自動車からの大気環境負荷の排出量を正確かつ詳細に把握するために, 1996年の環境庁による推計手法を踏まえ, 走行距離あたり排出係数と走行量の推計区分を詳細化する等の改良を加え, より実態にあった排出量推計手法を開発した。走行量については, 昼夜率を8車種別に用いるとともに, 詳細な道路種別と沿道状況を考慮して速度域別走行量を推計した。排出係数については, 普通貨物車, 小型貨物車, 特種 (殊) 車および乗合車を対象として, 営業用と自家用の業態別かつ車両総重量区分別に, 積載率を考慮して求めた平均的な走行量と等価慣性重量で重み付けをした排出係数を用いた。データ更新を行った上で, 平成9年度における全国の自動車からの排出総量を7車種別, 8道路種別, 燃料種別に推計したところ, NO
x66.1万t, SPM6.64万tとなった。この手法にしたがって求めたCO
2排出量の全国排出総量192百万tは, 全国の燃料消費量に平均発熱量とCO
2 排出原単位を乗じて求めたCO
2排出量243百万tの79%に相当した。環境庁推計の平成6年度ではこの数値は70%であったことから, 約9ポイントの推計精度の改善がなされたと考えられた。貨物自動車における業態別, 車両総重量区分別の走行量の実態を反映させたことが精度向上に役立った。その反面, 乗用車や軽自動車については, 使用実態を考慮した排出係数を用いる等の改善が必要と考えられた。
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