大気汚染学会誌
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23 巻, 4 号
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  • 石黒 智彦
    1988 年 23 巻 4 号 p. 171-182
    発行日: 1988/08/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    臭気物質のガスクロマトグラフ, ガスクロマトグラフ/質量分折計を中心とした分折方法および連続測定法・簡易測定法について概説した。また, 臭気生源別に測定事例について紹介した。なお, 本総説は1984年4月から1988年6月までに日本科学技術情報セソターの環境公害部門にリストされた報文, 報告書および各研究機関の年報から臭気測定に関する現状をとりまとめたものである〇
  • 占部 武生, 呉 彦, 小野 雅司, 増田 閃一
    1988 年 23 巻 4 号 p. 183-190
    発行日: 1988/08/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    パルスコロナ放電を利用して, 清掃工場の排ガス中のHg蒸気 (Hg°) の除去に関する実験を行った。排ガスにHg° を添加して, 0.5mg/Nm3のHg°濃度の実験用ガスを作製し, 100nsの非常に立上がり時間の早いパルス電圧を, 同心円筒型のコロナ放電セル (内径: 100.0mm, 放電極: 4mm×4mmワイヤー, 有効長さ: 370mm) に印加した。Hg° は強力なコロナ放電によって生成したO, Cl等の活性種により, 酸化されたと考えられる。酸化されたHgは, 蒸留水を入れた洗気びんで除去された。例えば, ガス温度300℃, コロナ電力3W, ガスの滞留時間7.5s, マイナス極性のとき, Hg°はほとんど100%除去された. Hg°減少率はパルス電圧の増加とともに増加し, 150℃ から350℃ の範囲でガス温度の増加とともに減少した。
  • 占部 武生, 呉 彦, 小野 雅司, 増田 閃一
    1988 年 23 巻 4 号 p. 191-198
    発行日: 1988/08/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    立上がり時間が100nsのパルスコロナ放電を利用して, NO, SO2の酸化に関する基礎実験を行った。NOおよびSO2を添加した清掃工場の排ガスを, 同心円筒型のコロナ放電セルに通した。パルス電圧およびガスの滞留時間が一定のとき, 減少率 (η) はη=1-exp (-kf) で表わされた。ここでfはパルス周波数で50~250Hz, 々は定数である。したがってNO減少率 (ηn), SO2減少率 (ηs) は, fを増大させることにより増加した。同じηNを得るのに必要なパルスコロナ電力は, 直流コロナ放電の10~20%で済んだ。CO濃度が増大するとηNは増加したが, ηsはHg蒸気減少率と同様減少した。化学分析により, NOの減少はほとんどが酸化によるもので, NOxとしてはほとんど減少しないことがわかった。これらの反応は, 排ガス中のO2, H2O, CO濃度等の影響を強く受けた。従って, 強力なコロナ放電により生成したO, OH, HO2等の活性種が, これらの反応に強く関与しているものと考えられる。
  • 井手 靖雄, 岡本 汎貴, 岡林 一木
    1988 年 23 巻 4 号 p. 199-208
    発行日: 1988/08/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    複雑地形での連続点源からのガス拡散濃度予測には, 拡散風洞実験が極めて有用であることが知られているが実験に際し, 拡散相似則として, 濃度平均時間に対応した風向変動幅σAの風洞内再現が必要である。このため, 風洞測定室内のターソテーブルを用いた新しい再現法 (重合法) をここでは開発し, 通常用いられている乱流促進法, 加振法では, 再現が無理とされていた大きい風向変動幅を再現できることを示す。
  • 伊豆田 猛, 船田 周, 大橋 毅, 三宅 博, 戸塚 績
    1988 年 23 巻 4 号 p. 209-217
    発行日: 1988/08/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    ハツカダイコンを20/13℃, 25/18℃, 30/23℃ (日中/夜間) の3種類の温度条件下で生育させ, 乾物生長に対するオゾン (O3) の影響を調べた。自然光型ファイトトロン内で各温度条件区において, ポット植えの個体に播種後11日目から17日目までの7日間毎日0.1ppm (v/v) のO3を1日当たり4時間 (10: 00~14: 00) 暴露した。O3暴露後 (播種後18日目), 葉面積と各植物器官の乾重量を測定し, その結果より生長解析を行った。25/18℃ 区および30/23℃ 区の個体当たりの乾物生長は7日間のO3暴露によって20%減少した。生長解析の結果より, 乾物生長の低下は純同化率の低下が原因であると考えられた。これに対して, 20/13℃ 区では個体当たりの乾物生長は7日間の03暴露によって影響を受けなかった。
    純光合成速度に対する0.1ppm O3の影響を調べた結果, 4時間のO3暴露によって25/18℃ 区および30/23℃ 区の純光合成速度はO3暴露前に比べてそれぞれ10.8%および13.5%減少した。しかし, 20/13℃ 区の純光合成速度はO3による影響をほとんど受けなかった。4時間の03暴露中の平均純光合成阻害率と単位O3吸収量当たりの平均純光合成阻害率は30/23℃ 区≧25/18℃ 区>20/13℃ 区の順であった。
    これらの結果より, 20/13℃ 区に比べて25/18℃ 区および30/23℃ 区のような高温条件においてO3による乾物生長の阻害が大きくなるのは, 高温条件下においてO3による純光合成の阻害が大きくなることが原因であると考えられた。
  • 笠原 三紀夫, 崔 琴纂, 高橋 幹二
    1988 年 23 巻 4 号 p. 218-232
    発行日: 1988/08/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    粒子状物質汚染の発生源別寄与率推定手法としてのリセブターモデルでは, 測定データに内在する誤塗や, 発生源における排出変動などにより, 解析結果に誤差を伴う. したがって, リセブターモデルによる推定結果の実用性を高めるためには, その信用性について評価することが必要となる.
    本報では, リセプターモデルの中でも, 最も広く利用されているChemical Mass Balance (CMB) 法こ着目し, 発生源プロファイル変動, 並びに発生源やリセプターでの粒子測定データに含まれる測定誤垂が, 粒子状物質の汚染寄与率推定に及ぼす影響, すなわち解析結果の信頼性について, シミュレーション法により検討した.
    固有性の高い指標元素を持たない発生源種の寄与率は, 発生源プロファイル濃度と寄与率との関係が明らかでなく, 他の発生源種にも大きく依存し, 信頼性-は著しく乏しい. 一方, 石油燃焼発生源のように, 固有性の高い指標元素を持つ発生源種の場合, 寄与率は用いた指標元素濃度と反比例関係を有する.
    1サンプルについての寄与率解析において, 推定説差の許容範囲を±25%とした場合, 粒子濃度の測定に際し許容されうる測定誤差, および排出変動指数の最大値は概ね, 各15%, 1.3程度と考えられる. 一方, 複数サンプルに対する平均的な寄与率を求める場合, 測定誤差については, 誤差がランダム誤差であれば精度上ほとんど問題になることはない.
  • 粒子濃度, 硫酸塩濃度の粒径別分布特性
    瀬戸 信也, 重光 和之, 大原 真由美
    1988 年 23 巻 4 号 p. 233-240
    発行日: 1988/08/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    粒子濃度と硫酸塩濃度の粒径別分布特性を調べるため, 広島市において, アンダーセン・サンプラーによる測定を, 1年間連続して行つた. 1回の測定のサンプリング時間は概ね10日間とした. 濃度分布の候補とした分布モデルは, 正規分布, 対数正規分布, ガンマ分布および逆ガウス型分布である. これらの分布の母数を最尤法により推定し, 各分布の適合度を最大対数尤度法により評価した.
    浮遊粒子状物質 (SPM) 濃度にはガンマ分布が最適であるが, 微小粒子 (Dp≦1.1μm) 濃度と粗大粒子 (Dp≧2.1μm) 濃度とは適合する分布形が異なり, 前者には正規分布が, 後者には逆ガウス型分布が, それぞれ最適であつた. 一方, 硫酸塩濃度には, 微小粒子, 粗大粒子ともに逆ガウス型分布が最適であった.
    粒子濃度の, 10, 50, 90パーセンタイル値の粒度分布は, 微小粒子側が0.65μmに, 粗大粒子側が4.7μmまたは3.3μmに, それぞれピークを持っbimodalな分布であるのに対し, 硫酸塩濃度の各パーセンタイル値の粒度分布は0.65μmにのみピークを持つmonomodalな分布である. 以上の結果は, 微小粒子と粗大粒子とは由来が異なること, 硫酸塩の大半は二次粒子であることを示唆している.
  • 吉山 秀典, 市岡 耕二, 小暮 信之, 田森 行男
    1988 年 23 巻 4 号 p. 241-249
    発行日: 1988/08/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    煙道排ガス中のダストの質量濃度を連続的に測定するためのβ線吸収式濃度計を試作し, フラィアッシュを試験用ダストとしてダクト中に分散させて, その特性を実験した.
    この濃度計の特徴は, マイクロコンピュータ内蔵の等速吸引装置, サンプリソグ管内にダストが沈着しないように高温のシースエアを圧送する装置, 排ガス成分によるフィルタ質量への影響を補償する機構, およびダスト質量検出のために1.85×106Bq (50μCi) の2対のβ線源などを備えていることである.
    テープ状フィルター上の捕集ダストの質量を化学天秤と比較した結果, 両者は非常によく一致した. シースエアの注入による管内ダスト沈着防止効果については, シースエアの温度を25℃ から110℃ まで上げることにより, 管内のダスト付着率が15%から5%まで減少できた. また, 注入流量を7l/minから12l/minと増加させると10%から2%まで減少できた. SO2ガスによるガス吸着補償については, その影響を検出することはできなかつた. JIS法によるダストの質量濃度の比較については, 約100mg/m3N以下において両者は非常によく一致した.
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