大気環境学会誌
Online ISSN : 2185-4335
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38 巻 , 4 号
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  • 高木 健作, 大原 利眞
    38 巻 (2003) 4 号 p. 205-216
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    関東地域におけるオゾンの植物影響を, 大気常時監視測定局で測定された光化学オキシダント (Ox) 濃度データ, 収穫量データおよびダメージ関数を用いて定量的に評価した。対象とした植物は農作物8種類 (稲 (水稲), 小麦, 大麦, 大豆, カブ, トマト, ほうれん草, レタス) とスギである。はじめに, 関東地域270局の大気常時監視測定局で測定されたOx濃度データを用い, Ox オゾンとみなして植物生長期間における3次メッシュ (約1km×1km) 別平均オゾン濃度とオゾン暴露量を算出した。次に, 農作物については植物生長期間別平均オゾン濃度をダメージ関数に入力し3次メッシュ別植物種類別減収率を推計し, その減収率に収穫量を乗じて3次メッシュ別減収量と損失額を推計した。一方, スギに対してはオゾン暴露量をダメージ関数に入力し一本当たりの乾重量減少量を3次メッシュ別に推計した。
    推計結果によると, オゾンによって関東地域の植物は大きな影響を受け, 農作物収穫量およびスギ乾重量が大きく減少している。農作物減収による被害総額は年間210億円にものぼると試算された。一般的に野菜類は穀物類に比ベオゾン影響を受け易く, 中でもレタスは平均減収率約8%と極めて大きな被害を受けている。ほうれん草の減収率は約4%程度であるが, その経済価値が高いため損失額約22億円とレタスの約20億円よりも大きくなった。一方, 穀物の中では大豆がオゾン影響を受け易く, その減収率は約4%である。稲の減収率は約3.5%とそれほど大きくないが収穫量が多いことから減収量も多く, それによって損失額も約140億円と莫大になる。スギについては一本当たりの減少量のみが推計され, Ox濃度が高い内陸部における減少量は約1.5kgと評価された。
    本研究の結果は, 関東地域におけるオゾンの植物影響が非常に大きいことを示した。一方, 関東地域におけるOx濃度はやや増加傾向にあり, しかも高濃度域が都市域からその周辺域に拡大している。これらのことから, 植物影響の視点も考慮して光化学大気汚染対策を講じる必要があると考えられる。
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  • 鳥山 成一, 大西 勝典, 近藤 隆之, 橋本 俊一
    38 巻 (2003) 4 号 p. 217-226
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    酸性雨 (酸性霧又は純水霧) および雰囲気 (ガスとエアロゾル又はガスのみ) の違いによる金属溶出を3通りの条件下で金属溶出試験を実施し, 各種金属板の溶出特性および各イオン成分について検討した。
    炭素鋼板中のFeイオン, アルミニウム合金板中のAlイオンの腐食寄与率は人工酸性霧分が74%, 79%と大きく, エアロゾル分が25%, 20%, ガス分がいずれも1%であり, 青銅板中のCuイオン, 銅板中のCuイオンの腐食寄与率は人工酸性霧分が55%, 51%, エアロゾル分が13%, 22%, ガス分が32%, 27%でガスの占める割合が大きくなる。その他のイオンは, 腐食溶出機構がかなり複雑なことが明らかとなった。
    各金属板接触後の各イオン成分の濃度は, H+がブランクよりもマイナスになる以外は金属板上で各イオンの増加がみられた。ブランク成分と金属板接触後の成分の母集団に違いがないかt検定を行ったところ, 有意差の見られるイオン成分が多かった。これは, 腐食反応による各種金属イオンの溶出とともに, 金属の表面で何らかの化学反応や吸着反応が並行して進行していると考えられる。
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  • 利根川 義男, 関口 和彦, 野村 公康, 坂本 和彦
    38 巻 (2003) 4 号 p. 227-235
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    現在, 人口過密な都市域において, 自動車から排出される窒素酸化物 (NOx) による局地汚染が問題視されている。また, このような都市域において, 自動車交通による騒音も問題視されており, 地方自治体により交通量の多い道路端に, 防音壁が設置されている。そこで本研究では, 廃発泡スチロールとセメントからなる高い吸音性を有する吸音材に, 酸化チタンを固定した新規触媒によるNOxの酸化除去について検討を行った。
    本触媒では, 酸化チタンによる一酸化窒素 (NO) の酸化において, 中間生成物として脱離する二酸化窒素 (NO2) がセメントの吸着作用により触媒表面に吸着保持されるため, NOは硝酸まで酸化され, 高い除去効率を示すことがわかった。NOの除去は'NOの触媒への接触頻度に大きく依存し, 酸化チタン固定量の影響をほとんど受けず, 触媒のごく表面の酸化チタンが反応に関与しているものと推定された。また, 内径50mm/長さ50mmの円筒型触媒により触媒の活性が70%まで低下するまでの期間において, 2.37×10-4mol (7.11×10-3g) に相当するNOxを除去できることがわかった。本触媒では, NOx組成やSO2の有無にかかわらず, 高いNOx除去率が維持されることから, 通常の大気環境下において, 効果的にNOx除去が行われることが推察された。以上の結果から, 本触媒を交通過密で騒音が問題視される道路端で防音壁として利用することで, NOx濃度と騒音の同時低減に加え'本触媒作製において'廃発泡スチロールの再利用が促進でき, 環境負荷を低減できることも大きな特長の一つである。
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  • 福崎 紀夫, 近藤 聡美, 大泉 毅
    38 巻 (2003) 4 号 p. 236-243
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    新潟市西部地域において, 露および霜を2001年4月中旬から2002年4月中旬まで, 1年間を通してテフロンシートを用いて捕集し化学成分を測定するとともに霧水および乾いたテフロンシートへの乾性沈着との比較を行った。また, 露および霜に伴う沈着量をろ過式捕集法による大気沈着量と比較した。露水量等で重み付けした露霜および霧の年間平均pHは, それぞれ, 5. 9, 5. 8および3.7であり, 大気沈着物の4.7に比較して, 露および霜ではこの値よりも高く, 霧では低い値であった。露および霜中の平均化学成分濃度は, 霜では海塩成分濃度が, 露ではNH4+, K+並びに有機酸 (HCOOHおよびCH3COOH) 濃度が高い値を示した。降水量に換算した年間の露水量は約15.0mmであり, これは大気沈着物測定による年間降水量の約1.0%に相当した。大気沈着量に対する露および霜に伴う沈着量の割合が比較的大きな値を示した成分は, NH4+, nss-Ca2+, K+であった。露および霜に伴う沈着には乾性沈着の影響が大きいが, 露中のH+, HCOOHおよびNO2-は乾いたテフロンシートに対する乾性沈着との差が大きく, 露の酸性化には蟻酸, 亜硝酸若しくは二酸化窒素 (NO2) の溶解による影響が大きいことが示唆された。
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  • 古明地 哲人, 前田 泰昭, 辻野 喜夫
    38 巻 (2003) 4 号 p. 244-257
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    文化財および材料影響評価分科会では, 平成11~13年度の3年間, 環境事業団から地球環境基金の助成を受け,「東アジアにおける大気汚染による材料の被害調査」を実施したので, その成果を1報 (1~2章) および2報 (3~6章) に発表する。
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  • 古明地 哲人, 前田 泰昭, 辻野 喜夫
    38 巻 (2003) 4 号 p. 258-267
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    文化財および材料影響評価分科会では, 平成11~13年度の3年間, 環境事業団から地球環境基金の助成を受け,「東アジアにおける大気汚染による材料の被害調査」を実施したので, その成果を1報 (1~2章) および2報 (3~6章) に発表する。
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  • 谷 晃
    38 巻 (2003) 4 号 p. A35-A46
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    低濃度VOCの測定は, 通常, 吸着剤やキャニスターを用いた採取, 濃縮後の熱脱着あるいは溶媒抽出等の特殊な前処理技術と, GC等を用いた時間を要する分析手法を必要とする。また, 濃縮のために大量の試料ガスを必要とするため, 数十分や1時間の平均濃度でしか定量化できず, 環境中でのリアルタイムの変動は測定できない。ところが, 1990年代後半に陽子移動反応質量分析計 (Proton Transfer Reaction Mass Spectrometry, 以下PTR-MSとする) が開発・商品化され, 環境濃度域でのVOCのリアルタイム分析が可能となった。これは, プラズマ放電中にH20蒸気を通してH30+イオンを作り, これを試料気体と反応させることで, 気体中の有機炭素RがRH+として陽イオン化される原理を利用する。プロトン親和力がH30+イオンより高い物質に対しては, 陽子移動反応が起こるため, PTR-MSはメタン等の低級アルカンを除く多種のVOC濃度を測定可能である。測定下限は数十pptで, 最小測定間隔は0. 1秒である。本稿では, PTR-MSに関する原理, 応用例, 問題点や留意点について解説する。
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  • 甲斐沼 美紀子
    38 巻 (2003) 4 号 p. A47-A54
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    温室効果ガス削減技術シナリオについて2001年3月に環境庁 (当時) より調査報告書が出版された。報告書は1998年に策定された温暖化対策推進大綱に基づいて2010年における温室効果ガスの削減量を推計するとともに (第1部), 資金的, 社会的, 制度的な制約条件をある程度捨象した場合の, 2010年時点における技術的観点からの削減ポテンシャルを取りまとめている (第2部)。2002年3月には新しい推進大綱が発表された。2000年の温室効果ガスの総排出量は, 13億3200万トンと, 基準年 (原則1990年) の総排出量と比べ, 8.0%増加しており, 一層の排出削減が必要とされている。本解説では,「温室効果ガス削減技術シナリオ策定調査検討会報告書」を基に, 温室効果ガス排出量の推計方法, 削減の可能性などについて紹介する。
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