自動車排出ガスを中心とする幹線道路沿道部の大気汚染が学童の健康にいかなる影響を与えるかを知る調査の一環として, 千葉県下8小学校の学童の家庭を対象に, 暖房期および非暖房期の室内二酸化窒素 (NO
2) 濃度を測定した。
室内NO
2濃度は家庭による変動が大きいが, 一般環境濃度, 暖房器具の種類, 家屋構造, 喫煙の影響を受けることが示された。暖房期は非暖房期に比して室内濃度が高く, 特に非排気型の暖房器具を使用している家庭で高かった。道路からの距離別にみると, 暖房期, 非暖房期ともに沿道部の家庭の室内濃度は非沿道部よりも高かったが, その差は有意ではなかった。
各学校ごとの沿道部と非沿道部の家庭の室内NO
2濃度の平均値と, 近接する一般環境測定局における濃度との関係を検討したところ, 非沿道部の家庭の室内濃度は, 非暖房期においては環境濃度と, 暖房期においては環境濃度および非排気型暖房器具の使用割合との関連が強く, これらより室内濃度の推定が可能であった。しかし, 沿道部の家庭では両期とも室内濃度と環境濃度の関連はみられなかった。沿道部の家庭における室内NO
2濃度に影響を及ぼす要因についてはさらに検討する必要があると思われた。
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