大気汚染学会誌
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20 巻, 1 号
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  • 全地球的な硫黄循環への寄与
    畠山 史郎
    1985 年 20 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    主に自然界に由来する還元状態の有機硫黄化合物の大気中への放出と, その大気中における酸化反応が全地球的な硫黄循環の見積りに与える影響についてまとめた。主な内容は, 全地球的な硫黄循環の見積りや海洋エアロゾルにおける硫酸塩過剰 (サルフェート・エンリッチメソト) の問題から指摘された還元状態の硫黄化合物の重要性, その実測, 有機硫黄化合物の酸化反応, 硫黄収支のモデル計算と問題点, である。
  • 松本 光弘, 板野 龍光
    1985 年 20 巻 1 号 p. 12-22
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    昭和57年11月より翌年10月までの1年間, 奈良市で雨水を初期雨水と後続雨水の2種に分割採取し, 各雨水のイオン成分について主成分分析, 重回帰分析を行った。
    主成分分析により, 初期および後続雨水中のイオン成分は, 2個の主成分 (z1, z2) に指標化することができた。第1主成分偽は雨水の総合的汚染度を示す因子, 第2主成分z2は雨水のイオン成分の発生源寄与を示す因子であると考えられた。これら2個の主成分z1と22を用いることにより, 雨水の季節別および分取別の総合的汚染度と発生源寄与を評価することができた。初期雨水の各成分は, 人為的発生の汚染質および大気化学反応による二次生成の汚染質と自然的発生の汚染質の2群に大別することができ, 一方, 後続雨水の各成分は, 上記の2群の他に, これらの両方の性質をもつ3群に大別できた。このことは初期雨水が主にウオッシュアウト, 後続雨水がレインアウトによる雨水の構造モデルによって説明できた。
    重回帰分析より, 雨水のH+濃度に影響を及ぼすイオン成分はSO42-, NO3-, NH4+, Ca2+の4成分であると推定された。H+濃度を増加させる作用として働く成分は, 初期雨水ではNO3->SO42-, 後続雨水ではSO42->NO3-の順であり, 一方, H+濃度を減少させる作用として働く成分は, 初期雨水ではCa2+>NH4+, 後続雨水ではNH4+>Ca2+であることが明らかになった。
  • 深沢 力, 岩附 正明
    1985 年 20 巻 1 号 p. 23-32
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    市街および工業地区の試料を酸処理, 灰化, 重液分離し, けい光X線分析, X線回折分析, X線マイクロアナリシスなど行い, 各種元素の存在状態と分解抽出しやすさなどを研究した。
    硫黄は大部分セッコウの形で存在したが, 有機化合物として含まれると思われるものもあった。塩素は塩化ナトリウムのほかに, 一部臭素と同様有機化合物としての存在が推定された。リンは溶出しやすい。多くの金属元素の一部又はかなりの部分が炭素質中に取り込まれて存在すると思われた。ケイ素, チタソ, クロム, アルミ論ウム, カリウム, ジルコニウムなどは完全溶出が特に困難で, 20-30%も残る酸処理灰化残留物中にかなりの量が残った。これらは石英, 長石, 角閃石, 黒雲母, コランダム, ルチル, ジルユンなどの形で含まれていた。これのフッ化水素酸処理残分は0.2%以下になり, この中にはコランダム, ルチル, ジルコンのほか, 更にクロマイト, スピネル類, イルメナイトと推定されるもの, その他が検出された。各元素の存在状態の多様性は元素分析の場合に注意すべきこと, および難分解性成分のX線回折分析の可能性について述べた。
  • 岡本 眞一, 伊藤 政志, 林 正幸, 塩沢 清茂
    1985 年 20 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    光化学スモヅグの発生を予測するために, オキシダント濃度の統計モデルを開発した。東京都内37測定室でのデータに基づく主成分分析結果より, 都内全域はほぼ1つのモデルで適用できることを明らかにした。次に2種類の予測モデルを開発し, その比較を行った。一つは判別関数であり, 他は重回帰式である。これらのモデル式中の係数は1982年度データに基づいて求められたものであり, 1981年度データにより検討した。全体としては重回帰モデルの予測精度が高いが, 高濃度日のみに注目しだ予測精度は判別モデルの方が良好であった。
  • 中川 吉弘, 光木 偉勝, 渡辺 弘
    1985 年 20 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    ウメノキゴケ (Parmelia tinctorum) に対してNO (0.18-0.56PPm) の単一あるいはNO2 (0.20PPm), SO2 (0.1pPm) が複合した場合の影響について48時間の連続曝露実験を行い, 次の結果を得た。
    NO曝露により, カタラーゼ, ペルオキシダーゼの両活性は増加した。クロロフィル含量, 地衣葉状体の可視的症状には変化が見られなかった。
    ペルオキシダーゼ活性変化から見た複合影響は, NO2+NO曝露でNO2の単一曝露による活性低下に対してNOが相殺的に作用した。
    SO2+NO曝露でSO2の単一曝露での活性増加がNOの共存により, より増大した。
    SO2+NO2+NO曝露ではSO2+NO2曝露で見られた相殺作用をNOが助長する傾向を示した。
    クロロフィル含量とカタラーゼ活性変化からみた複合影響は, NO2, NO, SO2個々のガス曝露効果の相加的影響であった。また, 地衣葉状体に複合影響としての可視的変化は認められなかった。
  • 大気汚染物質曝露実験への利用を目的として
    内山 巌雄, 横山 栄二
    1985 年 20 巻 1 号 p. 46-53
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    大気汚染物質曝露の循環機能に対する影響を検討する目的で, 無麻酔, 非拘束下で経時的にラットの心電図, 血圧を測定する方法を考案し, この方法を用いてラットの週齢, 性, 麻酔等による心拍数, 血圧の相違を検討した。またオゾン (03) 1pp斑, 3時間曝露の予備実験を行った。心電図電極, 血圧測定用カテーテルの装着は麻酔下にて行った。心電図電極は胸部双極誘導とし, カテーテルはポリエチレンチューブPE10, PE50を用いて左大腿動脈から挿入し, 共に皮下を通して背部へ導出し麻酔より覚醒せしめた。術後24時間経過後, 電極, カテーテルを測定機器に接続し, 安静30分間放置後測定を開始した。ラットはケージ内で自由に動く事が可能であった。
    週齢差では, 心拍数は4週齢が最も高く, 86±2/10秒であったが, 週齢が進むにつれ心拍数は減少し, 10週齢では71±4/10秒であった。血圧は125~135mmHgとあまり変化はなかった。10週齢の雌は同週齢の雄よりやや心拍数が多かった。高血圧自然発症ラット (SHR) では, 心拍数は各週齢とも正常血圧ラットより少なかったが, やはり週齢が進むと共に減少した。手術後3日間の心拍数, 血圧の再現性は良好であった。曝露チャソバー内での室内ろ過空気3時間曝露では, 各週齢とも心拍数, 血圧は安定しており, 曝露実験に適した方法と思われた。031ppm, 3時間曝露を行うと, 心拍数, 血圧とも30分後から減少し, 3時間後にはそれぞれ曝露開始時の50%, 80%となった。またpentobarbitalsodium麻酔下で同様実験を行うと, 麻酔により心拍数, 血圧が減少し, 大気汚染物質の真の影響が反映されない事が確認された。
  • 石橋 弘次, 藤本 克宏, 古賀 修, 鈴木 伸
    1985 年 20 巻 1 号 p. 54-58
    発行日: 1985/02/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    加熱されたホウケイ酸ガラス (パイレックス) を通過することによって一酸化窒素が酸化すること, この時飽和炭化水素 (C7-C16) を主成分とする灯油が存在すると更に酸化が促進されることが見いだされた。酸化効率は, 温度とともに上昇するが, 400℃ 付近で最大酸化率に達する。一方, 酸素圧に対しては酸化率は単調に増大する。これらの現象は, 石英管, 軟質ガラス管を反応管として使用しても生じ,
    反応の活性序列は次の通りである。パイレックスガラス>軟質ガラス>石英ガラス
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