日本電信電話株式会社では, 通信設備の予防保全の観点から機械室等の環境調査に簡便でかつ安価な金属板暴露法を用いている。 本法が, 室内の環境評価に有効であることを示してきたが, 金属板の暴露期間を短期間にすると, 金属板の設置回収に伴う出張稼動が増加して安価という利点がなくなるという矛盾が生じた。 このため, 短期間暴露でも安価に評価できる方式を検討した。 以下に主な結果を示す。
(1) 金属板の腐食量情報を連続的に記録し, その情報を保持する装置構成を非密閉構造で簡便に実現できる条件を見出した。
(2) 非密閉構造で腐食量情報を連続的に記録する装置,「腐食環境レコーダ」を作製した。 本レコーダは6組の金属板を搭載し, 従来の出張稼動を1/4以下に低減できる特徴を有する。
(3) 本レコーダ方式と従来の金属板暴露方式とを6ヶ所において並行的に約4ヶ月間実験した。 約70個のデータから, 本レコーダ方式のデータが従来の金属板暴露方式のデータとほぼ同等の結果となることを実証した。 すなわち, レコーダ方式による金属板暴露法は, 屋外を含めた一般的な環境下での腐食評価に有用であることを示した。
(4) 硫黄量の評価での2方式のデータの相関係数は, 機械室, 事務室, 屋外でそれぞれ, 0.96, 0.96, 0.76であった。 塩素量の評価での2方式のデータの相関係数は, 機械室, 事務室, 屋外でそれぞれ, 0.93, 0.97, 0.96であった。
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