大気汚染学会誌
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22 巻, 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 金 栄吉
    1987 年 22 巻 5 号 p. 311-322
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    本稿ではメタノール燃料の利用技術, オットタイプサイクルメタノールエンジン, ディーゼルサイクルタイプメタノールエンジンの内外における研究開発動向を概観し, 開発課題, 現状において残された技術課題および各々の利用技術の将来への展望について述べた.
  • 立石 ヒロ子, 西河 昌昭
    1987 年 22 巻 5 号 p. 323-333
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    雲仙野岳, 三井楽で, 1981年4~9月に実施したオキシダントの特別観測のデータおよび24測定局の1981~1984年の4年間のデータを用いて, 長崎県におけるオキシダントを総合的に解析した。
    雲仙野岳で観測されるオキシダントは, 4~9月は人為汚染起源のオゾンを含まないバックグランドオゾンを表す。
    測定局のオキシダント濃度は, バックグランドオゾン濃度以外に, 多くの要因によって決定される。その中でも, オキシダント濃度とオゾンが地表で受ける各種の破壊作用との関係が明らかになった。その1つは一酸化窒素との反応によるものであり, 他は地表面での沈着による破壊作用である。後者は, 接地逆転層の存在と関連した。また, 6~9月のオキシダント濃度は, 上記の要因の他に, 人為汚染起源の二酸化窒素から生成されたオゾン濃度と関係があった。測定局のオキシダントは, これらの要因の相互作用の結果, 測定局毎にさまざまな濃度変化を示す。
    県下24測定局を, オキシダントを対象としてNOx年平均値およびOxの日変化パターンを基準にして, 5種類に分類した。
    バックグランドオゾン濃度変化と地上の気圧配置の変化との関係から, オキシダント濃度変化を基準にして天気図を分類し, 10種類のオキシダント天気図モデルを作成した。
  • 田辺 潔, 郭 錦堂, 今宮 俊一郎, 松下 秀鶴
    1987 年 22 巻 5 号 p. 334-339
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    個人サンプラーで採取された極微量の空気浮遊粒子中に含まれる多環芳香族炭化水素 (PAH) を, 高感度かつ簡便に分析する方法として, カラム濃縮・高速液体クロマトグラフィー・分光螢光法について検討を行った。その結果, 0.5mlの試料液を濃縮カラムで濃縮し, 分離能を犠牲にすることなく, PAHを高感度分離分析する手法を開発した。この方法を用いると, 抽出, 前処理でのロスを含めても, 採取した試料中に含まれるPAHの1/6を分析に供することが出来, 実用上の検出下限が大幅に改善された。すなわち, ベンゾ [a] ピレンでは18pg, ベンゾ [k] フルオランテンでは42pg, ベンゾ [ghi] ペリレンでは60pgが試料として捕集されれば検出が可能であった。本分析法の実用性を調べるために, 個人サンプラーを用いて毎分200mlで24時間空気を吸引し, 浮遊粒子を捕集して大気および室内空気中のPAH濃度を測定した結果, その有効性が確認された。
  • 中川 吉弘, 小林 禧樹
    1987 年 22 巻 5 号 p. 340-346
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    ウメノキゴケ (Parmelia timtorum) に含有される地衣成分 (アトラノリン, レカノール酸) の含有量変化が, 複合大気汚染指標として有用であることを明らかにするため, 製鉄所周辺地域において調査を行った。
    調査ではウメノキゴケ中の地衣成分量ならびに金属成分濃度と大気汚染との関わりについて検討した。降下ばいじん量ならびに雨水中全水溶性物質量は製鉄所からの距離とともにベキ関数的に減少した。また, ウメノキゴケ中の地衣成分量は製鉄所からの距離とともに増加し, 逆に重金属含有量は減少した。地衣成分なかでもレカノール酸含有量は, 大気中硫黄酸化物濃度と逆比例の関係を示し, また雨水中のPb2+, Zn2+, Mn2+, Fe3+のような重金属イオンとの間に強い相関を有した。
    これらの結果から, レカノール酸の含有量変化は種々の汚染物質による複合的, 総合的汚染の反映にもとつくものであり, 複合大気汚染指標として有用であることが示唆された。
  • 野上 祐作, 井木 張二, 平田 まき子, 藤原 福一, 石井 猛
    1987 年 22 巻 5 号 p. 347-354
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    岡山市を中心に採取したギンゴケ (Bryum argenteum Hedw.) の生体構成元素を放射化分析法により測定し, 大気汚染との関係について検討した。その結果, 相対的に大気汚染の高いと考えられる地点で採取されたものからは, 人為的大気汚染との関連の強い元素が相対的に高く検出された。金アマルガム冷原子吸光法による水銀測定結果もまた, 同様の傾向を示した。これらのことから都市部においてサンプリングの容易なギソゴケ中の水銀等の含有量を測定することによって, それらが大気汚染の指標となり得ることが示唆された。
  • 粒子の初期移動機構
    渕元 克己, 池田 有光, 村上 祐也, 平岡 正勝
    1987 年 22 巻 5 号 p. 355-363
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    壁面からの粒子状物質の飛散をラグランジュ的な方法でシミュレートするため, 飛散現象の詳細な研究を行った。飛散のきっかけとなるのは壁面付近の流体の流れによるので, 乱流を表現するモデルを作成した。それには壁面付近で存在する周期的な乱れとして既に確認されているbursting現象の中川らによる更新モデルを基本にした。それにより局所的上昇流 (ejection) がよく表現できることが示された。粒子の移動開始機構は滑動, 転動, リフトアップの形式に分類されるが, これらの三つの形式ごとに数式モデル化した。そして粒子が動き始めるいわゆる限界摩擦速度を求めた。滑動形式では従来説明できなかった小さな粒子で限界摩擦速度が増加するという実験事実がよく表現できた。また転動形式では表面粗度の効果をモデルにうまく組み込むことができた。リフトァップ形式ではリフトアップ能を提唱して, その結果小さな粒子ほど滑動による移動よりも浮遊しやすいことが定量的に示された。
  • 松本 光弘, 西川 雅高, 溝口 次夫
    1987 年 22 巻 5 号 p. 364-375
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    1985年6月より翌年5月までの1年間, 奈良市と大台ヶ原で降下ばいじんを採取し, 誘導結合プラズマ発光分析法 (ICP-AES) でi5種の金属元素 (Na, Mg, AI, P, K, Ca, Ti, V, Mn, Fe, Cu, Zn, Sr, Cd, Pb) を計測し, その降下量を求め, ケミカル・マス・バランス法 (CMB法) および主成分分析法 (PCA) を適用した。
    降下ばいじんの主な金属元素はCa, Na, Al, Fe, K, Mgの6種であり, 都市地域から清浄地域へ行くほど金属元素の降下量も減少した。
    降下ぽいじんの金属元素の存在形態は, Al, Ti, Feが主として粒子態, Na, Ca, Srが主として溶存態として存在していた。
    CMB法により, 降下ぽいじんの金属元素の発生源として土壌起源, 海塩起源および人為的発生起源からの寄与率を推定した。
    PCAにより, 降下ぽいじんの金属元素の降下量は3個の主成分 (Z1, Z2, Z3) に指標化することができ, Ziは金属元素の総合的降下量を示す因子, Z2は人為的発生と自然的発生の発生源寄与を示す因子, Z3は自然的発生の汚染質のうち, 土壌起源と非土壌起源を示す因子であると考えられた。これらの3個の主成分 (Z1, Z2, Z3) を用いることにより, 金属元素の降下量の季節別および地点別の総合的降下量と発生源寄与および金属元素の分類を評価することができた。
  • 昭和59年度-昭和61年度調査降灰量とSO42-他2, 3の降下成分について
    竹下 寿雄, 前田 滋, 大木 章
    1987 年 22 巻 5 号 p. 376-388
    発行日: 1987/10/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    桜島に7ヶ所, 鹿児島市に14ヶ所, 合計21ヶ所の測定地点において, 1984年4月から1987年3月まで毎月末に降灰降水共存試料を採取し, これをろ過し, ろ液について降水量, SO42-・Cr濃度を定量し, ろ液の蒸発残さ分から水溶性成分を求めた。ろ過残さと水溶性成分の和を降灰量とした。また, No.16桜島中学校とNo.17国民宿舎桜島荘を除く19測定地点において, PbO2キャンドルに吸着した硫黄酸化物の定量も同時に行った。
    その結果, 鹿児島市および桜島の3ヶ年度平均降灰量は, それぞれ316, 3, 370ton/km2・monthであり, 前報の3ヶ年度平均値112, 2,040ton/km2・monthより大きく増加していた。特に, 1985年夏期は桜島大活動の時期であり, 1985年9月に黒神中学校で77, 200ton/km2・monthもの大量降灰に見舞iわれたが, これは過去9年間の最高値であった。
    硫黄酸化物についてみると, 桜島でかなりの汚染状況を示し, 1986年2月に有村配水池で3.10mg/100cm2・dayと3ヶ年度間の最高値を示した。
    降水のpHはすべての観測地点で酸性化しており, 最も酸性が強かったのは1986年11月の高免小学校および桜島病院であり, pH2.6を記録した。
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