大気中農薬の捕集剤として, フロリジルおよびシリカゲルについて, 137種の農薬を対象として検討した。捕集効果の判定は, 保持率 (Retention efficiency) と捕集率 (Sampling efficiency) で行った。フロリジルとシリカゲルとの性能に差は無く, 大気中農薬の捕集剤として両者とも有効であった。保持率と捕集率の比較では, フロリジルの場合ほぼ同等であったが, シリカゲルでは保接率が高値になるものがあった。
検討した農薬のうち, キャプタホル, DNBP, ピバールは, 捕集剤からアセトン抽出による回収率が50%以下であった、CDEC, DBCP, ジスルポトン, エチオフェンカルブ, ホルモチオン, メチルトリチオン, ホレート, プロパホス, トリチオンは定量的に捕集されなかった。BRP, クロロネブ, シオドリン, CMDP, CNA, DCPA, α-, β-, γ-, δ-HCH, ヘプタクロル, レナシル, MCC, MEP, MPP, PCNB, TPN, ホスファミドン, トリフルミゾールは, 採気時の温度が高く, 採気時間 (採気量) が長い場合には捕集率の低下が顕著であった。しかし, これらのものは, 採気時間を短くすれば充分捕集が可能であろう。他の105種については2~19m3程度の採気まで容易に捕集出来た。
本法は以下の利点を有しており, 大気中農薬の捕集法として有用である。
1) 捕集剤の入手が容易であり, 安価である。
2) 捕集剤の洗浄が容易である。
3) 特別な器具や装置を要せず, また特異な技術も要しない。
4) 充分な採気量が得られる。
5) 捕集剤からの農薬の回収が容易である。
6) 一部酸化分解を伴う農薬を除いて, 充分な捕集効果が得られる。
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