大気汚染学会誌
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29 巻, 3 号
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  • 朴 皖徹, 申 応培
    1994 年 29 巻 3 号 p. 105-112
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    多量の大気汚染物 (SO2, HF) が排出されている工業団地の周辺に栽培されている水稲の生育に与える大気汚染の影響を究明するため, 大気中の汚染物の濃度, 水稲葉の硫黄および弗素含量と葉被害率, 収量構成要素を調査, 検討した。
    1. 葉の硫黄含量と大気中の亜硫酸ガス濃度との間には高い相関が認められた。
    2. 葉被害率は大気汚染による収量減少の重要な指標として利用しうる可能性があると推測された。
    3. 本調査地域では亜硫酸ガスよりも弗化水素の排出量は少ないが, 葉被害の発生に対する弗素の関連性は亜硫酸ガスより高かった。
    4. 水稲の収量構成要素の収量に対する寄与の程度は株当穂数の減少が最も大きかった。また, 株当穂数は葉の弗素含量と深い関連性が認められた。
    5. 葉の硫黄含量と収量及び収量構成要素との間に相関は認められなかった。
    6. 以上の結果から, 本地域の水稲の収量減少は, SよりもFの影響の方が大きいと推察された。
  • 石井 康一郎, 吉野 昇, 岡本 眞一, 安楽岡 顕
    1994 年 29 巻 3 号 p. 113-122
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    中高層ビルの集中する東京都心での大気汚染物質の拡散メカニズムを解明することを目的として, 六フッ化硫黄 (SF6) を用いたエアートレーサーガス拡散実験を冬期の夜間に3回実施した。2回の有風および1回の弱風の条件下での測定結果を解析し, 次のことが明らかになった。
    (1) トレーサーガスの鉛直分布で最高濃度を示す高度は放出高度と異なり, 中層のビルの平均的な高度より少し上層に観測された。
    (2) トレーサー濃度の中心の移動方向は中層のビル平均高度より少し上層の高度50mの風に対して整合性が高く, また移動の速度はその風速の20~30%程度であった。
  • 島 正之, 仁田 善雄, 安達 元明
    1994 年 29 巻 3 号 p. 123-132
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    自動車排出ガスを中心とする幹線道路沿道部の大気汚染が学童の健康にいかなる影響を与えるかを知る調査の一環として, 千葉県下8小学校の学童の家庭を対象に, 暖房期および非暖房期の室内二酸化窒素 (NO2) 濃度を測定した。
    室内NO2濃度は家庭による変動が大きいが, 一般環境濃度, 暖房器具の種類, 家屋構造, 喫煙の影響を受けることが示された。暖房期は非暖房期に比して室内濃度が高く, 特に非排気型の暖房器具を使用している家庭で高かった。道路からの距離別にみると, 暖房期, 非暖房期ともに沿道部の家庭の室内濃度は非沿道部よりも高かったが, その差は有意ではなかった。
    各学校ごとの沿道部と非沿道部の家庭の室内NO2濃度の平均値と, 近接する一般環境測定局における濃度との関係を検討したところ, 非沿道部の家庭の室内濃度は, 非暖房期においては環境濃度と, 暖房期においては環境濃度および非排気型暖房器具の使用割合との関連が強く, これらより室内濃度の推定が可能であった。しかし, 沿道部の家庭では両期とも室内濃度と環境濃度の関連はみられなかった。沿道部の家庭における室内NO2濃度に影響を及ぼす要因についてはさらに検討する必要があると思われた。
  • 小田 淳子, 野村 茂, 市川 省吾, 森 忠繁
    1994 年 29 巻 3 号 p. 133-144
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    5材質7種類の捕集剤と6種類の抽出溶媒との組み合わせで, 農薬43物質についてGC/MSを用いて抽出, 捕集試験を行い, 大気中の農薬測定における捕集剤と抽出溶媒の有効な組み合わせについて検討した。捕集剤からの農薬の抽出効果の高い溶媒はDichloromethaneおよびAcetoneであった。活性炭素繊維ろ紙とORBO-49Pは平均捕集率および60%以上の捕集率を示した農薬の割合が高かった。主成分分析の結果, 農薬の抽出効果に影響を与える因子として溶媒の特性に関する成分が予測され, 捕集率に影響を与える因子として通気時間と捕集剤の吸着性や抽出率に関する成分が予測された。得られた結果から, 検討した大気中農薬の分析においては活性炭素繊維ろ紙とDichloro methaneおよびORBO-49PとAcetoneの組み合わせが有効であると判断された。
  • 大石 興弘, 浜村 研吾, 宇都宮 彬, 村野 健太郎, 坂東 博
    1994 年 29 巻 3 号 p. 145-150
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    近年, 温室効果を持つ大気中微量成分の濃度上昇による地球温暖化が懸念されている。メタンについても濃度上昇が認められており, この発生源として水田からの発生量が大きいことが指摘されている。そこで1990年6月から8月までチャンバー法を用いて水田におけるメタンフラックスを測定した。
    メタンフラックスは田植えの1週間後から高くなり始め, 6月下旬から7月中旬までの湛水期間に10~20mg CH4/m2/hrの高い値を示した。7月下旬に中干しが行われ, 8月以降, 間断灌水で湛水の日が少なくなると, メタンフラックスは1mg CH4/m2/hr以下となった。全測定期間中のメタンフラックスの平均値は3.3mg CH4/m2/hr (0.08g CH4/m2/d) で, 湛水期間中の平均値はZ4mg CH4/m2/hr (0.18g CH4/m2/d) であった。また水稲栽培期間中の総メタン発生量は約9g CH4/m2/periodと推定された。
    酸化還元電位はメタンフラックスに影響を与える要因の一つであるが, この値が-200mV以下の場合に高いメタンフラックスを示した。メタンフラックスの日内変化はほとんど見られなかった。
  • 非海塩起源硫酸イオンの数量化理論第I類を用いた統計学的解析
    大浦 宏照, 白幡 浩志
    1994 年 29 巻 3 号 p. 151-161
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    降雨・雪の主成分イオン濃度と気象要因との関係について考察する目的で, 多変量解析を実施した。1990年7月~1992年12月に西南北海道の室蘭および森野の2ヵ所で,「1降雨全量採取法」 により採取した湿性降下物試料に基づき, 大気汚染物質の中でも環境に対する影響が最も深刻である非海塩起源 (nss) SO42-と気象要因との関係について, 数量化理論第I類による解析を実施した。解析の結果, 各気象要因のnss SOSO42-濃度に対する寄与は, 季節, 風向, 流跡線, 降水量の順に大きくなることが明らかになった。また各流跡線毎の解析結果からに, nss SOSO42-の一部が中国南東部およびロシア東部の工業性排出物を起源とするものであると考えられた。さらに地表風向は湿性降下物の局地的汚染源の影響を示す指標として有効であることが示唆された。このように, 湿性降下物中のある特定のイオンと気象要因の関係について厳密に検討するには, 単一の要因に着目した手法に比べ多変量解析がより有効である。
  • 鵜野 伊津志, 光本 茂記
    1994 年 29 巻 3 号 p. A43-A54
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 陽 捷行
    1994 年 29 巻 3 号 p. A55-A64
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
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