大気環境学会誌
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45 巻, 4 号
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あおぞら
原著
  • 野口 泉, 林 健太郎, 加藤 拓紀, 山口 高志, 秋山 雅行, 大塚 英幸, 酒井 茂克, 高木 健太郎, 深澤 達矢, 柴田 英昭, ...
    2010 年 45 巻 4 号 p. 153-165
    発行日: 2010/07/10
    公開日: 2010/12/13
    ジャーナル フリー
    フィルターパック法または拡散デニューダ法を用いて札幌(都市地域),母子里(田園地域),利尻(遠隔地域,海岸部)および天塩(遠隔地域,山間部)において亜硝酸ガス(HONO)を含む各酸化態窒素の大気濃度を測定し,その挙動について考察した。HONO濃度は都市地域である札幌で最も高く,年平均濃度では他の地域の11~31倍を示した。HONO濃度は,都市地域では冬に,遠隔地域では夏に高く,田園地域では両方の特徴を示した。また環境大気中のHONO/NOx比はKurtenbach et al. (2001)による直接発生源のそれより大きく,大気中のHONOの生成には大気中粒子表面や地表面におけるNO2と水の不均一反応による二次生成の寄与が大きいと考えられた。地表面での不均一反応の場合,NO2の沈着により,HONOが放出されるため,HONOとNO2の濃度勾配には負の相関関係が見られるはずであるが,天塩ではHONOとNO2の高度別濃度差(30および10m)に正の相関関係が見られた。また利尻のHONOとPM10に有意な相関が認められ,また利尻および母子里のHONO/NO2と絶対湿度に有意な相関が認められた。このことから,NO2濃度が比較的低い田園および遠隔地域では大気中の粒子表面での不均一反応の寄与が大きいと考えられた。一方,都市部である札幌では地表面における二次生成の寄与は,特にNO2濃度の高い冬期に無視できない寄与があると考えられた。さらに冬期の札幌ではHONOおよびNOとHNO3およびO3は負の相関関係を示した。これはNO濃度が高い冬期の都市部ではO3濃度が低くなり,NO2からHNO3および粒子状硝酸塩への変換が進まないためと考えられた。このように,大気中のHONOの挙動は,大気中粒子表面や地表面におけるNO2と水の不均一反応による二次生成に支配されており,NO2濃度,大気中水分,O3濃度は,この不均一反応に大きな影響を及ぼすと考えられた。
ノート
  • 寳示戸 雅之, 林 健太郎, 松浦 庄司, 神山 和則
    2010 年 45 巻 4 号 p. 166-170
    発行日: 2010/07/10
    公開日: 2010/12/13
    ジャーナル フリー
    栃木県北部の集約酪農地域において大気中のアンモニア(NH3)濃度の鉛直分布を2年に渡り観測した.観測にはパッシブサンプラーを用い,地表40 mまでの2週間平均濃度を測定した.2年間の平均濃度は地上5.7 mで最も高く(26.5 μg NH3 m-3, 0 °C and 1013 hPa),地上40 mで最も低かった(15.4 μg NH3 m-3).地上40 mのNH3濃度は暖候季(4~9月)に高く(19.1~19.7 μg NH3 m-3),寒候季(10~3月)に低い(11.4~11.7 μg NH3 m-3)という明瞭な季節変化を示した.一方,低高度ではNH3濃度の季節変化は明瞭ではなく,畑や草地への堆肥施用などの農業活動の影響を受けたと考えられる.最下層(地上1.0~5.7 m)を除いてNH3濃度の勾配は概ね発生の傾向を示し,本地域は通年的なNH3の発生源であった.
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