我が国では,医療行為に対する同意の規定がなされていないままに,同意能力がないと判断された者に対して,誰が本人に代わって行なうべきかについても明白となっていない現状がある。
石田(2014)は,「現実的に家族が行なっているものの,多くの問題を抱えているのが現状」と言っている。
特に,精神障がい者の場合には,精神保健福祉法により,家族及び成年後見に対して,入院に関しての手続き全般,代理同意権を委ねられている現状がある。
つまり,代理同意者は入院から退院まで,過剰な責務が課せられる現状は,代理者にとって,過度な心理的負担が予測される。
また,民法においても「精神障がい者や,成人年齢に達していない場合等の,制限行為能力を欠く者には,親権者や成年後見人の法定代理に代って判断する」と明記されている。
しかし,原則患者本人の同意が基本であるにもかかわらず,代理同意に関しては,今だ,議論がされておらず,本人が置き去りにされている現状がある。
この現状を鑑み,権利擁護のうえからも示唆を得ることは意味があり,本研究により代理同意者における心理動向の示唆が得られた。
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