CBMIV光化学反応モデルを用いたシミュレーションにより、種々の光化学反応生成物の化学レジームを検討した。シミュレーション結果を初期NO
x、VOC濃度を直交軸とする等値線図上で解析した結果、NO
2、HNO
3、O
3、PAN等の主要生成物、およびHNO
2、N
2O
5、HNO
4、NO
3等の低濃度生成物、さらにはHO
xサイクルを構成するラジカル類にも、VOC制約 (VOC-limited)、NO
x制約 (NO
x-limited) という二種類の化学レジームが認められ、等値線図上のレジーム境界が等初期濃度比 (VOC
0/NO
x0)の線で表されるレジーム境界相似則が、近似的に成立していることがわかった。各生成物質について、レジーム境界線を示すVOC
0/NO
x0値 α は時間的に低下していくことが確認された。レジーム境界の相似則の成因を検討するため、HO
xサイクル効率を解析し、またNO
xの消費過程を調べた結果、等VOC
0/NO
x0線上では、NO
xが同じ反応係数をもつ擬一次反応過程で消費されていくことを見出した。これは、汎物質的に成立しているレジーム境界の相似則の成因の一つであると考えられる。実用的な側面からは、HNO
3、PANについて、O
3と同様にVOC制約レジームにおけるNO
xの阻害効果が確認されたことが重要である。NO
x排出量の削減がこれらの物質や派生物のエアロゾルなどの生成を助長する可能性を示すもので、今後の検討が望まれる。
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