大気環境学会誌
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49 巻 , 1 号
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あおぞら
原著
  • 印南 ゆかり, 三輪 誠
    49 巻 (2014) 1 号 p. 1-7
    公開日: 2014/07/18
    ジャーナル フリー
    埼玉県のホウレンソウの生産現場では、春季の比較的高い濃度のオゾンの影響により葉に可視被害が顕在化し、問題となっている。本研究では、オゾンに強いホウレンソウの品種を選抜するとともに、オゾン感受性を推測するための指標と、春季に生じるオゾン被害の原因について検討した。オゾンに強いホウレンソウの品種を選抜するため、野外にあるガラス室内で時期を変えてプランター栽培したホウレンソウ(24品種)に、120 ppbのオゾンを、1日あたり5時間、3日間にわたって人工的に暴露した。葉に発現した可視被害の程度に基づき、品種間のオゾン感受性差異を評価した結果、感受性が低く可視被害が発現しにくい品種が選抜できた。一方、オゾン被害度と気孔密度との間には高い正の相関が認められ、気孔密度の高い品種ほどオゾン感受性が高く、葉に被害が発現しやすいことがわかった。また、いずれの品種においても、気孔密度が春季に高くなり、オゾン被害度も同時期に高くなる傾向を示した。オゾン被害度と気孔密度との相関も、この時期により強くなる傾向にあった。これらのことから、春季に栽培されたホウレンソウの気孔密度が、オゾン感受性を推測するための指標となり得ると考えられた。一方、圃場で栽培したホウレンソウでも、気孔密度が春季に高くなった。このことから、春季にオゾンによる被害の報告が多くなることの一因として、大気中のオゾン濃度が上昇する春季に、ホウレンソウの気孔密度が高くなり、オゾン感受性が高まったことが考えられた。
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  • 西村 弘, 近藤 明, 乾 雄人, 嶋寺 光, 井上 義雄
    49 巻 (2014) 1 号 p. 8-14
    公開日: 2014/07/18
    ジャーナル フリー
    高濃度オゾンが日本の代表的な針葉樹であるスギ、ヒノキ、アカマツのモノテルペン放出量に与える影響を把握するため、グロースチャンバーを用いて光量や温度を制御し、オゾン暴露実験を行った。すべての実験で、オゾン暴露直後、放出量が急激に増加し、減少・収束するという挙動を示した。基準状態(暴露オゾン濃度100 ppb、初期オゾン濃度上昇率100 ppb h-1、気温30℃、相対湿度50%、光量850 µmol m-2 s-1)における収束期でのα-Pinene平均放出量は暴露前との放出量比で、平均±標準偏差で、ヒノキ0.53±0.21、アカマツ0.46±0.24となり暴露前と比べ減少したが、スギは1.01±0.33となりほとんど変わらなかった。暴露時の光量・温度条件がスギのα-Pinene放出量に与える影響を検討するため、異なる光量・温度条件下でチャンバーを制御し暴露実験を行った。収束期のα-Pinene平均放出量は暴露前との放出量比で、光量1200 µmol m-2 s-1で1.42±0.31、温度35℃で0.49±0.15となり、光量増加で増加し、温度上昇で減少した。加えて、暴露初期のオゾン濃度上昇率がスギのα-Pinene放出量に及ぼす影響についても検討した。初期のオゾン濃度上昇率を25 ppb h-1、50 ppb h-1とした場合、収束期の平均放出量は暴露前との放出量比で、それぞれ0.68±0.12、0.57±0.11となり暴露前より少なく、初期濃度が収束期のα-Pinene放出量に影響を及ぼすことが観察された。これらの知見は、オゾン暴露前後でのモノテルペン放出量の変化が暴露オゾン濃度以外の因子にも影響を受けることを示唆している。
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  • 鈴木 亮太, 吉野 彩子, 兼保 直樹, 高見 昭憲, 林 政彦, 原 圭一郎, 渡邉 泉, 畠山 史郎
    49 巻 (2014) 1 号 p. 15-25
    公開日: 2014/07/18
    ジャーナル フリー
    東アジアからの長距離輸送の影響を明らかにするため、長崎県福江島(ルーラル地域)と福岡県福岡市(都市域)の2カ所でエアロゾルに含まれる金属元素の測定を行った。金属元素の組成とその濃度比から気塊の発生源を推定した。発生起源の寄与はPMF解析によって行われた。PMF解析の結果と流跡線解析からTPSCF解析によって発生源地域を特定した。PMF解析により福江で捉えられたエアロゾルは5つの因子、福岡で捉えられたエアロゾルは4つの因子に分類された。PMFによって示された因子から、福江だけでなく、福岡も黄砂や石炭燃焼の影響を強く受けていることが示された。2地点のデータについてのTPSCF解析の結果、PMF解析で評価された黄砂と石炭燃焼からの排出物がいずれもアジア大陸、特に中国を発生源としていることが明らかになった。道路粉塵の因子は上海やソウルなどの大都市上に分布していた。また、重油燃焼についてのTPSCFは、両地点において海上船舶からの放出が重要であることを示唆していた。
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  • 髙田 賢, 大河内 博, 緒方 裕子, 栗島 望, 原 宏, 木村 園子ドロテア, 高柳 正夫
    49 巻 (2014) 1 号 p. 26-33
    公開日: 2014/07/18
    ジャーナル フリー
    東京都心から約30 km離れた東京農工大学FM多摩丘陵(東京都八王子市)にある30 m観測タワーの7高度で、大気中酸性ガス (SO2、HNO3) とエアロゾル (SO42-、NO3) の鉛直観測を行い、森林フィルター効果の検証を行った。酸性ガスの鉛直分布は高度の低下に伴う濃度減少が見られ、森林フィルター効果が確認された。酸性エアロゾルでは粒径によって鉛直分布が異なり、微小粒子領域で高度の低下に伴う濃度減少が見られた。樹冠上空 (30 m) と樹冠下部 (6 m) の大気中濃度を用いて、森林フィルターモデルを適用したところ、酸性ガスでは両者の濃度差と樹冠上空濃度との間に高い正の相関があり、樹冠捕捉率はSO2で0.55、HNO3で0.43と推計された。酸性エアロゾルは微小粒子領域で樹冠フィルターモデルが適用可能であり、樹冠捕捉率はSO42-で0.52、NO3で0.45と推計された。
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  • 山本 修司, 大河内 博, 緒方 裕子, 名古屋 俊士, 皆巳 幸也, 小林 拓, 加藤 俊吾
    49 巻 (2014) 1 号 p. 34-42
    公開日: 2014/07/18
    ジャーナル フリー
    2012年の7、8月にそれぞれ一週間程度、富士山頂および南東麓において、26種の人為起源揮発性有機化合物 (AVOCs; 塩素化炭化水素17種、単環芳香族炭化水素6種類、二環芳香族炭化水素3種類)の連続採取を行った。富士山頂における総AVOCs濃度は、同時観測を行った富士山南東麓の1/2未満、新宿の1/10未満と低いことがわかった。富士山頂における塩素化炭化水素濃度を、自由対流圏高度に位置する山岳域 (Mauna Loa: 3397 m, Summit: 3238 m) と比較すると、四塩化炭素濃度は同程度であった。一方、ジクロロメタン濃度はこれらの山岳域の4倍以上の濃度であった。ジクロロメタンは1 ppbvを超える高濃度が夜間に観測されたが、このときにはベンゼンも高濃度であった。このときは、オゾン濃度の上昇と水蒸気混合比の減少を伴っており、後方流跡線解析から海洋大気の成層圏下層または対流圏上層からの流入を示していた。トルエン、m,p-キシレン、ナフタレンは日中濃度が高く、夜間低いという昼夜変動を示した。ナフタレンは谷風輸送による国内汚染の可能性が示唆された。
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  • 山之越 恵理, 大河内 博, 緒方 裕子, 小林 由典
    49 巻 (2014) 1 号 p. 43-52
    公開日: 2014/07/18
    ジャーナル フリー
    2012年3月、5月、7月、10月、12月に各1週間程度、東京都新宿区に位置する早稲田大学西早稲田キャンパスで、大気エアロゾル中フミン様物質(HULIS)の定量を行った。試料はハイボリウムエアサンプラーにて昼夜12時間ごと(6 : 00~18 : 00、18 : 00~6 : 00)に行い、DEAE-UV法でHULISをフミン酸、フルボ酸分画に分けて分析した。HULIS濃度は夏季に低く、秋季と冬季に高いという季節変化を示し、季節によらずHULIS中90%をフルボ酸が占めていることが分かった。年間を通じて、HULIS濃度はNO2、CO濃度と比較的高い正の相関が見られたことから、東京都心部の新宿におけるHULISは自動車などの燃焼起源から主に排出されていることが示唆された。フミン酸、フルボ酸を比較すると、フルボ酸はフミン酸より濃度変動が大きいことから、フミン酸はより安定な構造を持っていることが示唆された。加えて、フルボ酸はより人為起源の影響を受けやすいことがわかった。また、夏季にはOXと同様の昼夜変動を示し、一次生成以外に二次生成の影響がみられた。秋季には、バイオマス燃焼起源の指標であるレボグルコサン濃度が高く、HULIS濃度とも正の高い相関が見られることから(r=0.867)、秋季におけるHULIS濃度の増加はバイオマス燃焼の影響によるものと考えられた。
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ノート
  • 吉田 円香, 宮崎 あかね, 緒方 裕子
    49 巻 (2014) 1 号 p. 53-58
    公開日: 2014/07/18
    ジャーナル フリー
    森林樹冠による大気エアロゾル中微量金属の捕捉能の解明を目的として、2012年4月から12月まで神奈川県川崎市多摩区にある日本女子大学西生田キャンパス内水田記念公園(約18 ha)で、主要樹種であるスギとコナラの地上から5 m付近の生葉とともに林外雨と林内雨を一ヶ月ごとに採取し、ICP-AESで微量金属元素10種 (Al, Cd, Cr, Cu, Fe, Mn, Ni, Pb, V, Zn) を測定した。このうち、5元素 (Cd, Cr, Ni, Pb, V) は検出限界以下であった。森林端のコナラ葉中金属含有量は葉の展開とともに増加し、11月に葉中金属含有量が最大となった (8.9 µg/cm2)。森林内に比べて森林端で2.5倍高く,森林のエッジ効果によるものと考えられたが、エッジ効果は元素によって異なった。観測期間中のコナラ樹冠による総金属捕集量を推計したところ、35〜81 kgであった。
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原著
  • 吉門 洋, 西田 由佳
    49 巻 (2014) 1 号 p. 59-67
    公開日: 2014/07/18
    ジャーナル フリー
    関東平野の中央部、東京都と埼玉県の東部を対象に、1990~2010年の7~8月の実測データを用いて、夏季の光化学オキシダント (Ox) 高濃度出現状況の経年的変化について解析した。Ox注意報レベル (120 ppb) を高濃度の目安とした。年ごとの気候の振れの影響を除くため、Ox高濃度の出現しやすい気象条件の一つの典型として、関東南岸から北に向けて海風系が発達する日に注目した。Ox高濃度の日数とともに、海風日に限ってのその出現率も、90年代に比べ2000年以降は急増した。2000年以降の11年間では、高濃度出現率は低下傾向とも見えるものの、高いランクが維持、またはごく緩やかな低減にとどまっている。全般に高濃度日は、弱めの風速では対象領域の南部から中部にかけて、強めの風速では北部から中部にかけて、出現しやすい傾向が確認できた。2000年以降を二期に分けたとき、高濃度がほとんど出現しない強風日が後期に増加し、一方、南部高濃度が出現しやすかった弱風日は減少した。このような高濃度出現地域の傾向的変化に結びつく海風型の出現傾向の年代的変化は、元をただせば東日本をとりまく夏季気圧配置傾向の10年スケールの変動と関連付けられ、より長いスケールの気候変動との関連も疑われる。
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