大気環境学会誌
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52 巻, 3 号
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あおぞら
研究論文(技術調査報告)
  • 工藤 慎治, 飯島 明宏
    2017 年 52 巻 3 号 p. 89-99
    発行日: 2017/05/10
    公開日: 2017/07/22
    ジャーナル フリー

    PM2.5による大気汚染では、発生源からの局所的な影響に加え、越境大気汚染のような広域的な影響によってPM2.5が増加する場合がある。また、PM2.5の高濃度化現象は地形や気象条件の影響も受けるため、これらのさまざまな要因を考慮する必要がある。そこで本研究では、リセプターサイトでのPM2.5質量濃度増加と高層風との関係を季節別に把握し、広域的な影響によって増加するPM2.5の発生地域を推定することを目的とした。東京の2012年から2014年における常時監視データと後方流跡線解析結果を用い、後方流跡線のクラスター分析およびCWT (Concentration-weighted trajectory) 解析を行った。その結果、東京におけるPM2.5質量濃度の増加に影響を及ぼす地域は以下のような特徴を示すことがわかった。東京に到達する気塊の輸送経路のうち、1) 中国大陸と、黄海や韓国の近海から流入する国外の影響と、2) 西日本や太平洋側から流入する国内の影響によってPM2.5質量濃度が増加しやすい可能性が示唆された。特に冬季では、東京南海の太平洋側からの気塊の流入でPM2.5質量濃度の増加が顕著に見られた。この要因として移動性高気圧周回流による気象条件が考えられ、国内沿岸部の燃焼系発生源の影響や北東アジアおよびロシア極東地域から長距離輸送され海上で蓄積した汚染物質の影響を含んでいた可能性が示唆された。

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