PCDDs/PCDFsの自動車からの排出実態を推定するため, シャシーダイナモメータを用いて, 中型ディーゼルトラッ久ガソリン乗用車各1台の排出ガス測定を行った。その結果は, 以下の通りである。
(1) 都市走行を代表する測定モードにおいて, PCDDs/PCDFsの排気管からの平均的な排出ガス濃度は, ディーゼル車0.82p9-TEQ/m
3, ガソリン車1.09pg-TEQ/m
3であった。これは, 廃棄物焼却炉からの排出ガスに比べると著しく低濃度である。
(2) PCDDs/PCDFsの走行距離当たりの排出原単位は, ガソリン車1.05pg-TEQ/km, ディーゼル車1.41pg-TEQ/kmであった。また, 燃料当たりでは, ディーゼル車13.5pg-TEQ/L, ガソリン車11.0pg-TEQ/Lであった。これらの値は, Hutzingerらの報告した米国のデータに比べて, 相当低い結果であった。
(3) PCDDs1PCDFsの2, 3, 7, 8, 異性体比率では, ディーゼル車, ガソリン車ともに, O8CDDが最も高い濃度であった。しかし, 同族体の比率では, PCDFsがPCDDSより相対的に多く, 全体の約70%を占めた。
(4) ディーゼル車, ガソリン車の同族体プロファイルは, ごみ焼却や紙焼却の同族体プロファイルに類似していた。これは, 自動車排出ガス中のPCDDs/PCDFsが, エンジンでの燃焼プロセスによって生成するためと考えられる。
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