大気環境学会誌
Online ISSN : 2185-4335
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34 巻 , 3 号
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  • 須藤 幸藏
    34 巻 (1999) 3 号 p. 147-161
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    積雪寒冷地において, 昭和50年代に, スパイクタイヤの使用に伴う道路粉じんが新たな環境問題として顕在化した。特に北海道, 宮城県, 長野県などの都市部においては環境悪化が著しく, 都市生活型公害として解決を迫られた。本稿では, やや旧聞になるが宮城県における取組とスパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律制定に結実するまでの経緯を紹介し, 併せて近年の浮遊粒子状物質対策の動向を概説する。
    なお, 私にはスパイクタイヤ粉じんおよび浮遊粒子状物質に関する研究実績はなく, 斉藤潔賞の受賞は地方行政官としての大気環境行政に対するこだわりが評価されたものと理解している。したがって本稿には行政対応事例の紹介が多く, また, 私事にわたる記述も多いことをあらかじめお断わりしておく。
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  • 小林 和彦
    34 巻 (1999) 3 号 p. 162-175
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    対流圏のオゾン濃度は, 19世紀以来現在までに2倍以上に増え, 更に都市の汚染空気が加わって, 植物に有害なオゾン濃度にしばしば達するようになった。1950年代にアメリカで, 農作物の葉に生じる傷害の原因がオゾンであることが確かめられて以来, 多くの研究が行われた結果, オゾンが農作物生産に大きな影響を及ぼしていることが分かってきた。アメリカでは1980年以降, オープントップチャンバーを用いたオゾン暴露実験が進み, オゾン濃度と農作物減収とのドウスーレスポンス関係 (D-R関係) が, 多くの農作物について確立された。そしてD-R関係を用いた影響評価の結果, オゾンがアメリカの農業生産量を減少させ, 大きな経済的影響を及ぼしていることが分かった。やや遅れてヨーロッパでも同様の研究が進み, 者コムギ等の農作物についてD-R関係が確立された。日本では1986年から行われた研究により, イネについてD-R関係が確立され, 関東地域のコメ生産に及ぼすオゾンの影響が評価された.その結果, 1981~1985年の5年間におけるオゾンによるコメの減収は, 場所と年により変動するが最大10%に達し, コメ生産量の減少は関東地域の全生産量の最大4.5%に及ぶことが分かった。更にモデルを用いた研究により, D-R関係が変動する原因が, 水ストレスやオゾン濃度の季節的変動の他, 一般に農作物の生長自体の変動にあることが分かった。
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  • 森 淳子, 鵜野 伊津志, 若松 伸司, 村野 健太郎
    34 巻 (1999) 3 号 p. 176-191
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    長崎県南東部の雲仙野岳 (標高1,142m) で1989年8月~11月にかけて, O3, SO2, 気象要素とエアロゾルの同時観測を行った。観測期間中には阿蘇火山の活動が激しく, 阿蘇と桜島からの火山プリュームに起因すると考えられるSO2の高濃度を観測した。観測結果を10μgm-3以上のSO2の高濃度が表れた22事例について, 高層気象データとトラジェクトリー解析かちそれらの起源を推定した。その結果, 9事例の起源は桜島の火山ガスであり, 残り12事例の起源は阿蘇火山のガスであると考えられた。
    九州域の火山起源のSO2, SO42-が観測された場合には, SO2→SO42-への粒子化率は0.01~0.51の範囲に入り, 上記の22例中18ケースが0.35以下であった。
    SO2濃度が2.5μgm-3以下で上記のような火山ガスの影響がないと考えられる期間でも一定の濃度のSO42-濃度 (平均値で5.1μgm-3) が観測された。トラジェクトリー解析の結果から, それらは大陸起源であり, 九州地域のバックグラウンドSO42-濃度レベルには大陸起源のSO42-の存在が重要であることを示唆していた。
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  • 寺園 淳, 酒井 伸一, 高月 紘
    34 巻 (1999) 3 号 p. 192-210
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    阪神・淡路大震災では, 地震発生後に被災地の広範囲で一般環境大気中のアスベスト濃度が上昇した。この原因を探るために, 被災した建築物の解体に伴うアスベスト飛散について, 実測を含めて実態を調査し, 拡散モデルを用いて飛散の影響を検討した。
    まず, 自治体の協力を得て吹付けアスベスト使用状況を詳細に調査し, S造建築物での多くの使用事例や吹付けアスベスト原則禁止後も使用されていた事例などを明らかにした。また, 一般環境濃度上昇の原因として, 吹付けアスベストの除去, 除去後の解体, 並びに非除去解体の現場におけるアスベスト飛散をそれぞれ調べたが, 周囲に最も飛散し影響が懸念されたのは非除去解体であった。
    更に, 被災地の推定アスベスト蓄積量および飛散量から, プルーム・パフモデルを用いて, 環境庁モニタリングの各測定点におけるアスベスト濃度上昇の寄与を試算した。その結果, アスベスト濃度の試算値と実測値の間には弱い正の相関関係がみられ, 試算から実測値のオーダーをほぼ説明できることが示唆されたとともに, アスベスト飛散現場から周辺環境の濃度推定に役立つ情報が提供された。最後に, 非除去解体によるアスベストの飛散を避けるために, 法規制とともに除去費用の負担軽減措置などの必要性を示した。
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  • 井川 学, 中田 典秀, 大河内 博
    34 巻 (1999) 3 号 p. 211-218
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    揮発性有機化合物 (VOC) の降水中濃度についてはこれまでほとんど知られていないことから, 大気試料および雨水試料の分析を行い, これらの濃度の支配要因について検討した。雨水試料については自動雨水採取装置により, 大気試料については連続大気サンプラーにより吸着捕集した後, それぞれをパージ・トラップ法あるいは加熱脱着法によって, ATD-GC/MSにより分析した。得られた分析結果によると, VOCの濃度変動は大きく, ジクロロメタン等はわが国の水質汚濁に係わる環境基準において定められている基準値に近い値まで降水に含まれることがあることが示された。大気中のVOC濃度は, 成分によっては相互に高い相関が見られたが, 降水中VOC濃度間の相関はこれに比して低かった。降水中VOC濃度には無機イオンで見られるような降り始めに高い濃度を示す傾向は見られず, 降雨強度にも依存しなかった。このことはVOCが主に雲内洗浄により雨水に取り込まれることを示唆している。また, 大気中VOC濃度と雨水中VOC濃度との間の相関は成分により異なり, 1, 2-ジクロロエタンやm, p-キシレンでは高い値を示した。
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  • 薩摩林 光, 佐々木 一敏, 鹿角 孝男, 鹿野 正明, 太田 宗康, 西沢 宏, 村野 健太郎, 向井 人史, 畠山 史郎, 植田 洋匡
    34 巻 (1999) 3 号 p. 219-236
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    1991年10月, 1992年11月および1994年3月に実施した共同研究の調査結果を基に, 秋季と初春の中部山岳地域入方尾根 (標高1,850m地点) における酸性・酸化性物質の挙動について解析した。八方尾根における大気質は極東アジアの自由大気下層を輸送される汚染物質を代表すると考えられる。オゾンおよびダスト濃度は1時間毎に, PAN (peroxyacetyl nitrate), SO2および粒子状物質 (NH4+, SO42-, NO3-, Cl-, 金属成分など) の濃度は6時間周期で測定した。
    1991年10月と1992年11月の調査では, 期間中に大気汚染物質濃度は大きく変動したが, オゾン, ダストおよびPAN濃度はそれぞれ50ppb程度, 50μg/m3程度, 1ppb程度まで達することがあった。また, 二次生成物質であるSO42-, 総硝酸 (T-NO3), NH4+にも高濃度現象がみられ, 中でもSO42-が20μg/m3にも達した。このときの陰イオン総量と陽イオン総量の差から酸性粒子 (H2SO4やHSO4-) が多量に存在したと考えられる。SO42-やT-NO3の高濃度時にはSO2のSO42-への変換割合 (Fs) も高く, 反応により生成した二次汚染物質が輸送されたと考えられる。
    1994年3月におけるオゾン濃度レベルは10月や11月に比べ高く, その多くは40~55ppbの範囲にあり, 春季に高くなるオゾン濃度のバックグランド変動を反映していた。SO2, SO42-, TNO3濃度も10月と11月の高濃度現象時のレベルまたはそれ以上になることがあり, また, Ca2+濃度も高くなる特徴などから, 大陸から大気汚染物質や黄砂が長距離輸送されたと考えられる。
    大気汚染物質の高濃度現象におけるバックトラジェクトリーの解析結果より, 大都市や工場地帯を通過してきたと考えられる気塊中にはSO42-とT-NO3が多量に存在し, これらの酸性成分とほぼ同当量のNH4+とCa2+のアルカリ成分が存在した。これに対し, 火山噴煙の影響を受けたと考えられる気塊はSO2やSO42-濃度が高く, T-NO3は低濃度であった。また, SO42-を中和するためのアルカリ成分が少なく, 多量の酸性粒子が存在したと考えられる。
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  • 呉 銀珠, 山口 克人, 近藤 明
    34 巻 (1999) 3 号 p. 237-250
    公開日: 2011/11/08
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    局地循環風である海陸風については数多くの数値モデルによる計算が行われているが, その数値モデルでは, 水平方向については均等格子を用いた直交座標系, 鉛直方向については地形に沿ったz*座標系を用いるのが一般的である。しかし, 海岸線の複雑な形状を直交座標系で表すのは難しく, 海岸線と計算格子網とは一致せず計算誤差が生じる。これを解消するために, 本研究では, 海岸線や山などの複雑な地形形状と計算格子網を一致させることができる境界適合曲線座標系を用いた3次元大気境界層モデルを開発した。
    大阪湾を対象にこのモデルを適用し, FMG (細かい格子網80×80メッシュの直交座標系), CMG (粗い格子網20×20メッシュの直交座標系), BFC (20×20メッシュの境界適合座標系) の計算格子網を用いて計算を行い, 境界適合曲線座標系の有効性を検討した。その際FMG格子で計算した計算結果が正しいと仮定し, CMG格子やBFC格子で計算した計算結果がFMG格子の計算結果に一致するかどうかで計算精度の評価を行った。標高を0と仮定した計算では, 乱流モデルや地表面熱収支モデルを組み込んでも, 海岸線と計算格子網を一致させたBFC格子を用いた計算結果がCMG格子を用いた計算結果に比べて, FMG格子を用いた計算結果に近くなり, BFC格子網を用いる有効性が確かめられた。標高を入力した計算では, 海岸線だけでなく六甲山付近の標高をモデル内に再現できる格子網を用いる方が, 海岸線だけを一致させた格子網よりも精度良く流れ場を計算できることが確かめられた。
    以上の結果より, 海岸線だけでなく実際の標高をモデル内に再現できる格子網を柔軟に作成できる境界適合曲線座標系を用いた大気境界層モデルは, 海陸風のように海と陸の温度差によって起因する局地循環風に対してはきわめて有効であることが示された。
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  • 松田 和秀, 中江 茂, 三浦 和彦
    34 巻 (1999) 3 号 p. 251-259
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    東京都心のビル屋上において1995年3月~1996年2月の1年間, 大気エアロゾルをサンプリングし化学組成分析を行った。大気エアロゾルはニュクリポアフィルタ上に1週間毎に採取し, 蛍光X線分析装置とイオンクロマトグラフィによる定量分析を施した。蛍光X線分析において, 標準試料の作成とマトリクス効果の補正に注意を払い定量分析を行った。2つの装置の併用により, 季節を問わず, 大気エアロゾル濃度の約40%を分析することができた。季節変化について, NH4+, Na+, Mg2+, SO42-は暖侯期に増加, NH4+, NO3-, C1-, P, K, Znは寒侯期に増加する傾向を示した。因子分析法を用いて発生源の推定を行ったところ3つの因子 (Factor) が抽出された。Factor 1は都市大気中で最も強い因子で, 主に人為起源のKおよびZnから構成されていた。Cl-は, 高濃度となる寒侯期においてのみFactor1に系列していた。Factor2は土壌起源元素, 主にA1, Siから構成されていた。これらの成分の季節変動は, 梅雨期に減少が見られる他は明確ではなかった。Factor3は最も弱い因子で, 主にNa+, Mg2+から構成されていた。これらの濃度が増加する夏季には, 海洋からの風が卓越し, 海塩起源のNa+, Mg2+を増加させていることが示唆された。
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  • 小池 孝良
    34 巻 (1999) 3 号 p. A35-A42
    公開日: 2011/11/08
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