大気汚染学会誌
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27 巻, 1 号
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  • 藤巻 秀和
    1992 年 27 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1992/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    大気汚染地域において喘息様症状の有症率の増加がみられたことや, 最近のスギ花粉症をはじめとするアレルギー性疾患の増加に関連して, 大気汚染がその一つの誘因ではないかということが疫学研究などで示唆されている。しかしながら, その関連性についての確証はつかめていない。
    そこで, 依然として大気環境中での濃度が横ばい状態のままである粒子状物質について, アレルギー反応への影響を調べた動物実験での報告を概括し, これまでの疫学的知見と照らし, アレルギー反応の成立に及ぼす粒子状物質の作用について考察した。また, 動物実験の問題点をのべ, これからの研究のアプローチの仕方について討論した。
  • 岡本 眞一, 塩沢 清茂
    1992 年 27 巻 1 号 p. 12-22
    発行日: 1992/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    液化ガス燃料や有害化学物質の漏洩事故により生じる高密度ガスの拡散挙動はよく知られている一般の大気汚染物質の拡散とはまったく異なっている。このため, アメリカおよびヨーロッパ諸国では, このような高密度ガスの挙動を理解するために, 多くの拡散実験が実施された。そして, これらの関連施設のリスク評価のための予測モデルも多数提案されている。ここでは, これらの高密度ガスの拡散について論評を加えた。
  • 棚田 成紀, 篠田 賛治, 中村 武夫
    1992 年 27 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 1992/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    低沸点有機塩素系化合物の一つである1, 1, 1-トリクロロエタン (MC) の繊維状活性炭 (ACF) への気相吸着実験を行った。ACFのMC吸着量はグレードナンパーの順に高かった。また, 吸着量は温度が低いときほど高く, MCのAGFへの吸着が物理吸着であることが考察された。また吸着等温線にDubinin-Radushkevich (D-R) 式を適用することによりACFを2つのタイプに分類できた。両タイプの間にはMCの吸着部位に差異が認められ, この差異はACFの細孔分布の違いに起因すると考察された。
  • 樋口 一恵, 石川 隆俊, 児玉 顕一, 河端 美則, 岩井 和郎
    1992 年 27 巻 1 号 p. 30-44
    発行日: 1992/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    ディーゼル排出ガス暴露によるin vivoでの気管上皮細胞の不定期DNA合成 (Unscheduled DNA Synthesis. 以下UDSと略す) を検出するために, F-344系SPFラットを対象に, 短期 (1ヶ月), 中期 (3~6ヶ月), 長期 (12~24ヶ月) の暴露を行った。動物は排出ガスを無菌空気で10倍希釈して吸入させた全ガス群と, 全ガスから粒子を除去した除子粒群, 無菌清浄空気に暴露させた対照群の3群に分けた。12ヶ月暴露では3群について細気管支上皮のUDSを検討した。またin vitro暴露実験として, 各段階濃度のディーゼルエソジソ排出粒子を加えて培養を行った時の, 気管上皮のUDSについても検討を行った。更にラットとヒトの気道上皮UDSの比較も行った。
    気管上皮UDS陽性細胞の平均グレーン数は, 1ヶ月暴露では各群間に有意差は無く, 6ヵ月暴露で全ガス群が対照群の3倍近い値を示していた。12ヶ月, 24ヶ月暴露では対照のほぼ1.5倍で有意の増加ではあったが, 6ヶ月暴露よりは軽度であった。全細胞数に対するUDS陽性細胞の割合も全ガス群でのみ高率に見られ, 主に粒子の作用によるものと思われた。DNA合成期 (Standard DNA Synthesisstage. 以下S期若しくはSDSと略す) は各群間に差が無かった。細気管支上皮においても全ガス群にUDSの有意な上昇が見られた。
    In vitroで粒子暴露を行った時も, 粒子量の増加に伴い平均グレーン数とUDS陽性細胞の比率の増加をみた。ヒトとラットとの比較では, ヒトのS期細胞百分率はラットに比較して1/10と低く, 粒子抽出液によるUDS陽性率や平均グレーン数はラットのそれとほぼ同様の値を示した。以上ディーゼル粒子は, ラット気道上皮のみでなくヒトの気道上皮にも不定期DNA合成を誘導すると判断された。
  • 奥村 為男
    1992 年 27 巻 1 号 p. 45-57
    発行日: 1992/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    大気中農薬の捕集剤として, フロリジルおよびシリカゲルについて, 137種の農薬を対象として検討した。捕集効果の判定は, 保持率 (Retention efficiency) と捕集率 (Sampling efficiency) で行った。フロリジルとシリカゲルとの性能に差は無く, 大気中農薬の捕集剤として両者とも有効であった。保持率と捕集率の比較では, フロリジルの場合ほぼ同等であったが, シリカゲルでは保接率が高値になるものがあった。
    検討した農薬のうち, キャプタホル, DNBP, ピバールは, 捕集剤からアセトン抽出による回収率が50%以下であった、CDEC, DBCP, ジスルポトン, エチオフェンカルブ, ホルモチオン, メチルトリチオン, ホレート, プロパホス, トリチオンは定量的に捕集されなかった。BRP, クロロネブ, シオドリン, CMDP, CNA, DCPA, α-, β-, γ-, δ-HCH, ヘプタクロル, レナシル, MCC, MEP, MPP, PCNB, TPN, ホスファミドン, トリフルミゾールは, 採気時の温度が高く, 採気時間 (採気量) が長い場合には捕集率の低下が顕著であった。しかし, これらのものは, 採気時間を短くすれば充分捕集が可能であろう。他の105種については2~19m3程度の採気まで容易に捕集出来た。
    本法は以下の利点を有しており, 大気中農薬の捕集法として有用である。
    1) 捕集剤の入手が容易であり, 安価である。
    2) 捕集剤の洗浄が容易である。
    3) 特別な器具や装置を要せず, また特異な技術も要しない。
    4) 充分な採気量が得られる。
    5) 捕集剤からの農薬の回収が容易である。
    6) 一部酸化分解を伴う農薬を除いて, 充分な捕集効果が得られる。
  • 吹野 秀亀, 三村 修治, 坂井 和男, 山根 靖弘, 伊藤 道生
    1992 年 27 巻 1 号 p. 58-64
    発行日: 1992/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    NO2に暴露されたCD-1雌マウスの肺重量はNO2の濃度の増加につれて増加したが, その増加は亜鉛の前処理によって減少した。
    NO2に暴露された肺中のCa量は増加したが, その増加は亜鉛前処理により抑制された。
    40ppmと50ppmのNO2に暴露された, 生理食塩水で前処理されてあるマウスの肺中のZn量は, 有意な増加を示した。
    15ppmのNO2に暴露された肺におけるFe量は有意に増加した。そのFeの増加は亜鉛の前処理により有意に抑制された。
    35ppmのNO2を暴露後の肺におけるCu量は有意に増加し, その増加は亜鉛の前処理により, 抑制された。
    NO2暴露後の血清中のMg量は比較的コントロール値に近かったが, 一方Ca量は顕著に減少した。亜鉛の前処理は, 肺中のCa量の増加と血清中のCa量の低下を抑制した。
    亜鉛はNO2の暴露にょって生じた血清中のCaの肺への流入を抑制するものと思われる。
    肺の湿重量と同じように, 血清中のCa量と肺中のCa量との比が, NO2暴露により生じた肺水腫に対する亜鉛の影響の尺度として便用可能であると思われた。
  • 山下 俊郎, 安田 祐司, 原口 公子, 末田 新太郎, 域戸 浩三
    1992 年 27 巻 1 号 p. 65-72
    発行日: 1992/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    環境大気中の芳香族ニトロ化合物の簡便な分析方法を開発した。大気試料はTenax-TA管に捕集する。捕集した試料は加熱脱着して, GC/MSに導入する。その際, 分析カラムに接続したプレカラム部分を液体酸素で冷却し, 脱着した成分をコールドトラプッする。加熱脱着終了後、昇温してGC/MSSIM法で分析を行う。5種類の芳香族ニトロ化合物 (ニトロベンゼン, o-ニトロトルエン, o, m, p-クロロニトロベンゼン) について200pgの標準試料を捕集管に添加して, 回収実験を行ったところ, 回収率は90.0~104.9%であり, 変動係数は4.6~10.5%であった。また, GCを使用して破過容量を測定したところ20℃で1m3以上であった。保存安定性について検討した結果, 捕集管内で少なくとも24日間は安定であった。検出限度は捕集量30lとして0.7ng/m3であった。この方法を用いて北九州市内の環境大気を分析した。市内14ケ所で採取した試料について分析を行った結果, すべての試料から, ニトロベンゼンが検出された。また, ほとんどの試料から, p-クロロニトロベンゼンが検出された。特に, ニト即ベンゼンについては, 化学工場周辺, 国道沿い等で高濃度検出され, その最高濃度は230ng/m3であった。また, それ以外の地域の平均濃度は5±2ng/m3であった。
  • 岡本 眞一
    1992 年 27 巻 1 号 p. A1-A7
    発行日: 1992/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 常盤 寛
    1992 年 27 巻 1 号 p. A8-A15
    発行日: 1992/01/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
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