大気環境学会誌
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39 巻, 1 号
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  • 吉岡 秀俊, 佐々木 裕子, 津久井 公昭, 飯村 文成, 東野 和雄
    2004 年 39 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2004/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    大気中のダイオキシン類をハイボリウムおよびローボリウムサンプラーを用いて採取し, ガス・粒子分配を検討した。ダイオキシン類のうち, PCDD/Fsの同族体毎のガス態の割合は, 低塩化物ほど, また気温が上がるほど増加する傾向が得られた。特に, 4, 5塩化物が気温の影響を受けやすく, 夏と冬ではその形態が大きく変化した。一方, 8塩化物は年間を通じてほぼ粒子態として捕集された。Co-PCBsの場合も低塩化物ほど, また気温が上がるほどガス態の割合が増加したが, 同じ塩素数ではPCDD/Fsに比べCo-PCBsの方がガス態の割合が多かった。PCDD/Fs, Co-PCBsの各異性体を比較した場合には, 同族体の中でも塩素置換位置がガス・粒子分配に影響するだけでなく, 高塩化物の方がガス態の割合が多い例も存在した。2種のサンプラーを用いた検討では, 流速や採取期間がガス・粒子分配に影響することが示唆され, 低流量, 長期採取法の方がガス態を高めに評価することが明らかとなった。
  • 三宅島火山ガス放出後の金属溶出量, 腐食量の状況
    梅田 てるみ, 加藤 善徳
    2004 年 39 巻 1 号 p. 11-20
    発行日: 2004/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    酸性雨等による器物影響のモニタリングを目的に, 横浜市磯子および山梨県道志 (山間部) において, バルク採取による雨水成分の測定および金属試験板の溶出量, 腐食量の測定を行った。この測定データをもとに三宅島火山ガス放出前後の状況を比較した結果, 次の知見を得た。
    火山ガス放出後1年間 (2000年9月~2001年8月) の磯子の雨水の平均pHは, 放出前1年間 (1999年9月~2000年8月) に比べ0.56低下し, 非海塩起源SO42-, 非海塩起源Cl-の年間沈着量はそれぞれ2.1倍, 1.9倍増加していた。また, これに対応して, ブロンズ板からのCu2+, Pb2+, Zn2+の溶出量, 銅板からのCu2+の溶出量, 炭素鋼板からのFe3+の溶出量も, 火山ガス放出後1年間は放出前1年間に比べ1.7~2.6倍多くなっていた。また, この金属の溶出に伴い, 火山ガス放出後の銅板の重量は著しく減量していた。
    一方, 道志 (山間部) は磯子に比べ雨水のpHが高く, 非海塩起源SO42-等の沈着量およびブロンズ板からのCu2+, Pb2+, Zn2+の溶出量は磯子の1/2~1/3程度と少なかった。しかし, 火山ガス放出前後の傾向は磯子とほぼ同様であり, 山間部にも三宅島火山ガスの影響が及んでいることが窺われた。
  • 赤田 尚史, 柳澤 文孝, 瀧上 豊, 本山 玲美, 川端 一史, 矢吹 貞代, 金山 晋司, 川端 明子, 上田 晃
    2004 年 39 巻 1 号 p. 21-30
    発行日: 2004/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    2000年6月に東京都の南約150kmに位置する三宅島が17年ぶりに噴火した。この噴火により放出された火山ガスが海からの風により運ばれ, 日本各地で高濃度の二酸化硫黄ガスや酸性度の強い降水が検出された。そこで, 東京都文京区で全降下物を採取し, 硫酸イオンとその硫黄同位体比を測定することにより, 三宅島排出火山ガスの降下物への影響について検討した。その結果, 非海塩性硫酸イオン濃度, および降下量が増加した時期は, 三宅島の火山活動が活発であった時期であり, また850hPa面の高層風が三宅島方面より関東地方に向けて吹き込んでいた時期と一致する。南からの風が弱まる冬季になると非海塩性硫酸イオン降下量も減少傾向になる。非海塩性硫酸イオンの硫黄同位体比は, 8月以降から高くなる傾向を示し, 同じ期間に三宅島より噴出した火山灰に付着している硫酸イオンの硫黄同位体比に近い値を示した。同時期の群馬県太田市の降下物と埼玉県和光市のエアロゾルの非海塩性硫酸イオンの硫黄同位体比も8月以降に高くなる傾向を示している。これらのことから, 三宅島の噴火は文京区の降下物に大きな影響を与えた可能性が高い。また, この時期の全降下物への三宅島より噴出された硫黄の寄与率を硫黄同位体比から試算してみたところ, 最大で90%を超えるという結果であった。
  • 西沢 匡人, 茅野 政道
    2004 年 39 巻 1 号 p. 31-42
    発行日: 2004/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    大気化学物質の動態を詳細にシミュレートするために, メソスケール気象モデルと結合した大気化学物質の輸送モデルを開発し, 三宅島雄山からの火山ガスの大気拡散に適用した。このモデルは, 気象場の計算のためにPSU/NCARMM5を使用し, MM5に大気化学物質の移流, 拡散, 化学反応, 沈着過程を追加したものである。
    本論文では, 2000年8, 9月の関東, 中部, 関西地方における三宅島火山ガスの挙動と気象条件との関連, および二酸化硫黄 (SO2) 濃度分布に対する三宅島火山ガスの影響を調べた。
    結合モデルによって得られた結果を観測値と比較したところ, モデルは気象場, 三宅島火山ガスの到達による地上SO2濃度の上昇, 硫酸イオンの湿性沈着量をおおむね再現することができた。
    また, 三宅島火山ガスの本州本土への輸送において, 日本周辺に位置していた低気圧, 台風前線移動性高気圧といった総観規模の気象現象が重要な役割を果たしていることが明らかになった。更に, SO2濃度分布に対する三宅島火山ガスの影響は計算領域全体にわたって見られた。
  • 下田 昭郎, 速水 洋
    2004 年 39 巻 1 号 p. 43-52
    発行日: 2004/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    大気の吸収スペクトルから大気中微量成分濃度を推定する手法として提案した多重微分スペクトル法を, 実測された吸収スペクトルに適用して, その実用性についての検証を行った。検証に先立って, 吸収スペクトルを測定するための開光路型分光計の開発を行った。開発した装置は, 人工光源と反射鏡により大気中に開光路を確保し, 分散型分光計により光路上の大気吸収スペクトルを測定するものである。この装置の検出器には, 提案した推定法のノイズ成分の増長を考慮して, 高SN比が期待できる, 二次元CCアレーセンサを採用した。開発した装置により取得された吸収スペクトルから, 二酸化窒素, オゾン, 二酸化硫黄, ホルムアルデヒドの大気中濃度の同時推定を行い, その結果を, 他の装置の測定値と比較した。両者の結果は良い一致を見せ, 多重微分スペクトルを用いた推定法の実用性を実証した。
  • 高橋 章, 若松 孝志
    2004 年 39 巻 1 号 p. 53-61
    発行日: 2004/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    2002年2~10月に群馬県のアカマツ林の樹冠上において, 2.5μm以下のNH4+, NO3-, SO42-粒子の鉛直濃度分布を観測した。その結果から, 濃度勾配法により微小粒子の沈着速度を推定した。推定されたNH4+, NO3-の沈着速度には, 夏期に極端な増大傾向がみられた。この要因として, 樹冠直上において大気中のNH4NO3粒子からNH3, HNO3ガスが揮散した影響が考えられた。一方, いずれの成分においても, 地上に近づくにつれてその濃度が増大する負の濃度濃度勾配が観測される場合があった。その要因として, 樹冠直上での新たな粒子の生成が起こったことが考えられた。これらの影響は, 全観測期間の概ね30%で生じている可能性があった。ただし, この期間以外に得られた沈着速度の平均値は, NH4+, 1.30cm s-1, NO3-: 0.84cm s-1, SO42-: 0.84cm s-1であり, その値は欧米の森林において, 野外観測により推定された報告値とほぼ一致した。また, 酸性物質の沈着モデル等に用いられてきた評価式による推定結果と比較した場合には, 3倍程度大き値であった。
  • (I) 欧米における樹木衰退の現状と研究の動向
    河野 吉久
    2004 年 39 巻 1 号 p. A1-A8
    発行日: 2004/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 環境省環境管理局
    2004 年 39 巻 1 号 p. A9-A27
    発行日: 2004/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
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