各種ばい煙発生施設において, 排ガス温度がJIS Z8808の方法によるばいじん測定値に及ぼす影響について検討した。
排ガス温度のちがいを考慮して, 1形+2形 (ただし2形は加熱せず空気冷却) の捕集部を用い, 煙道内ではガス状で存在していても大気中に排出された直後に冷却されて粒子化するものもすべて捕集する実験を行った。その結果, 1形の捕集率一通常は, 1形と2形の捕集部とも同一条件下において1形の捕集率を算出するが, ここでは, 本来一次粒子である大気中に排出直後に冷却されて粒子化するものを含め, すべてのばいじんに対する1形の捕集ばいじん量の比を1形の捕集率と考えた。すなわち, 1形/(1形+2形) とした。一の調査より, ボイラーとガラス溶融炉で, 各々排ガス温度と捕集率に密接な関係があった。しかし, 回帰直線の傾きは両施設で異なっており, ばいじんの組成に起因しているためと思われた。そこで, ボイラーとガラス溶融炉について重点調査を行ったところ, 捕集ばいじんの組成は, ボイラーの1形では総炭素70%, SO
42-10%, 金属類15%, 2形ではSO
42-50%, 総炭素10%, 水分40%, ガラス溶融炉の1形ではSO
43-60%, Na30%, 2形ではSO
42-70%, 金属類10%, 水分20%から主に成っていた。
次に, 煙道排ガスが大気中に排出されて希釈。冷却され直ちに粒子化していく状態に近い雰囲気を強制的に作り, ぼいじんとミストを捕集する空気希釈法と水冷却法及び簡易法である (1形+2形) 法とを比較すると, 後者でもほぼ同等の値が得られた。
これらの結果より, 排ガス温度によっては1形による捕集では完全に捕集し切れないばいじんが存在することになり,(1形+2形) 法等の捕集部の改善が必要である。
また, 浮遊粒子状物質対策からも, 発生源でのばいじんとミストの分別捕集は重要な課題である。
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