大気環境学会誌
Online ISSN : 2185-4335
Print ISSN : 1341-4178
ISSN-L : 1341-4178
57 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
研究論文(原著論文)
  • 瀧本 浩史, 木村 啓, 佐藤 歩, 菅野 洋, 岡田 真秀
    2022 年 57 巻 3 号 p. 90-100
    発行日: 2022/03/30
    公開日: 2022/03/30
    ジャーナル フリー

    寒冷地における地熱発電所では、冷却塔から排出される蒸気により周辺樹木に着氷影響が生じる可能性があり、環境影響評価を実施する際には、必要に応じてその影響範囲を定量的に予測することが重要となる。そこで本研究では、地熱発電所における着氷現象に係る観測結果に基づき、着氷厚さの成長速度(着氷成長率)を予測できる着氷予測モデルを開発し、その妥当性確認を行った。予測モデルは、正規分布を仮定したプルーム式に基づくものであり、観測値との比較から、地形影響などを考慮して冷却塔排気プルームの拡散幅を適切に設定することで、排気の拡散を精度よく再現できることを明らかにした。また、着氷の成長には一定の時間を要することから、24時間平均の着氷成長率を予測する方法を提案し、観測により得られた着氷成長率の時間変化をよく再現できることを示した。24時間平均した着氷成長率の水平断面分布は、拡散幅や予測モデルの設定の影響を受けにくく、環境影響評価において着氷影響の範囲を求める実用的な方法であることを示した。

研究論文(技術調査報告)
  • 豊永 悟史, 古澤 尚英, 小原 大翼, 荒木 真, 山本 裕典, 矢野 弘道, 山崎 文雅
    2022 年 57 巻 3 号 p. 77-89
    発行日: 2022/03/18
    公開日: 2022/03/18
    ジャーナル フリー

    大気汚染物質の常時監視を適切かつ効率的に行うことは、それを担う都道府県等にとって重要な課題である。本研究では、PM2.5を対象として、測定局数を減少させた場合に環境基準の評価に与える影響を把握し、最適な効率化配置を探索する手法を開発した。本手法は、次の3ステップで構成される。ステップ1では、既存の測定局配置(既存ネットワーク)と測定局数を減らした後の配置(サブネットワーク)について、前報で示したRegression Kriging法(RK法)による空間濃度分布の予測を行う。この結果に統計検定を適用し、環境基準の評価対象である年平均値等の空間分布に有意差が生じないサブネットワークを抽出する。ステップ2では、ステップ1で抽出されたサブネットワークについて、既存ネットワークから予測される空間濃度分布と比較した場合に、閾値を超える濃度差が生じる陸地面積に基づく指標値を算出した。この指標値が最小となるサブネットワークが最適解となる。ステップ3では、最適解でのRK法の予測結果を、予測に用いていない実測値と比較することで、最適解の妥当性を評価する。この手法を熊本県の実測データに適用したところ、現状より5局少ないサブネットワークにおける最適解が得られ、その妥当性も確認された。本手法は大気汚染常時監視の実務を担う都道府県等で活用可能な手法の一つとなることが期待される。

資料(関東支部講演会講演要旨の抄録)
原著論文
feedback
Top