大気環境学会誌
Online ISSN : 2185-4335
Print ISSN : 1341-4178
ISSN-L : 1341-4178
最新号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
総説
  • 大河内 博
    2026 年61 巻5 号 p. 81-90
    発行日: 2026/09/05
    公開日: 2026/09/05
    ジャーナル フリー

    近年、マイクロプラスチックによる環境汚染は地球規模の課題として認識されている。これまでの研究は主に海洋を対象としてきたが、近年、大気中にも微小プラスチック粒子が存在し、大気輸送を通じて広域に循環する可能性が指摘されている。本研究では、大気中マイクロプラスチックの実態解明のために、前処理法を最適化し、顕微赤外全反射イメージング法(µFTIR-ATRイメージング法)を用いた計測手法を開発することで、従来検出が困難であった2 µmレベルの微小プラスチック粒子の同定・定量を可能にした。本手法は、粒子ごとのポリマー同定に加え、粒径・形状評価および表面劣化度評価を統合的に行える点に特徴がある。空気動力学径別に採取した大気エアロゾル、雲水、雨水、積雪、鳥類肺組織、植物葉面、森林土壌、海水、陸水など多様な環境試料に適用した結果、100 µm未満のマイクロプラスチックが大気圏を含む多様な環境媒体に広く存在することを明らかにした。本技術は、大気中マイクロプラスチックの発生源、輸送、変質、沈着、吸入曝露、気候影響および生態系リスクを理解するための基盤技術であり、観測手法の標準化と長期観測ネットワーク構築に向けた重要な進展である。

入門講座
feedback
Top