大気汚染学会誌
Online ISSN : 2186-3695
Print ISSN : 0386-7064
ISSN-L : 0386-7064
26 巻, 1 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 酸性雨調査・研究で得られた成果と今後の課題
    玉置 元則, 小山 功
    1991 年 26 巻 1 号 p. 1-22
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    日本での酸性雨問題の端緒は, 1973年から数年間, 関東地方などで起きた湿性大気汚染であり, これを契機に自治体を中心とした調査・研究体制が形成され, その10年後の1983年には環境庁の第1次酸性雨対策調査へと引き継がれてきた。この間, 日本各地で降水が採取され, そのpHならびに主成分濃度が測定されるとともに, 主な成分について沈着量も算出されるようになってきた。各地の降水pHの年平均値は4.6 (4.5~4.7) 程度であり, この値はこの10年間に大きな変化はない。降水の酸性度の低下をもたらしている降水の成分はSO42-とNO3-であるが, NO3-/SO42-当量比が大きいほどpHが低下するという傾向は明確には示されていない。都市部ではCa2+やNH4+の作用によりpHがやや高くなる地点がある。今後, モニタリング体制などについてさらに検討すべきではあるが, ようやく, 酸性雨による植物影響の課題と長年蓄積されてきた降水データとが結びつきつつある。
  • 嵐谷 奎一, 吉川 正博, 李 忠民, 児玉 泰
    1991 年 26 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    1980年11月~1989年3月にかけて北九州市八幡西区における大気浮遊粉塵および3種の多環芳香族炭化水素の濃度を測定し, 濃度レベル, 経年変動などについて検討した。大気浮遊粉塵中の多環芳香族炭化水素の測定は, 月半ばの3日間を選び, ハイボリュームエアサンプラーを用いて, グラスファイバーフィルター上に浮遊粉塵を採取し, 試料中の多環芳香族炭化水素をアセトニトリルを用いて超音波作用にて抽出した。抽出液に塩基性アルミナを加えClean-up後, 抽出液中の多環芳香族炭化水素は分光蛍光検出器付き高速液体クロマトグラフィーで分離, 定量を行った。
    大気浮遊紛塵濃度の年平均値は, 年ごとに若干の変動が見られる。また, 夏に低く, 春に高い値を示した。多環芳香族炭化水素濃度は1985年より顕著に減少傾向が認められた。特にベゾン [a] ビレンは1985年より1μg/m3以下となった。また, 夏に低く, 冬から春にかけて高い値を示した。ベンゾ [a] ピレンとベンゾ [ghi] ベリレンの濃度比は1ge4年まではほぼ1であったが, 1985年以降0.5程度と減少してきた。これは, 多環芳香族炭化水素濃度の1985年以降の減少傾向と考え合わせると, この地域の多環芳香族炭化水素存在に対する発生源からの寄与に変化が生じたことを示唆しているものと考えられる。
  • 藤田 慎一, 高橋 章
    1991 年 26 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    前報で議論した乾性沈着モデルを拡張し, わが国の気象条件や地理要因と照らして妥当性のある二酸化硫黄の沈着速度を評価するとともに, その季節変化について検討を加えた。陸域と沿岸海域を網羅するほぼわが国の全域を, 80×80kmの計114個の正方メッシュに分割し, 暖候季と寒候季の沈着速度の分布を別個に求めた。推計にあたっては, 積雪の継続時間を指標に選んで国土を五つの領域に分割し, 大気安定度, 沈着抵抗, 粗度および摩擦速度の季節変化などを考慮した。
    推定した沈着速度は, 地表面の状態に大きく依存するが, わが国の陸域では, 暖候季: 0.5cm/s, 寒候季 (非積雪季): 0.4cm/s, 積雪季: 0.2cm/sが平均的な値とみられる。沈着速度の季節変化のパタンは, 地域によって大きく異なる。太平洋沿岸では, 年間を通して沈着速度はあまり変化しないが, オホーツク沿岸の沈着速度は, 海氷の襲来期に暖候季の約1/3まで低下する。海域と陸域の沈着速度を比較すると, 大雑把には陸域>海域 (暖候季), 陸域=海域 (寒候季), 陸域く海域 (積雪季) の関係が成立する。市街地の沈着抵抗については不明の点が多いが, 大都市圏を除くと, 沈着速度の季節変化を支配するのは面積的に大きな割合を占める森林の影響である。強い季節風が卓越する12月~3月の日本海沿岸と太平洋沿岸を比較すると, 沈着速度には2倍程度の差異が認められる。このため当該期間の硫黄化合物の沈着機構には, 中央の山脈を挟んで, 湿性沈着と乾性沈着の相対的な重要度に差異を生じている可能性がある。
  • 松本 光弘
    1991 年 26 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    雨水中の陰イオン分析に, セルを含む流路系を高性能な恒温槽で精度良く温調するノンサプレッサー型イオンクロマトグラフィーを用いて検討した結果, 移動相として2.5mMフタル酸-2.4mMトリス (ヒドロキシメチル) アミノメタン混合溶液を用い, 流速1.5ml/min, カラム温度40℃で行えば, 6分以内で雨水の主要な3種の陰イオン (SO42-, NO3-, Cl-) の同時測定が可能である. しかも, 雨水試料を移動相と同じ組成濃度になるように調製し, かつ, ピーク面積で測定すれば, 再現性も非常に良好であり, また, 検出限界においても優れていた。
  • 才木 義夫, 中沢 誠
    1991 年 26 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    地球温暖化の要因物質であるCO2について, 既報のガソリン自動車に続いて, ディーゼル自動車とLPG自動車の排出係数と排出量を求め, さらにそれらにガソリン自動車の結果を加えて, 我が国における自動車からのCO2の排出総量を推定した。
    ディーゼル自動車, LPG自動車のCO2排出係数は, 理論計算ではそれぞれ 2.61 (kg/l), 3.09 (kg/kg) であるが, 走行時にはCO, HC, 粒子状物質等の生成によりその値は変化し, ディーゼル自動車について2.34 (kg/l), LPG自動車について0.01 (kg/kg) という結果が得られた。これらの排出係数に自動車用軽油およびLPGの販売量の統計データを乗じ, ディーゼル自動車, LPG自動車からのCO2排出量を求め, これらのガソリン自動車からのCO2排出量を加え, 我が国における自動車からCO2の排出総量を推定した。1987年度の自動車からのCO2の排出総量は144,077×103トンであり, その内訳はガソリン自動車88, 554×103トン (61.5%), ディーゼル自動車50,996×103トン (35.4%), LPG自動車4, 527×103トン (3.1%) であった。経年的には, ほぼ毎年増加しており, 最近の1979年度~1987年度の9年間では前年度比で平均約2.3%の増加を示し, 特にディーゼル自動車の寄与が大きいことが認められた。
  • 1986年5月から1989年3月までのデータ
    橋本 芳一, 金 煕江, 大歳 恒彦, 関根 嘉香
    1991 年 26 巻 1 号 p. 51-58
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    大韓民国ソウル市において国設大気測定網 (NASN) と同様のモニタリング手法を用いて, 大気エアロゾル成分の定期的観測を行った. ハイボリューム・サンプラー (Hi-Vol) による試料の捕集は1986年5月より開始し, 総浮遊ふんじん量, 炭素成分, 陰イオンおよび金属元素について測定を行った。またローボリユーム・サンプラー (Lo-Vol) による捕集は1987年4月より開始し, 放射化分析を用いた多元素成分の測定を行った. 本報では資料としてHi-VolおよびLo-Volによる観測結果を観測開始から1988年3月まで示し, Hi-Volデータに関して若干の考察を行った。浮遊ふんじんに占める炭素系成分の割合は約26%となり, ディーゼル自動車等の人為的発生源からの寄与が大きい元素状炭素は約15%を占めた. 浮遊ふんじん中のPb濃度は0.20~0.78μg/m3で東京で観測された値の約5倍程度であった。これは有鉛ガソリンを使用した自動車の影響と考えられる。総浮遊ふんじん濃度も日本の各都市に比較して高く, 3年間の観測でほぼ横這いの状態であった。
  • 第1講「酸性雨」とpH
    原 宏
    1991 年 26 巻 1 号 p. A1-A8
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 功刀 正行, 遠山 千春, A.Scott Voothees
    1991 年 26 巻 1 号 p. A9-A20
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    我々は, 主として米国EPAが作製, 管理しているデータベースおよび支援システムについての情報を入手するとともに, そのいくつかを利用している。その内, 特に大気汚染と関わりの深いものについて, 米国EPAの協力を得て3回のシリーズとして紹介する。本稿では大気汚染観測データ, 発生源等に関するデータベース3件について報告する。
  • 清原 正高
    1991 年 26 巻 1 号 p. A21-A23
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 円尾 恵一
    1991 年 26 巻 1 号 p. A23-A26
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 地球温暖化問題を中心として
    浜中 裕徳
    1991 年 26 巻 1 号 p. A26-A32
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
feedback
Top