二酸化窒素存在下でのアスファルトの光化学反応生成物の変異原性について
S. typhimurium TA98株, TA100株, ニトロレダクターゼ欠損菌株であるTA98NR株および1, 8-ジニトロピレン耐性菌株であるTA98/1, 8-DNP
6株 (以下TA98株, TA100株, TA98NR株TA98/1, 8-DNP
6株と略する) を用い検討を行った。
アスファルトのベンゼン溶液をフィルタ一に塗布し, ベンゼンを充分揮散させた後, 高圧水銀ランプによる光照射下, 空気気流中で10ppmの二酸化窒素に0.5~4時間曝露させた。
二酸化窒素非存在下で光化学反応を行った場合には, 菌株, S-9mixの有無にかかわらず変異原性は認められなかった。しかし, 二酸化窒素存在下で反応を行ったところ, TA98株に対し比較的強い変異原性が認められ, 特にS-9mix無添加の系で強い活性が認められた (復帰変異コロニー数: 705/100 μg)。また, この変異原性はTA98NR株およびTA98/1, 8-DNP
6株を用いた場合には著しく減少した。このことから, この変異原性はニトロアレーン類によることが推測された。また, 光化学反応生成物の総変異活性はアスファルトの塗布量にかかわらずほぼ一定であったことから, 変異原性物質の生成はアスファルト塗布表面で起こっているものと推測された。
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