日本海に面する新潟県弥彦角田山系の山頂付近 (標高620m) 及び山麓 (標高47m) において, 降水中の主要なイオン種 (Na
+, nss-SO
42-, NO
3-, NH
4+, nss-Ca
2+) を測定し, 山頂及び山麓における日平均湿性沈着量の違いから, 山頂・山麓間での降水による大気成分の洗浄率を非降雪期と降雪期に分けて算出した。また, 山頂において, 大気中エアロゾル及びガス成分濃度を合わせて測定し, 山頂よりも上空における大気成分の洗浄について, 洗浄比 (W, W= [降水成分濃度 (mg/kg)]/[大気中のエアロゾル及びガス成分濃度 (mg/kg)]) を求めて両期を比較検討した。山麓における降水成分沈着量のうち, 海塩の主要な成分であるNぼでは, 非降雪期及び降雪期とも約30%が山頂・山麓間で降水中に取り込まれていると推定された。また, nss-SO
42は両期とも山頂・山麓間の取り込みは小さく, 逆に, nss-Ca
2+は両期とも山頂・山麓間の取り込みが大きな成分であった。他方, 山頂よりも上空における降水中のNa
+, nss-SO
42-, NH
4+に関する洗浄比は, いずれも降雪期に大きな値を示し, nss-Ca
2+及びNO
3-に関する洗浄比には両期で大きな違いは見られなかった。
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