耐熱性の高いSiCハニカムを使用したDPFを大型ディーゼルトラックに装着し, 35,000kmの路上走行試験と大型シャシーダイナモメータにおける排出ガス測定等を行い, DPF装着が排出ガスへ与える影響について検討した。その結果, 次の点が明らかになった。
(1) SiCを使用したDPFの場合, 装着による圧力損失の増加は小さく, 排出ガスおよび燃費には大きな影響は与えない。
(2) 再生時に,「白煙」状のスモークが目視により観測され, この現象はPM, THC, CO等の排出ガスの増加として確認された。
(3) この排出ガスの増加分を含めた総括排出量を求めたところ, DPF非装着の排出量と比べて, THCで1.19~1.31倍, COで1.53~1.79倍に増加した。NO
xには影響はなかった。一方, PMは, 再生時の増加を考慮することにより捕集効率が83~88%となった。再生時の影響を考慮しない場合では, 捕集効率が約92%であったのに比較してやや低下した。環境への負荷を把握するためにはこのような総括的な評価が必要である。
また, CO
2変換法を用いて, 炭素成分 (Soot) と揮発性成分 (SOF) それぞれの捕集効率と前述の白煙の原因についても検討した。その結果.
(4) DPFにより, Sootは100%近く捕集されるのに対し, SOFはDPFを約4割が通過することが明らかになった。
(5) 再生時の白煙は, 炭素成分のうちのSOF成分によることが確認された。THC等も増加していることから, 酸化触媒等による更なる低減を検討する必要が認められた。
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