大気環境学会誌
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42 巻, 3 号
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  • 嵐谷 奎一
    2007 年 42 巻 3 号 p. 143-161
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    強い発がん性を有するBenzo (a) pyreneを含む多環芳香族炭化水素の測定方法の開発と一般環境中の多環芳香族炭化水素汚染状況に関する調査・研究を進めてきた。 この調査・研究では多環芳香族炭化水素の定量精度の高い簡易迅速分析法の確立とその方法を用いて、 1985年より一般大気中の浮遊粉じん、 多環芳香族炭化水素の測定と土壌中の多環芳香族炭化水素の測定を実施し、 汚染状況について把握した。
  • 野口 泉, 大塚 英幸, 秋山 雅行, 酒井 茂克, 加藤 拓紀
    2007 年 42 巻 3 号 p. 162-174
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    フィルターパック法は粒子状水溶性イオン成分, 二酸化硫黄, 硝酸, 塩化水素およびアンモニアガス成分濃度の同時測定法として広く用いられてきた。 本研究では, さらに亜硝酸ガスを含む多成分同時測定法について検討を行った。 フィルターパックは原則5段で構成され、 テフロンフィルター、 ナイロンフィルター、 1段目のアルカリ含浸ろ紙、 2段目のアルカリ含浸ろ紙及び酸含浸ろ紙である。 室内実験の結果、 アルカリ含浸ろ紙におけるNO2の捕集は、 その濃度の1%以下であることが認められた。 このことによりNO2の妨害については, 2段目のNO2-+NO3-捕集量から評価可能と分かった。 この原理は拡散デニューダの場合と同様である。 これにより, HONO濃度が評価可能と考えられた。 そこで、 2003年10月~2006年3月までの3年半, 札幌市内において拡散デニューダ法との並行試験を行った。 両方法の測定結果は, 非常に良い合致を示し、 相関係数は0.950と高く, 近似式はy= 1.09x+2.28と傾きは1に近く, 切片も小さかった。 このことにより, フィルターパック法によるHONO測定が拡散デニューダ法と同程度の精度であることが本研究によって確認された。
  • 片山 学, 大原 利眞, 鵜野 伊津志, 村野 健太郎, 畠山 史郎
    2007 年 42 巻 3 号 p. 175-187
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    地域気象モデルRAMSと連携した化学物質輸送モデルCMAQを用いて, 1999年2月前半に九州地域で観測された高濃度エピソードを対象に, 硫黄化合物 (SOx) と窒素化合物 (NOy) の北京と上海からの寄与を解析した。 CMAQは, 九州地域の地上や東シナ海の上空で観測されたSOx濃度と全硝酸塩濃度 (=HNO3+NO3-) の変動の特徴を再現する。 シミュレーション結果によると, 最も高濃度となった7~11日には, 大陸起源の高濃度汚染気塊が東シナ海上の移動性高気圧周りの気流によって輸送されている。 この期間は上海起源の寄与が大きく, 長崎県福江島では, 上海起源の寄与率は最大でSOxとNOy ともに67%に達し, その平均濃度は前後の期間に比べて約7倍も高い。 また, 福江島における北京起源と上海起源の寄与は, 交互に1~4日間にわたって大きくなる特徴があり, 東アジアスケールの気圧配置の変化に大きく影響されている。 西日本における, 北京起源と上海起源の濃度を地域別に比較すると, SOxとNOyともに北京起源はわが国の中国地域で最も高く, 上海起源は九州地域で最も高い。 北京起源と上海起源を合わせた寄与率は, 西日本地域でSOx18%, NOy12%に達し, 北京と上海からの排出物質は西日本の大気質に大きな影響を与えていることが明らかとなった。
  • 早崎 将光, 菅田 誠治, 大原 利眞, 若松 伸司, 宮下 七重
    2007 年 42 巻 3 号 p. 188-199
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    In FY 2002, which is the year with the highest frequency of Asian dust days identified in meteorological observatories in Japan, the attainment of air quality standards (AQS) for suspended particulate matter (SPM) was poor compared with attainment of AQS in recent years. We examined an interannual variation of the attainment of AQS and considered the effects of Asian dust episodes tothe attainment of AQS for the period FY 1992-2004.
    The yearly attainment of AQS satisfies the following two standards:(1) 98-percentile value of the daily mean concentration is below the threshold (100μgm-3), (2) high concentration exceeding the threshold never continues on subsequent days.
    A remarkable Asian dust episode was widely observed in April 2002. The SPM concentration during the dust period was not so high (100-200μgm-3) but the dust persisted for the 8-11 April period. As a result, this episode showed a reduction of approximately 40% in the attainment of AQS in FY 2002. By contrast, another dust episode, 21-22 March 2002, brought an extremely high concentration (>500 μgm-3 in the highest polluted sites). The period of high concentration lasted about 30 hours. Therefore, the attainment/non-attainment area in FY 2001 depend on the beginning and end of the dust period whether it spreads over a border time (00 JST) for calculating daily mean values.
    The number of high concentration days in a year is smaller in recent years than that in 1990s, particularly in late autumn and early winter. Owing to the reduction of high concentration days in a year, the low-level attainment of AQS in FY 2002 is substantially caused by the single dust episode observed during the 8-11 April period.
  • 岩崎 みすず, 八木 悠介, 田結庄 良昭
    2007 年 42 巻 3 号 p. 200-207
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    2003年4月 (黄砂飛来時, 以下, 黄砂時と称す) と9月 (大規模な黄砂が飛来していない時期, 以下, 非黄砂時と称す) において, ロープレッシャーアンダーセンを用いて粒径範囲ごとに大気中の浮遊粒子状物質を採取し, 電界放射型走査電子顕微鏡 (FE-SEM) を用いた個別粒子分析により, 個々粒子の形態観察および化学組成分析を行った。 得られた化学組成値をもとに統計解析であるクラスター分析を行った結果, 粒子の種類は6分類された。 各分類ごとの黄砂時と非黄砂時における粒径別割合を明らかにした。 黄砂時には0.47~7.65μmの範囲で土壌由来の粒子の割合が1.2~2.5倍増加した。 また, 鉄など金属粒子の粒径別割合の最大値は非黄砂時に1.17μm~2.05μmであるのに対し, 黄砂時は0.47μm~0.67μmであった。 また, 黄砂時において, 金属粒子は粒径範囲0.47μm~0.67μmにおいて, 分析を行った全粒子の27%を占めた。 さらに, 土壌由来の粒子の表面を詳細に観察すると, 土壌粒子表面に球状鉄微粒子が付着している様子が観察された。
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