大気汚染物質曝露の循環機能に対する影響を検討する目的で, 無麻酔, 非拘束下で経時的にラットの心電図, 血圧を測定する方法を考案し, この方法を用いてラットの週齢, 性, 麻酔等による心拍数, 血圧の相違を検討した。またオゾン (03) 1pp斑, 3時間曝露の予備実験を行った。心電図電極, 血圧測定用カテーテルの装着は麻酔下にて行った。心電図電極は胸部双極誘導とし, カテーテルはポリエチレンチューブPE10, PE50を用いて左大腿動脈から挿入し, 共に皮下を通して背部へ導出し麻酔より覚醒せしめた。術後24時間経過後, 電極, カテーテルを測定機器に接続し, 安静30分間放置後測定を開始した。ラットはケージ内で自由に動く事が可能であった。
週齢差では, 心拍数は4週齢が最も高く, 86±2/10秒であったが, 週齢が進むにつれ心拍数は減少し, 10週齢では71±4/10秒であった。血圧は125~135mmHgとあまり変化はなかった。10週齢の雌は同週齢の雄よりやや心拍数が多かった。高血圧自然発症ラット (SHR) では, 心拍数は各週齢とも正常血圧ラットより少なかったが, やはり週齢が進むと共に減少した。手術後3日間の心拍数, 血圧の再現性は良好であった。曝露チャソバー内での室内ろ過空気3時間曝露では, 各週齢とも心拍数, 血圧は安定しており, 曝露実験に適した方法と思われた。031ppm, 3時間曝露を行うと, 心拍数, 血圧とも30分後から減少し, 3時間後にはそれぞれ曝露開始時の50%, 80%となった。またpentobarbitalsodium麻酔下で同様実験を行うと, 麻酔により心拍数, 血圧が減少し, 大気汚染物質の真の影響が反映されない事が確認された。
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