大気環境学会誌
Online ISSN : 2185-4335
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44 巻 , 1 号
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あおぞら
総説
  • 松田 和秀
    44 巻 (2009) 1 号 p. 1-8
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    東アジアにおける乾性沈着モニタリングの手法の確立を目的として,当該地域における乾性沈着直接測定とそれに基づく沈着速度推計手法の開発に関する研究を実施した。乾性沈着推計の導入として,欧米で開発された沈着速度推計式を適用して,国内および東アジアにおける硫黄酸化物の乾性沈着推計を行った。沈着速度推計手法の東アジアへの適用性を検討するために,ガス状物質の乾性沈着直接測定を国内およびタイの森林において実施した。国内においては,長野県にあるアカマツ林において,熱収支ボーエン比法による二酸化硫黄の乾性沈着直接測定を実施し,秋季,日中12:00から14:00の間の沈着速度実測値(0.9 cm/s)を得た。タイでは,ランパン地方にあるチーク林において,オゾンと二酸化硫黄の空気力学的濃度勾配法による乾性沈着直接測定を実施した。その結果,オゾンと二酸化硫黄の沈着速度は,昼夜間共に,乾季に低く雨季に高いという明確な差異を持ち,これは,雨季においてキャノピー表面が湿潤となる期間が増加し,外表面への取り込みが促進されることによることを明らかにした。この取り込み促進効果は二酸化硫黄で顕著であった。さらに,雨季の日中に沈着速度が最大になるのは,前者の効果に加え,気孔からの取り込みが増加したことによることを明らかにした。乾季におけるオゾンの表面抵抗は,気孔への取り込みよりも空気力学的な要素の影響を受けていることが示唆された。国内外での乾性沈着フィールド研究の成果の集約を目的とし,東アジアの実際の地表面を対象として実施された乾性沈着研究に関する最新の知見(2002年~2007年頃)について取りまとめた。集約された知見を踏まえ,当該推計手法を東アジアの沈着面に適したものになるよう改良を施した。
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原著
  • 吉田 征司, 玉置 雅紀, 小川 大輔, 青野 光子, 久保 明弘, 佐治 光, 中嶋 信美
    44 巻 (2009) 1 号 p. 9-15
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    オゾンに曝された植物において,植物ホルモンのサリチル酸とエチレンは葉の可視障害を誘導・増幅する物質として知られている。一方,これらはオゾンに対して防御的に働くことも示唆されている。そこで本研究ではサリチル酸とエチレンによる防御機構の存在を明らかにすることを目的とした。シロイヌナズナのサリチル酸合成欠損変異体sid2及びエチレン非感受性変異体ein2を用いて,オゾンによる葉の可視障害を観察したところ,明瞭且つ安定した表現型を得ることができなかった。そこで,オゾン暴露によって顕著な可視障害が見られる変異体とsid2及びein2との二重変異体を作製し,それらのオゾン感受性を調べた。二重変異体の作製にはアスコルビン酸合成欠損変異体vtc1を用いた。この変異体においてオゾン暴露時にサリチル酸とエチレンのシグナルが機能しているかを確認したところ,vtc1変異体は野生型よりもサリチル酸とエチレンのシグナルが増加していた。したがってvtc1変異体はこれらのシグナルの機能を調べる材料として適切であることが確認された。そこで,vtc1/sid2vtc1/ein2の二重変異体を作製し,そのオゾン感受性を確認した。その結果,これらの二重変異体はvtc1変異体よりもオゾンによる可視障害が顕著に見られた。以上の結果はサリチル酸およびエチレンがオゾン暴露ストレスに対して防御的に働く側面を持つことを示している。
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  • 池田 四郎, 関根 嘉香
    44 巻 (2009) 1 号 p. 16-23
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    大気質の管理には,これまで化学的よび物理的手法が用いられてきた。バイオアッセイは,生物応答を利用した環境汚染物質に対する有害性評価法であるが,大気質での適用例は少ない。筆者らは,海洋性発光バクテリアVibrio fischeriを利用した簡易毒性評価法の開発を目的に,発光バクテリアに対する大気中粒子状物質の影響について検討した。2007年12月から2008年4月にかけて東海大学湘南校舎4階ベランダにおいて,通気流量23.5 L/minのローボリュームエアサンプラーを用い,7日間連続で大気中総浮遊粒子状物質(TSP)を石英繊維製フィルター上に捕集した。また2008年6月~9月にかけて,通気流量22.0 L/minのローボリュームエアサンプラーに接続したアンダーセンサンプラーを用いて大気浮遊粒子状物質を分級捕集した。試料を滅菌蒸留水で振とう抽出し,抽出液をポアサイズ0.45 μmのフィルターでろ過した。その後,ろ液を24ウェルプレート内でバクテリアに作用させ,ルミノメーターにより生物発光強度を測定した。本研究では,日立化成工業株式会社機能性材料事業部ライフサイエンス部門による提供の下,Rapid On-site Toxicity Audit System(ROTASTM)のLeachableキットをバイオアッセイに利用した。その結果,バクテリアの生物発光量は大気中の粒子状物質に阻害されることがわかった。また,生物発光が大きく阻害される場合においては,通気量あたりの発光阻害度(%/m3)とTSP濃度(μg/m3)の間に直線性が認められた。つまり,大気中浮遊粒子状物質には有害性がありTSP濃度に応答的であった。バクテリアに作用させた溶液は,黒色の微粒子によるコロイド溶液であった。そこで,この溶液を遠心ろ過し黒色微粒子を分離した。分離した粒子は透過型電子顕微鏡TEMを用いて観察し,さらにエネルギー分散型蛍光X線元素分析装置EDXによる成分分析をした結果,炭素を主成分としたススであることがわかった。このススが,バクテリアの発光を阻害した原因である可能性が示唆される。一方,TSP濃度が大きいにもかかわらず大気中浮遊粒子状物質が生物発光阻害を見せない場合もあった。年末年始の交通量が少ない時期や,花粉や黄砂が多く観測された春先が該当する。このことから,大気中浮遊粒子状物質には海洋性発光バクテリアの発光を活性化させる成分も含まれている可能性がある。また粒径2.1 μmを下回る微小粒子が,バクテリアに対し高い発光阻害度を示した。このことから本法を利用し,PM2.5を対象としたバイオモニタリング技術開発の可能性が挙げられる。
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  • 中嶋 吉弘, 松田 裕明, 井出 滋雄, 宮崎 洸治, 山崎 晃司, 岡崎 創, 長田 拓也, 田島 洋介, Jeeranut Suthaw ...
    44 巻 (2009) 1 号 p. 33-41
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    夏季の東京都心におけるOHラジカルの消失過程およびオキシダント生成効率を調査するために,2007年8月下旬に東京都江東区においてレーザーポンプ・プローブ法を用いたOHラジカルの寿命測定および大気微量成分濃度の観測を行った。OHラジカルの反応性の実測値と大気微量成分濃度の測定より得られた計算値との間に差異が見られ,OHラジカルとの未知の反応物質が存在することが確認された。また実測値と計算値との差について,大気微量成分との相関が見られなかった。オキシダント生成効率の指標であるオキシダントポテンシャルを計算し,NOx濃度が低い領域では,OHラジカルと反応する未知の反応物質がオキシダント生成に重要な役割を担うことを示した。また都市域および都市郊外地域におけるオキシダントポテンシャルの比較を行った。
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  • 大倉 毅史, 山澤 弘実, 森泉 純, 平尾 茂一, 郭 秋菊, 遠嶋 康徳, 飯田 孝夫
    44 巻 (2009) 1 号 p. 42-51
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    大気中222Rnを大気の広域輸送の諸現象を解明するためのトレーサーとするため,東アジア域において大気中222Rn濃度の連続測定ネットワークを構築した。陸域に位置する北京,名古屋においては,222Rn 濃度が高く,それぞれ月平均で10- 20Bq m-3,3- 10 Bq m-3,海域に位置する八丈島,波照間島においては,222Rn濃度が低く,ともに0.5- 3 Bq m-3程度であった。大気中222Rn濃度変動トレンドは観測地点により異なり,名古屋以外は,夏季に最も低く冬季に最も高い。短周期の変動トレンドは,北京,名古屋においては,1日周期の変動が見られ,八丈島,波照間島においては,1日周期の変動は観測されず,数日周期の変動が観測された。
    八丈島における大気中222Rn濃度の数日周期変動は,総観規模の大気擾乱に依存していることが確認された。2001年4月には寒冷前線の通過直後に急激な222Rn濃度上昇が観測された。後方流跡線を用いて,八丈島における大気中222Rn濃度と大気の輸送経路の関係を解析したところ,中国大陸北部やシベリア大陸から輸送されてきた気塊からは,高濃度の222Rnが観測され,海洋から輸送されてきた気塊からは,低濃度の222Rnが観測された。冬季には,輸送経路の水平位置より,鉛直方向の経路に強く依存していると考えられる。八丈島における大気中222Rn濃度は大気の輸送経路に密接に関係していることから,八丈島で観測される222Rnは,主に中国大陸北部からシベリアや日本列島を起源とした222Rnの長距離輸送成分に強く依存することが明らかになった。
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技術調査報告
  • 曹 仁秋, 牧野 国義, 本間 克典, 東野 達, 山本 浩平
    44 巻 (2009) 1 号 p. 24-32
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    都心部におけるPM2.5揮発成分濃度の季節変動要因を解析するため,2006年10月から2007年8月に東京の都心部沿道で,今まで単発的に測定されていたPM2.5中の半揮発成分の質量濃度を季節別に連続的に測定した。同時に,PM2.5,硝酸塩,硫酸塩,EC・OCの質量濃度も測定した。季節別の揮発性成分濃度は,冬季が高く,他の季節は低かった。冬季は硝酸塩濃度が高くなり,絶対湿度の起因することが認められた。揮発性成分濃度の日変化は各季節に共通しており,日中12時頃と深夜2時頃に明確なピークが見られ,主要な組成成分である硝酸塩,硫酸塩,OC及びECも同様のピークを示した。組成成分,気象要素や交通量などの影響を多変量として重回帰分析により季節別に検討した結果,揮発性成分濃度は単独の要因が特に強く影響するというよりも,いくつかの要因が総合的に影響を及ぼすことが推察された。各季節で最も寄与する変数は共通して硝酸塩であった。次に寄与する変数は季節によって異なり,冬季には絶対湿度,秋季や夏季には気温,春季や夏季には時刻が寄与することが明らかになった。
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ノート
  • 竹内 淨, 関 昌之, 井上 康明, 岩瀬 義男
    44 巻 (2009) 1 号 p. 52-57
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    川崎市内の臨海工業地域に近い田島局の常時監視データを用いて,NOを含む前駆物質とOx濃度の長期変動,並びに,8月におけるOx濃度とNO濃度との関係を詳細に検証した。その結果,1985から2005年度では,年平均値及び8月の月平均値とも,NOの低下傾向及びOxの上昇傾向がみられた。特に,各8月の月平均値では,OxとNOの間にトレードオフの関係がみられた。8月のOx高濃度事例では,NOがOxの生成を緩和すると推測されたため,1985,1995及び2005年度の各8月における5時のNO濃度とOx日最高濃度の関係を検証した。これより,5時のNO濃度が高い日には,Ox日最高濃度が低く,5時のNO濃度が低い日には,Ox日最高濃度が高くなりやすいことが分かった。また,5時のNO濃度が高い日でも,風速が小さく,NMHC濃度が高い場合にはOx日最高濃度が高くなることが分かった。8月の田島局では,Ox日最高濃度は,NOによるOx生成の緩和作用とNMHCによるOx生成の促進作用が競合した結果に強く影響されると考えられた。田島局では,8月のNO月平均値が経年的に低下傾向を示しており,8月のOx月平均値の経年的な上昇傾向の一要因であることが示唆された。
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