大都市地域の大気の状況は, 二酸化窒素 (NO
2), 浮遊粒子状物質 (SPM) については, 環境基準の達成状況は依然として低い水準にとどまり, 大変厳しい状況にある。
現在, 大気汚染防止法に基づく自動車排出ガス規制 (いわゆる単体規制) および「自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」(以下,「自動車NO
x法」という) 等に基づく各種対策等が進められているところであるが, 自動車走行量の増大等の影響もあり, 十分な成果は上がっていない状況にある。
低公害車の普及は, 自動車交通に起因する大都市地域を中心とした二酸化窒素等による大気汚染対策の1つの柱として期待されてきたものであり, これまで, 政府により, 低公害車の導入に対する補助, 税制上の優遇措置, 技術開発の促進, 普及啓発等が行われ, 低公害車の普及が図られてきた。しかし, 低公害車の普及状況は, 平成12年3月末現在, 全国で約45, 600台にとどまっている。このため, 今後, これまでの取組を更に充実させるとともに, 低公害車の大量普及に向けた制度面の整備が必要であると考えられる。
そこで, 低公害車の大量普及のための制度的な方策について検討することを目的として, 環境庁大気保全局 (現在の環境省環境管理局) に学識経験者からなる「低公害車大量普及方策検討会」(平成9年10月) が設置された。
本検討会では, 低公害車の大量普及のための制度的な方策として,(1) 規制的方策,(2) 経済的措置,(3) 誘導的方策について「中間取りまとめ (低公害車大量普及方策の在り方について)」(平成11年5月) を行い, その後, この「中間とりまとめ」を踏まえ, 更に低公害車を取り巻く最近の動向を踏まえつつ, 自動車メーカーや自動車を使用する事業者等に対する新たな施策について, ケースを想定した試算を含めて検討を重ね, 平成12年10月に,「低公害車大量普及方策検討会報告書」がとりまとめられた。この内容を紹介する。
抄録全体を表示