首都圏郊外に位置する, 埼玉県北部の騎西町において, 2000年から5年以上にわたり, PM
2.5の質量濃度および主要成分濃度の連続観測を行った。PM
2.5の捕集にはPM
2.5サンプラー (R & P社, Partisol Plus 2025) を用い, 一週間単位の質量濃度および主要化学組成の分析を行った。PM
2.5濃度には明瞭な減少傾向は見られなかった。微小粒子の主成分である, 水溶性無機イオンと炭素成分について分析を行い, その推移を評価した。水溶性無機イオンの90%は, 塩化物イオン (Cl
-), 硝酸イオン (NO
3-) および硫酸イオン (SO
42-) と, これらを中和するアンモニウムイオン (NH
4+) で構成されていた。陰イオン3成分濃度は特徴的な季節変動が見られた。Cl
-と炭素成分 (TC), 特に, 元素状炭素 (Cel) には明瞭な減少傾向が見られた。また, NO
3-にも緩やかな減少傾向が見られた。一方, SO
42-には減少傾向は見られず, 2004, 2005年は, 冬期を除く季節で増加していた。
並行して稼働させたTEOMの観測値とPM
2.5サンプラーによるフィルター捕集との比較では, 年平均値では概ね同程度の値であったが, TEOM内部での半揮発性成分の揮散量と, 外気温に依存するPM
2.5サンプラーのフィルター上からの揮散量の大小関係により, 両測定値の差には特徴的な季節変動が見られた。
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