窒素酸化物の一つであるN
2Oについて, 固定発生源9施設における排出状況を調査した。その結果, ガス焚ボイラーにおいては, 空気過剰率が低く, 還元状態に近い状態の燃焼においても, N
2Oの発生はほとんどみられなかった。
ゴミ焼却炉においては, 数ppmから20ppm前後のN
2Oが排出されており, そこから排出されるN
2Oの量は, ごみ1トン当たり, 70g程度と推定される。全国における, ごみ焼却炉から排出されるN
2Oの量は, 年間2, 400トン程度と推定される。下水汚泥の焼却炉の排ガス中のN
2O濃度は, 数10ppmから100ppm前後であり, NOx濃度に比べても高い値であった。下水汚泥焼却炉から排出されるN
2Oの量は, 脱水汚泥1トン当たり, 400g程度と推定される。全国における汚泥焼却炉から排出されるN
2Oの量は, 年間1, 240トン程度と推定される。
また燃焼実験装置を用い, 各種燃焼条件を変えて生成するN
2Oについて検討した。その結果, ガス燃焼ではほとんど, N
2Oの発生はなかったが, 灯油燃焼では燃料中のN分に大きく依存した。
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