大気環境学会誌
Online ISSN : 2185-4335
Print ISSN : 1341-4178
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44 巻 , 2 号
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あおぞら
総説
  • 東野 晴行
    44 巻 (2009) 2 号 p. 59-66
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    従来,化学物質の暴露およびリスクは,観測データのみに基づいて評価されていた。しかし,評価すべき物質の数が多く,対象となる地域が広い場合に,十分な空間解像度で暴露やリスクの評価を実施するには,莫大な費用と労力を要していた。そこで,著者らは,化学物質の大気中の濃度を,排出量と気象条件から計算するソフトウェアであるADMER(正式名称:産総研-曝露・リスク評価大気拡散モデルを開発した。
    ADMERを利用することにより,評価可能な地域や物質の数が飛躍的に増加し,どのような発生源が高濃度・高リスクの要因となっているのか,定量的に評価できるようになった。また新規物質など観測データがない場合の推定,さらには将来と過去等の推定など,社会経済的評価に不可欠な要素を解析することも可能となった。
    ADMERは操作が簡単で誰でも無償で入手できることに加え,日本においてPRTR(環境汚染物質排出移動登録)制度が施行され,化学物質のさまざまな排出量データが入手できるようになったことから,自治体や事業所などを中心にユーザーが年々増加しており,さまざまなところで大気系化学物質のリスク評価に利用されている。
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原著
  • 鳥山 成一, 長元 空大, 金山 亮吾, 栗原 由実, 村田 康乃, 近藤 隆之, 山崎 敬久, 溝口 俊明, 木戸 瑞佳, 中谷 訓幸
    44 巻 (2009) 2 号 p. 67-81
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    炭素鋼板及びアルミニウム合金板について,黄砂による溶出イオンの挙動を解明する目的で人工腐食暴露試験を三種の条件((1)純粋雨+ガス,(2)純粋雨+ガス+エアロゾル,(3)人工酸性雨+ガス+エアロゾル)で行い,各イオン成分の溶出について検討した。
    アルミニウム合金板の(1),(2)の条件で溶出したMgイオンのみ,黄砂による腐食促進傾向が示された。しかしながら,炭素鋼板,アルミニウム合金板から溶出したその他のイオンは,いずれも黄砂による腐食抑制傾向が見られた。
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  • 神成 陽容, 大原 利眞
    44 巻 (2009) 2 号 p. 82-90
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    既報で見いだされたオゾン週末効果の時間・空間上の反転現象を説明するため,移流と反応のみを考慮した簡易数値モデルを作成した。このモデルは,発生源からの移流時間が短いと光化学反応に供給される光エネルギーが制約されるため,O3日最高濃度が押さえられる状況を説明する。移流時間別にオゾン日最高濃度等値線図を作成して,HC-limitedとNOx-limitedのオゾン生成レジームが存在すること,移流時間とともにNOx-limitedの領域が拡大していくことを確認した。このことから,特定のNMHC, NOx初期値で排出された場合に,発生源近くのHC-limitedから遠方のNOx-limitedへと移行する傾向があることが説明できた。週末の前駆物質の低減がNMHC, NOx間で異なり,NOx低減率が大きいことを前提として,発生源近くではHC-limitedのレジーム内でオゾン週末上昇が,発生源から遠方ではNOx-limitedのレジームにかけてオゾン週末低下がもたらされることがモデルにより説明できた。また,レジーム境界は気象条件によっても異なり,日射量・気温が低下すると,HC-limitedからNOx-limitedへの移行がより遠方に移ることから,週末低下が起こりにくくなることも説明された。
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  • 日置 正, 紀本 岳志, 長谷川 就一, 向井 人史, 大原 利眞, 若松 伸司
    44 巻 (2009) 2 号 p. 91-101
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    エアロゾルに関する越境大気汚染と地域汚染の影響を区別して評価することを目的として,2007年3月の14日間,松山,大阪およびつくばでTSPを採取し,Pb/Zn比,V/Mn比,La/Sm比およびLa/V比などの複数の金属元素濃度比を用いて解析した。松山で観測した高いPb/Zn比は北京市のTSPの Pb/Zn比と整合的であり,長距離輸送の影響と考えられた。松山で観測した高いV/Mn比はローカルな石油燃焼系発生源の影響と考えられたが,長距離輸送の影響を受けるケースでは低いV/Mn比が観測された。大阪ではV/Mn比が他の観測地点に比べて顕著に低く,廃棄物焼却や鉄鋼工業の影響が推定されたが,ローカルな土壌や多様な人為発生源の影響が輻輳していると考えられた。つくばは土壌や地殻の元素濃度比に近く,変動も小さかったことから観測地点に影響を与える人為発生源が近傍に少ないか,または相当遠方にあって影響が平均化されていることにより,人為発生源の影響が観測されにくくなっていると推定された。
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技術調査報告
  • 柏倉 桐子, 佐々木 左宇介, 坂本 和彦
    44 巻 (2009) 2 号 p. 102-116
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    1998年以降の厳しい排出ガス規制に適合したガソリン車10台について,排出ガスに含まれる規制物質(3種)および未規制物質(21種)の排出傾向を考察した。
    コールドモード試験について,規制物質であるTHC排出量と未規制物質との関係を見ると,ベンゼンやトルエン,キシレン類においてr ≥ 0.9 (n = 45, p ‹ 0.01)の高い相関があった。ホットモード試験では多くの未規制物質が排出されていなかった。ただし,EGR制御を持つ希薄燃焼型の乗用車1台は,S.S. 80 km/hの高速度走行においてベンゼン環を持つ物質の排出量が特異的に高かった。原因として,高速度の定常走行ではEGR率が高くなるために不完全燃焼生成物が多く,触媒では浄化され難いベンゼン環を有する物質の排出量が高かったと推測した。
    11モードの排出ガスを1サイクル目,2サイクル目,3+4サイクル目に分割して測定したところ,CO2とNH3以外の測定物質は初めの1サイクル目で走行モード全体の74%以上が排出された。従って,始動直後から触媒が活性温度に暖機されるまで,約120秒間の排出ガス低減対策が特に重要である。
    ホットスタートの法定試験モードである10・15モードとJC08モードについて,排出量を比較したところ,多くの物質においてJC08モードの排出量が多かった。特に,PAHsは10・15モードでは不検出でもJC08モードでは検出できた。加減速が実走行に近い場合,燃焼制御が難しいために未燃燃料あるいは燃料由来の燃焼反応生成物のような不完全燃焼生成物が多くなると推測した。不完全燃焼生成物のうち,アルデヒド類などは触媒で浄化され易いが,ベンゼンやPAHsは浄化され難いため,不検出になるレベルまで低減できなかったと考える。
    本試験のガソリン車から排出された地球温暖化物質のうち,温室効果ガス排出量に占める寄与率が最も高い物質はCO2(94 ~ 100%,平均99%,SD ± 1.3)で,温室効果ガスの排出を削減するためには燃費改善によるCO2排出量の低減が最も効果的であることを示した。
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  • 友寄 喜貴, 野口 泉, 大泉 毅, 北村 洋子, 中川 史代, 溝口 俊明, 村野 健太郎, 向井 人史
    44 巻 (2009) 2 号 p. 117-127
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    全環研酸性雨調査研究部会の第4次酸性雨全国調査以降2003~2006年度の4年間継続して有効データの得られた39地点の湿性沈着データを用いて,アジア大陸側から北西の季節風が卓越する冬季のデータを中心に,越境汚染について解析した。主要イオン成分濃度および沈着量等の年平均値および冬季の月平均値から,アジア大陸に近い地理的要因を持つ,JS(日本海側)およびWJ(西部)で冬季の濃度および沈着量が高い傾向がみられた。冬季のnss-SO42-沈着量などの経年変動から,JSおよびWJにおいては,降水量は増加していないにも関わらず,nss-SO42-沈着量の増加傾向が確認された。また,nss-SO42-沈着量などの平均経年変化量から,WJおよびWJに近い地点では,nss-SO42-沈着量の経年的増加傾向が明らかになった。さらに,同地点ではNH4+, Heff(= H+ + 2NH4+)およびΣN(= NO3- + NH4+)沈着量ともに経年的増加傾向を示した。冬季の風向およびアジア大陸に近い地理的要因を考慮すると,JSおよびWJにおいてアジア大陸側からの越境汚染の影響が大きいことが示唆された。また,WJおよびWJに近い地点では,その影響が年々増大している可能性が推測された。さらに,酸性物質のみならず,土壌酸性化や窒素負荷の観点から,アンモニアの挙動も考慮に入れた越境汚染の影響についても,今後注視していくことが必要であると考えられた。
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