硝酸塩、硫酸塩濃度の変動についての報告が従来少なかったことは、連続的な計測が過去には容易でなかったことが一因である。本研究では、自動計測機器を使用して、京都府宇治市における
PM 粒子中の硝酸塩、硫酸塩濃度の変動の特徴を得るためにほぼ
1 年間の観測を行い、季節別の濃度変動と日変化について解析した。
PM 粒子(
PM1、
PM2.5、
PM10)は冬季の濃度が低かった。
PM1、PM10 中の硝酸塩濃度は夏季に減少し、硫酸塩濃度は春季に増加した。夏季には硝酸塩粒子のガス化、春季は黄砂の飛来が濃度変動に影響すると考えられる。硝酸塩濃度の日変化におけるピークは主として
8時から
9時の間に見られた。交通量の増加による濃度増加と気温上昇による濃度減少が関与している。また、硫酸塩濃度の日変化におけるピークは主として紫外線量が増加した
14 時頃であった。主風向の比較から、硝酸塩、硫酸塩濃度はともに大阪市方向からの移流の影響を受けていることが推察された。
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