粒径0.1μm以下の超微小粒子 (UFP) は, 質量濃度は小さいが, 個数濃度, 表面積では大気中微小粒子のほとんどを占める。また, 肺への沈着率も大きいことから, 従来の浮遊粒子状物質とは異なる健康影響が懸念されている。また, UFPの主要な発生源である自動車排ガスを対象とした道路近傍での大気観測は盛んに行われているが, 鉛直方向に着目した観測は少ない。本研究は, 都市部の高層ビルにおいて, 高度別, 季節別, 粒径別に微小粒子の大気観測を行い, 炭素成分およびイオン成分濃度, 個数濃度変化から, 都市部高層におけるUFP (PM
0.1) の大気挙動についてPM25と比較しながら考察を行った。冬季の元素状炭素 (EC) 濃度は, 大気安定からPM
2.5では55階よりも6階の方が高い結果となったが, PM
0.1では6階と55階の高度による濃度差はみられず, PM
0.1の拡散影響が大きいことが示唆された。また, 上下混合の活発な夏季は, PM
0.1, PM
2.5ともにEC濃度の高度差はなかったが, 有機炭素 (OC) 濃度はともに6階の方が高く, SO
42-顧濃度, 個数濃度変化からも, 日中の高い光化学生成の寄与が確認された。
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