PPN) を対象として, 離島など遠隔地の地上調査あるいは対流圏内の航空機調査に適した低濃度試料の濃縮採取・分析法を検討し, 電源の必要ない簡易な試料採取法, 24時間連続的に試料採取するための装置, 航空機用の軽量で高精度の試料採取装置, それに熱的に不安定なPANsのための粒状ドライアイスを利用した保存・運搬法などを開発, 考案した。これらの手法や装置を用いて, これまで, 対馬, 隠岐, 屋久島, 佐渡などの離島, あるいは東シナ海, 黄海, 対馬沖から男鹿半島に至る日本海などの上空においてPANsの地上あるいは航空機観測を行い, 離島で約330, 航空機により約200の試料を採取して分析した結果, 各観測の平均値の幅は, PAN;0.1-0.4ppb (V/V), PPN;0.01-0.03ppbと, 欧米の遠隔地域と比較して幾分高いことを認めた。
  • 安達 隆史
    1996 年 31 巻 5 号 p. 224-231
    発行日: 1996年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    海上の大気汚染濃度を評価する場合に適用する目的で, Pasquill-Giffordの線図 (PG図) 又はTurnerの線図 (PGT図) の鉛直方向拡散幅 (σz) に対応する, 鉛直方向乱流強度 (σw/U) による大気安定度分類法を研究した。
    この研究に採用された主な手法は,(1) 接地気層の相似則を利用したもの,(2) 米国原子力規制委員会の指針に採用された水平風向変動幅による大気安定度分類法および, 大気安定度階級毎に100mの距離におけるPGT図のσyとσzとの比を利用したもの,(3) 米国環境保護庁のガイドラインに採用された鉛直方向の風向変動幅による大気安定度分類法を利用したものである。これらの3種の方法による結果は大差なかったので, 平均して表にまとめた。この表は陸上の平滑地ばかりでなく, 放出源から1km程度以内の海上拡散にも適用可能である。
  • 松村 芳美
    1996 年 31 巻 5 号 p. A121-A130
    発行日: 1996年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 戸塚 績
    1996 年 31 巻 5 号 p. A131-A132
    発行日: 1996年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
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