大気環境学会誌
Online ISSN : 2185-4335
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43 巻 , 1 号
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  • 藍川 昌秀
    43 巻 (2008) 1 号 p. 1-8
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    兵庫県では酸性雨問題への地方自治体としての取り組みとして, 様々な調査・研究を行ってきた。それらの調査・研究に関する成果を, 湿性沈着, 乾性沈着森林影響, 越境移動という観点からとりまとめた。
    湿性沈着については, 降水 (降雪を含む) 及び霧水という対象について調査・研究を行ってきた。降水については, 県下の地理的・産業的に異なる地点属性を有する5地点において, ろ過式採取法により試料を採取し, 地域ごとの降水の特徴を明らかとした。霧水については, 都市域 (神戸市) の背後地に位置する六甲山において7年間の通年観測を実施し, 降水と霧水の差異霧の発生に関する科学的考察, 霧水中化学成分濃度の長期変動霧の発生・消滅と大気中ガス・エアロゾルの関連等について, 解析・考察を行った。
    乾性沈着については, 4段ろ紙法を用い, 大気中ガス・エアロゾル成分濃度を調査し, その結果に基づき, 都市域における乾性沈着量を推定した。
    森林影響については, 地点属性が異なる2地域の集水域での降水, 霧水, 林内雨, 樹幹流, 大気中ガス・エアロゾルによる大気圏からの物質負荷について比較調査を実施するとともに, 硫黄成分について大気圏からの負荷量と渓流水による流出量の収支バランスについて解析・考察した。
    越境移動については, 4段ろ紙法による大気中ガス・エアロゾル採取を6時間ごとに行う濃度調査を, 大陸からの越境移動が著しくなる冬季に, 日本海沿岸地域で実施し, 大気汚染物質の越境移動を地上観測により明らかとするとともに, 調査地点到達気塊の輸送経路の違いによる観測される汚染物質濃度の差異について解析・考察した。
    今後は, これまで実施してきた調査・研究を継続的に, より総合的に, 発展的に展開していくことにより,「酸性雨」という概念を起点として大気汚染・大気環境というより包括的な取り組みを推進していくこととしたい。
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  • 小暮 信之, 酒井 茂克, 田森 行男
    43 巻 (2008) 1 号 p. 9-22
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    近年, 固定発生源ダスト測定においても, 人体影響の観点から微粒子に対するPM10/PM2.5サンプラの研究が積極的に行われるようになった。しかし、現在検討されている各種サンプラでは, 基本原理である定流量等速吸引法による測定は排ガスの流速が変化した時に困難となり, 大きな測定誤差を招く結果となる。
    本研究は, 発生源PM10/PM2.5測定を正確かつ簡単に行うことを目的に, 口径可変式吸引ノズルとPM10/PM2.5インパクタ及びマイコンを用いる排ガス自動採取システムを組み合わせた測定システムを試作し, 各種の実用化特性試験を行った。
    試験粒子を用いた特性試験及び現場実証試験の結果, 測定システムの実用化に目途を立てることができ, 併せてPM10/PM2.5インパクタの測定上の幾つかの基本的特性や留意点などを明らかにすることができた。一連の試験結果で得られた主な知見は, 以下の通りである。
    1) 試作したPM10/PM2.5測定システムは, 急激な排ガス流速変動にも瞬時に対応でき, 常時簡単に定流量等速吸引によるPM10/PM2.5サンプリングが可能である。
    2) 現場測定に際して, PM10/PM2.5インパクタの前後処理, 分解・組み立て, 分級板や捕集板 (平板ろ紙) の交換など, 極めて簡便かつ迅速に行うことができる。
    3) フライアッシュ試験粒子の場合, 非等速吸引によって粗大粒子の取り込み量は大きく変化したが, PM10とPM2.5の捕集割合はサンプリング誤差に対してほぼ一定になった。一方, 濃度誤差は, PM10/PM2.5インパクタにおけるPM10-2.5捕集部の再飛散粒子が下降流に同伴し, PM2.5捕集部に捕集されることにより生じるもので, この結果PM2.5測定値を大きくすると考えられた。
    4) 実燃焼排ガス中のダストでは, フライアッシュ試験粒子のようなPM10-2.5捕集板上での再飛散は確認されなかった。
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  • 藍川 昌秀, 平木 隆年, 駒井 幸雄, 梅本 諭, 徳地 直子
    43 巻 (2008) 1 号 p. 23-30
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    降水, 霧水及び大気中ガス・エアロゾルによる集水域への硫黄の負荷と河川水による硫黄の流出について, その収支バランスを解析・考察した。調査は兵庫県粟鹿山 (丹波市青垣町) で行った。
    粟鹿山の集水域 (流域面積4.28km2) への降水, 霧水及び大気中ガス (SO2)・エアロゾル (SO42-) による硫黄の負荷量は調査実施期間中それぞれ約1900kgS, 5100kgS, 270kgS, 80kgSであった。これは, 6.2kgS/ha/year, 23.2kgS/ha/year, 1.5kgS/ha/year, 0.45kgS/ha/yearに相当するものであった。
    一方, 1999年4月21日から2000年4月22日までの一年間の河川水による硫黄の流出量は約5900kgSであり13.7kgS/ha/yearに相当する量であった。
    粟鹿山集水域における硫黄の収支としては, 負荷量が流出量の約2倍であり, このことから, 粟鹿山集水域においては硫黄成分の過度の負荷・蓄積が進んでいることが明らかとなった。
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  • 老川 進, 上原 清
    43 巻 (2008) 1 号 p. 31-46
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    市街地にて大気安定度が短時間における濃度変動とピーク濃度に及ぼす影響を明らかにするために温度成層風洞を用いた実験を行った。3つの安定度 (不安定、中立、安定) において、ストリートキャニオン内からトレーサガスを放出し、高応答の濃度分析計を用いて計測した。安定時の濃度変動の標準偏差は中立、不安定時よりも大きいが、基準化した濃度変動の強度は安定度により変化しない。キャニオン内のピーク濃度は、安定時には中立、不安定時の2倍となる。安定時の濃度のピーク濃度と平均濃度の比は3~5の範囲にあり中立、不安定時よりも小さい。キャニオン内の安定時のガスの滞留時間は、中立、不安定時よりも長く、気塊はゆっくり動く。また安定時のプルーム塊は中立、不安定時より小さな気塊に細片化しにくい。
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  • 大村 嘉人, 河地 正伸, 太田良 和弘, 杉山 恵一
    43 巻 (2008) 1 号 p. 47-54
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    地衣類ウメノキゴケの大気汚染に対する指標性は, 1970年代前半のSO2汚染が深刻だった時代に見出された。しかし, 1980年頃までに都市部でSO2汚染が大幅に改善され, 相対的に自動車排出ガス由来の大気汚染が問題化したことに対して, ウメノキゴケがどのような動態を示してきたのかついては, 詳しいことが分かっていない。筆者らは, 静岡市清水区の56地点の墓地において19721978, 1994, 2003年にウメノキゴケの分布調査を実施し, 本種の分布変化と大気汚染との関係について調べ, 次のことを明らかにした。1) ウメノキゴケは1972年以降のSO2汚染の改善に伴って, 6年以内に分布が回復してきた。2) 東名高速道路および国道1号線が交差する地域付近において, ウメノキゴケが1978年に消滅し始め, 1994, 2003年と国道1号線に沿って空白域が拡大していた。この空白域に近い大気測定局ではNO, NO2, NOx濃度が高くなっていたことから, ウメノキゴケの消滅と自動車排出ガスや交通渋滞による大気環境の変化との関連が指摘された。しかし, 調査地域内のウメノキゴケの分布とNO, NO2, NOxとの関連あるいはSO2, SPM, Oxとの関連は見出されなかった。3) ウメノキゴケの分布変化から, 2003年の調査地域は, 国道1号線沿いの空白域のほかに, 清水区役所周辺の移行帯, 郊外の通常帯に区分された。これらは大気汚染や乾燥化などの大気環境の違いを反映していることが考えられる。ウメノキゴケの分布変化は, SO2汚染とその改善, 道路開通や交通量の増加に伴う大気環境の変化を反映していることから, 都市部における大気汚染の監視には, 本種による長期モニタリングを取り入れることが重要であると考える。
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  • 栗林 正俊, 大原 利眞, 山地 一代
    43 巻 (2008) 1 号 p. 55-66
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    東アジアでは、窒素酸化物 (NOx) や揮発性有機化合物 (VOC) の排出量増加に伴って対流圏オゾン濃度が増加し、人や植物への影響が懸念されている。本研究では、アジア域排出インベントリ (REAS) と化学物質輸送モデル (CMAQ) によって計算された東アジア地域におけるオゾン濃度分布とイネのダメージ関数を用いて、中国におけるオゾンがイネに与える影響を、減収率、減収量および経済損失額として評価した。
    2000年を対象として、現状におけるオゾンのイネへの影響を評価し、さらに、NOxとVOCの3種類の排出シナリオ (排出量が少ない順にPSC、REFおよびPFCシナリオ) に基づくオゾンの将来予測濃度を用いて、2020年におけるイネの減収率、減収量および経済損失額を予測した。その結果、2000年の中国全土の平均減収率は6.4%、減収量は128Mt、経済損失額は205億元にも上ることが分かった。また、2020年の平均減収率、減収量および経済損失額はそれぞれ、PSCシナリオでは6.7%、13.4Mtおよび214億元、REFシナリオでは7.6%、15.2Mtおよび244億元、PFCシナリオでは9.3%、18.6Mtおよび297億元と予測された。また、NOx排出量が10Mt増加すると、減収率は1.8%、減収量は3.6Mt、経済損失額は57億元それぞれ増加するという比例関係があることが分かった。さらに、2020年のオゾン濃度に基づいて算出された減収率が、イネの収穫量の多い長江流域においてシナリオにより大きく変化するため、2020年の中国全体の減収量は、シナリオに大きく依存することが明らかとなった。
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  • 柏倉 桐子, 佐々木 左宇介, 中島 徹, 坂本 和彦
    43 巻 (2008) 1 号 p. 67-78
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    ディーゼル重量車の排出ガス濃度が低レベル化している状況下で, 未規制物質18種と規制物質4種の排出量を測定し, それらの排出傾向と規制による変化を考察した。
    1, 3-ブタジエン, ベンゼン, ホルムアルデヒド, アセトアルデヒド, PM, B [b] Fの排出量はTHC, CO排出量とr=0.86 (p<0.01) 以上の高い相関があった。PM排出量に対するSO42-およびPAHs排出量の相関において, SO42-とB [b] F以外は高い相関が得られなかった。原因は, 1台の試験車両 (平成6年 (長期) 規制適合) の排出挙動が他の車両と異なることにあり, この車両の結果を除くとr=0.85~0.96 (p<0.01) に上昇した。但し, 1-NPはr=0.68 (p<0.01) と低く, 他の未規制物質とは排出傾向が異なり, いずれの規制物質とも相関が無かった。
    酸化触媒つきDPFを装着した車両では, SO42-排出量が試験で消費した燃料中硫黄分相当量を超える場合があり, エンジンオイル中硫黄分の寄与や, SO42-がDPFに蓄積されて高負荷運転時に再放出される可能性が推定された。また, 燃費あたりに換算したNOx排出量は, 規制には適合しているが車両による差は少なく, 規制や後処理技術によって更に低減が必要であると示唆された。近年の厳しい規制に適合した車両の未規制物質排出量は極微量か検出限界以下となることが多く, 後処理装置による効果が見られた。
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