大気中の窒素酸化物 (NO
x) 汚染のバイオモニタリングを行う目的で, 植物が吸収・蓄積した二酸化窒素 (NO
2) 量の推定に,
15N希釈法の適用を検討した. 予備的実験として, 発芽段階から
15N標識の窒素を含む水耕液で栽培した植物に, 0.1ppmおよび0.2ppmNO
2を3週間暴露し, 植物体の
15N濃度の希釈率, 個体当りのNO
2吸収量, 単位葉面積当たりのNO
2吸収速度と暴露濃度の関係を調べた.
植物体の
15N濃度の希釈率は, 大気中のNO
2濃度に比例し, かつ生長量の影響を受けにくいことから, 大気NO
2汚染度の指標として最も適当と判断された.
15N希釈法により地点間のNO
x汚染度の差を検出するには, トマトやヒマワリなどの
15N濃度の希釈率の大きい植物種が有効であった. 今回用いた方法では, 地点間のNO
2濃度差が42-44ppb前後なければ検出が不可能であったが, 今後, 適切な植物種の選定や配置個体数の増加などの工夫により, さらに微妙なNO
x汚染度の検出が可能になると考えられた.
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