大気環境学会誌
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33 巻, 1 号
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  • 矢野 壽人, 橋本 修左, 米村 惣太郎, 正田 誠
    1998 年 33 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1998/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    窒素系悪臭化合物に対する最適な脱臭剤 (吸着剤) を選定することを目的として, アンモニアを対象として各種吸着剤について静的吸着法と動的吸着法による性能検定を行った。
    静的吸着法による性能検定においては, 物理吸着剤と化学吸着剤を含む21種類の市販吸着剤について, アンモニア吸着量を測定した。高い吸着能を有する吸着剤は物理吸着剤ではNo.6, 化学吸着剤ではNo.18, No.19, No.20であり, 吸着温度30℃, 平衡圧力50mmHgにおいてそれぞれ0.0160g/g, 0.0284g/g, 0.0250g/g, 0.0249g/gの吸着量を示した。各吸着剤に対するアンモニアの吸着型はフロインドリッヒ型に適合していた。また, 比表面積, 細孔容積, 平均細孔半径, pHと吸着量の関連性を検討したが, pHとの間に相関性が認められた。したがって, pHは吸着剤の選定指標になりうることが明らかとなった。
    動的吸着法による性能検定においては, 前記4種類の吸着剤について, 10%破過時間を指標として検定を行った。静的吸着法で吸着量の大きな吸着剤の方が破過時間は長くなるが, 吸着量と破過時間の間には比例関係は認められなかった。したがって, 吸着剤の性能検定においては, 静的吸着法の吸着量による検定だけでは不十分であり, 動的吸着法の破過時間による検定が重要であることが明らかとなった。
  • 増田 淳二, 福山 丈二, 藤井 知
    1998 年 33 巻 1 号 p. 10-15
    発行日: 1998/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    悪臭対策として, 活性炭吸着法はもっとも利用される方法の一つである。その設計に関しては, 吸着容量や速度が重要な因子である.これらの因子は, 使用する温度や湿度の条件により大きな影響を受ける。そこで, 硫化水素を用いて活性炭吸着における温湿度の影響を実験室的に検討した。活性炭による硫化水素の除去は, 単に吸着だけでなく酸化作用を伴うため, 現象は複雑であった。すなわち物理吸着量は温度上昇により減少する半面, 酸化分解速度は温度上昇により増加した。また, 被処理ガスの湿度が大きくなると除去能力が大きくなった。また, 除去速度は硫化水素の濃度にも大きく依存した。活性炭吸着設計ではこれらの因子を的確に把握することにより, より経済的で有効的な利用が可能になると思われた。
  • 松村 秀幸, 小林 卓也, 河野 吉久
    1998 年 33 巻 1 号 p. 16-35
    発行日: 1998/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    針葉樹のスギとウラジロモミおよび落葉広葉樹のシラカンバとケヤキの苗木に, 4段階の濃度のオゾンと2段階のpHの人工酸性雨を複合で20週間にわたって暴露した。オゾンの暴露は, 自然光型環境制御ガラス室内において, 1991および1992年に観測した野外オゾン濃度の平均日パターンを基準 (1.0倍) とした0.4, 1.0, 2.0および3.0倍の4段階の濃度で毎日行った。オゾン濃度の日中12時間値 (日最高1時間値) の暴露期間中平均値は, それぞれ18 (29), 37 (56), 67 (101) および98 (149) ppbであった。人工酸性雨の暴露は, 開放型ガラス室内において, 夕方から, pH3.0の人工酸性雨 (SO42-: NO33-: Cl-=5: 2: 3, 当量比) および純水 (pH5.6) を, 1週間に3回の割合で, 1時間あたり2.0~2.5mmの降雨強度で1回8~10時間行った。
    シラカンバとケヤキでは, 2.0倍および3.0倍オゾン区において白色斑点や黄色化などの可視障害が発現し, 早期落葉も観察された。ケヤキでは, pH3.0の人工酸性雨区においても可視障害が発現したが, シラカンバでは人工酸性雨による可視障害は全く認められなかった。スギとウラジロモミでは, オゾンあるいは人工酸性雨の暴露による葉の可視障害は全く認められなかった。最終サンプリングにおけるスギ, シラカンバおよびケヤキでは, 葉, 幹, 根の各器官および個体の乾重量はオゾンレベルの上昇に伴って減少した。ウラジロモミでは, 根乾重量がオゾンレベルの上昇に伴って減少した。一方, pH3.0区におけるウラジロモミおよびケヤキの葉および個体の乾重量はpH5.6区に比べて減少した。また, スギ, シラカンバおよびケヤキの純光合成速度はオゾンレベルの上昇に伴って減少した。シラカンバおよびケヤキでは, 葉内CO2濃度一光合成曲線の初期勾配である炭酸固定効率もオゾンレベルの上昇に伴って低下した。ウラジロモミではオゾン暴露によって暗呼吸速度が増加した。さらに, pH3.0区におけるウラジロモミおよびケヤキの暗呼吸速度もpH506区に比べて減少した。オゾンと人工酸性雨の交互作用は, 供試したいずれの4樹種の地上部と根の乾重量比 (T/R) において認められ, オゾンレベルの上昇に伴うT/Rの上昇の程度がpH5.6区に比べてpH3.0区において高かった。
  • 金 元植, 青木 正敏, 堀江 勝年, 伊豆田 猛, 戸塚 績, 塩谷 哲夫
    1998 年 33 巻 1 号 p. 36-41
    発行日: 1998/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    野外のトウモロコシ群落 (観測期間11995年7月29日~8月10日, LAI: 5.7, 日中平均正味放射量: 557Wm-2) とエンバク群落 (観測期間1995年10月21日~27日, LAL3.8, 日中平均正味放射量: 296Wm-2) を対象とし, 二酸化炭素 (CO2) の沈着速度 (KCO2) とオゾン (O3) および二酸化窒素 (NO2) の沈着速度 (KO3, KNO2) を熱収支ボーエン比法を用いて観測した。観測したデータからKCO2とKO3およびKNO2の比であるO3の沈着比例定数 (RKO3) とNO2の沈着比例定数 (RKNO2) を求めた。
    トウモロコシ群落とエンバク群落のRKO3の日中平均値はそれぞれ2.2と5.1であり, 植物群落の種類による差異が認められた。植物群落間のRKO3の差はKO3の植物群落間の差というよりはKCO2の差, すなわち植物群落の光合成能力の差, が主な原因であると考えられる。また, エンバク群落のRKO3とRKNO2はそれぞれ5.1と3.8であり, ガスの種類による差異も認められた。
  • 中嶋 敏秋, 近藤 秀治
    1998 年 33 巻 1 号 p. 42-49
    発行日: 1998/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    札幌市内の2ヵ所で, 1997年3月まで4~5年の長期間にわたって大気中のクロロホルム, 四塩化炭素, 1, 1, 1-トリクロロエタン, トクリロロエチレンおよびテトラクロロエチレンの測定を行い, 大気中濃度の実態や挙動について考察した。
    各有機塩素化合物の濃度はおおむね夏期に低く, 冬期に高くなる傾向を示した。調査期間中, 四塩化炭素濃度および1, 1, 1一トリクロロエタン濃度は増加する傾向がみられた。一方, トリクロロエチレン, テトラクロロエチレンおよびクロロホルムの各濃度は減少する傾向が見られた。
    各有機塩素化合物とも市の中心部に近い環境研の方が, 市の中心部から離れている真駒内より高濃度を示したが, 反応性が小さく分解しにくいために大気中に長期間残留する四塩化炭素と1, 1, 1-トリクロロエタンは, 両地点間の濃度比が小さく, 度数分布が正規対称分布であることからも両地点で測定された四塩化炭素と1, 1, 1-トリクロロエタンは, 広域汚染によるものであると考えられる。一方, クロロホルムとテトラクロロエチレンの濃度比が大きいのは, 地域の発生源の有無あるいは大気中での分解のしやすさによるものと考えられる。
    真駒内で測定された各有機塩素化合物の濃度は, 風向きによる変動や風速との相関関係が認められず, 地域の発生源の影響を受けない広域汚染によるものと考えられる。
  • 李 萌堂, 笠原 三紀夫
    1998 年 33 巻 1 号 p. 50-59
    発行日: 1998/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    1991~95年の5年間における中国南部地域での降水の年平均pH値の分布やpH値が5.6以下となる酸性雨の発生頻度について調べた。酸性雨が最も深刻な地域は, 中国南部の中心付近に位置する四川盆地, 貴州, 湖南, 江西 (SGHJ) 地域である。SGHJ地方における雲や風降雨などの気象状況についてまとめ, 酸性雨の発生過程について考察した。
    最も低い年平均降水pH値は3.8であり, また数都市で酸性雨の発生頻度が90%を越えた。エネルギー消費量はSGHJ地域よりもむしろ沿岸地域の方が大きい。酸性雨の原因としてはSO2の排出量が第1の要因ではあるが, 雲量や湿度, 弱風といったような気象因子も, SGHJ地域の酸性雨に深く係わっていると考えられる。年平均の雲量は酸性雨の最も深刻な四川盆地や貴州地区が最大である。SGHJ地域の年間降雨量は1200~1600mm程度で, 2000mm近い沿岸地域と比較すると若干少ないが, 降雨日数は沿岸地域よりもむしろ多い。またSGHJ地域の風速や風向あるいは地形条件は, 地域外への汚染物質の拡散に適しているとはいえない。
  • 宮崎 正信
    1998 年 33 巻 1 号 p. A1-A8
    発行日: 1998/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
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