太成学院大学紀要
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21 巻
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  • ―教育制度と使用教科書の比較・検討―
    井手 裕美
    2019 年 21 巻 p. 1-12
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/04
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    2017年3月31日告示の学習指導要領改訂に伴い,日本の公立小学校では2020年度より正式に,従来の「外国語活動」としての英語教育を小学校3年生より導入,かつ教科としての「外国語科」を小学校5,6年生対象に行うこととし,2018,2019年度をその移行期とした。  国々の往来の激しくなった現在,スイスの小学校英語教育も変化期にあり,従来,第2外国語の対象ではなかった英語は,その重要性が再認識され, 2017年より小学校3年から実施されている。この現状の下,本稿ではスイス,アッペンツェル・アウサーローデン(Appenzell Ausserrhoden)州の小学校英語教育を取り上げ,その教育の背景と使用教科書を分析し,新学習指導要領における日本の小学校教育の下,2018年度より新たに使用されている英語教科書の内容・構成と比較,スイスARの小学校と日本の小学校の英語教育を検討する。
  • ―国際学力調査から見た我が国の子どもの姿,教え合い学習の試行―
    伊藤 博
    2019 年 21 巻 p. 13-22
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/04
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    現在の日本の学校教育の基本は系統学習であり,本人の興味関心にかかわらず,積み上げ学習が中核となっている。特に小学校や中学校での算数・数学では一斉学習による指導で,本人の理解深度にかかわらず先に先にと進んでしまう傾向にあり,「算数・数学嫌い」を多発することになりかねない。 そこで,「上級生が下級生を教える」を核として2017年度から兵庫県内S中学校の協力を得,「全校一斉の数学の教え合い学習(Sトレ)」の基礎研究・試行実践を行った。この基本コンセプトは,エドガー・デール(Edgar Dale)の「経験の円錐」で,これは「他の者に教える」という行動により,その本人の知識が定着しやすいという理論である。この学習の推進で「教える側」と「教えられる側」の双方に学習効果が高まることを期待して,研究を進めている。さらに,デシの「内発的動機づけ」理論も参考にし,数学に対する「やる気」を惹起させたいとの考えからの学校の教員にもアドバイスを行った。
  • 金杉 高雄
    2019 年 21 巻 p. 23-34
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/04
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    「何のために英語を学ぶのか?」という問いかけに対して,「グローバル時代だから,英語ができるようになっておかないといけないのではないか」等の漠然とした返答をよく耳にする。グローバル化の時代,文部科学省は将来のグローバル人材育成のための基礎を築く戦略の一つとして,2020年より小学校3・4年から外国語活動を,5・6年からは外国語科としての授業を義務づけている。すなわち,小学校5・6年からは教科としての「英語」が必修となり,教科書が選定され,英語の成績が成績表に記載される。英語の成績に関しては,明確な目的意識を持っているかどうか,が成功する者と失敗する者とを分ける鍵になる。例えば,自分の人生の目標を達成するためには英語ができるようになることが絶対に必要だ,という環境に置かれれば,英語の習得は成功するであろう。自分の人生の目標を見つけるため等と称して,とりあえず,語学留学してみようという漠然とした動機では失敗に終わる。また,英語さえできればそれで良い,というわけでもない。異なる文化,生活習慣,価値観を持つ人々との多文化共生の中でお互いを認め合いながら,共に生活することができる異文化間能力が我々に求められている。
  • ―マイノリティの子どもたちとのかかわり合い―
    河合 篤史, 大久保 敏昭, 岸本 久美子, 柿 慶子
    2019 年 21 巻 p. 35-46
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/04
    研究報告書・技術報告書 認証あり
    本研究は,2018年の日本心理臨床学会第37回大会における自主シンポジウムを基に,臨床心理士の資格をもつ教師の活動の可能性を明らかにすることを目的とした。シリーズ4回目となる本年度は「マイノリティの子どもたちとのかかわり合い」をテーマに議論した。その結果,臨床心理士の資格をもつ教師として,①子どもとの精神的な結びつき,②安全な基地としての役割,③援助者としての内省力,という3点の重要性が示唆された。また,個人としての援助だけではなく「チームアプローチ」「学校という環境(保健室・定例会議等)をうまく活用」することで援助がより促進されることが明らかとなった。
  • 田中 俊明, 田中 眞里子
    2019 年 21 巻 p. 47-55
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/04
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    近年1985年「男女雇用均等法」の施行以来,男子看護師の数は,7万人を超え平成16年~平成26年までの10年で,2倍以上の増加である(厚生労働省白書,2014)。しかし,保助看法が改正後も,助産師は認められず,矛盾が残る中で,女性の患者さんに配慮することなどと,仕事の範囲が限定される。また,少数であるがゆえの悩みなどの特徴と,それを教員や職業場の対応を含め,どの様に取り扱っているのかを本研究で,示唆を得ることである。 このことを踏まえ,2000年から2017年の間で,医中誌・CiNii・などの主要な検索サイトによって抽出された看護学生についての先行研究29,626件の中で, 「男性ジェンダー」「職業アイデンティティ」のキーワードに焦点をあてた。また,論文を精査して,重複等を除いた6論文について,文献検討を行なった。その結果A【少数ゆえの悩み】B【人間関係の難しさ】C【ケア範囲が制限】という後ろ向きな3要因へとまとめることができた。しかし,看護職場D【女性職場文化による馴染み難さ】が根底にあった。  一方で,負を押し返す「前向きな」要因E【キャリアアップへの期待】F【指導者と患者からの期待】など,男性特有の期待要因が備わっていたことが,明らかとなった。
  • ―卒業生へのアンケート調査を通して―
    長田 律子
    2019 年 21 巻 p. 57-66
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/04
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では,福祉系学科と医療系学科で連携教育を実施している福祉医療系専門学校の卒業生が,連携教育の成果をどのように実感しているか明らかにし,改善すべき課題を探ることを目的とした。連携教育を実施している福祉医療系専門学校の卒業生183名に自己記入式質問紙によるアンケート調査を実施したところ,回答数は41名,回答回収率は22.4%であった。 卒業生は継続的な他職種の教員による授業と演習の学習効果によって「介護職」「看護職」「理学療法士」「作業療法士」についての仕事内容や専門性が理解できるとの結果が得られた。しかし合同症例検討会については半数以上が印象に残っておらず,合同症例検討会の実施時期や期間,運営方法等の課題が明らかになった。さらに連携教育が実践に影響していると回答したのは12%であったが,回答者の約60%が現状の専門学校で受けた連携教育に対し改善点を述べていた。改善することで連携教育は卒業後の実践に影響を与えると卒業生は考えていることが示唆された。
  • 長田 律子, 岡本 祐佳里, 三井 京香
    2019 年 21 巻 p. 67-78
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/04
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では老年看護学実践実習Ⅱの履修を行った4年次生72名の「学びのレポート」を対象に計量テキスト分析「KH coder」を行い,高齢者施設における実習の学びを明らかにした。その結果学びのレポートは,【機能の低下と維持を考える】,【食事動作の分析と介助方法の工夫】,【看護の実際や看護師の役割】,【高齢者の障害や症状と施設での生活】,【他の利用者との会話や存在】【高齢者の笑顔や様子】,【高齢者施設における実習の学び】,【高齢者の活動と気分転換】,の8グループによって構成されていた。学生は高齢者の機能低下による生活障害や残存機能の維持に必要な看護,施設看護の実際や看護師の役割,高齢者や家族の思いを理解し,関わる大切さを学んでいた。また対応分析による特徴語から,施設で働く人々が,高齢者を介護事故から守り,安全でその人らしく生きる環境を提供する大切さを実習の特徴として学んでいることが明らかになった。今後の課題として,施設で生活する高齢者の個々の老化の違いを学ぶ環境や高齢者施設における死生観の重要性を学ぶ環境を作る必要性が示唆された。
  • 西山 円, 福岡 珠美, 城内 貴代美
    2019 年 21 巻 p. 79-86
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/04
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    インシデントレポートに対して,医療過誤や再発防止対策として近年看護において重視されている。人は,避けたいことではあるが誰もが業務中ヒヤリハットやインシデントを起こすことはある。その時に,業務内容に問題はなかったか何故そうなったのかなどの原因を追求し分析をして再発予防に努める。そのことを学生の教育を強化するために,まず学生の意識調査を行い,心理状況を把握して効果的にインシデントレポートについて学ばしたいと考えて,紙面でのアンケート調査を行った。その結果,インシデントやヒヤリハットの情報を収集し,分析することは,潜在的なリスクを把握し,医療事故の発生を未然に防ぐために重要であり,教員と学生がともに情報共有し対策を考えることが,実習中の学生による医療事故の危険性に対する意識を高め,その予測,対策立案の機会となることを周知する必要がある。インシデント検討時は当事者だけを対象とせず,取り巻く環境や人々,体制に関することまで視野を広げて,感情的にならずに論理的・客観的に検討することが重要である。そのことで当事者である学生の罰を受けているという感情ではなく実習における学習の一環であるという認識を持つことに繋がる。肯定的なイメージを持つことにより,レポートが学生の実習を安全に遂行する上で大切な情報共有のツールであり,危険予知し回避できる能力を養い再発防止に向けて取り組めるように意識づけを強化していくことが求められる。
  • 八木 一成
    2019 年 21 巻 p. 87-92
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/04
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    世界的にオーガニック市場が拡大する中で,その影響を受けて日本においても大手スーパーがオーガニック製品の取り扱いを増やすなどの傾向が見られる。日本の農業は慣行農法に利用されてきた化学肥料や人工的な農薬に加え,AIを利用した規模拡大や省力化の流れがある一方で,農業の根底にある精神に着目し,有機農業の視点から農業を見直す動きもある。本稿では2017年12月に開催された第18回日本有機農業学会大会で議論された内容とNPO法人伊賀有機農産供給センターの活動内容から農業の本質についての再検証を行った。また,有機農業が健全に拡大発展するために何が必要であるのかを検討した。
  • ―保育所保育指針改定の議論をてがかりに―
    山本 由紀子
    2019 年 21 巻 p. 93-102
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/04
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本稿ではまず,「子育ての社会化」の必要性に基づいて,保育所が「保育に欠けない」地域の子育て家庭の児童と保護者にその機能が活用されてきたことを確認した。そのうえで,今後の保育所における地域の子育て家庭への支援のあり方を検討することを目的として,保育所保育指針第4次改定時の議論を読み解くことを試みた。結果として,保育所が行う地域子育て支援が「焦点化」され「限定」されていく中で,保護者の養育力の向上あるいは発揮を対象とした「支援」が主たる方法として選択され,家庭養育の「補完」は後退していく傾向が示唆された。そして,地域における子育て家庭への支援の必要性を社会構造の変化の帰結であるととらえるならば,保護者の養育力を対象とした「支援」を重視する一方で,「補完」の機能についても,再びその重要性を位置づけていく必要があることを考察した。
  • 吉岡 由喜子, 金木 美保, 平良 朝子, 石橋 佳子
    2019 年 21 巻 p. 103-110
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/04
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    卒後3年目,4年目の看護師の困難感がある割合は卒後5年目までの平均と比較すると多くはなかった。一方で困難を感じている看護師の「何があれば困難を乗り越えられそうか」の問いの回答数は他の卒後年数のものと比較して多かった。このことから困難を感じている看護師と感じていない看護師について困難を感じている(いない)理由,困難への対応について比較,検討を行った。結果,この時期は仕事の量・質の変化があり,それが【不安】や【負担】に繋がっている可能性や「困難感有り」の看護師も困難軽減の対応を行っていることがわかった。しかし,周囲の支援の差や個人の動機づけの差もあり,困難を感じている看護師と感じていない看護師の差が大きくなりやすい可能性が示唆された。
  • ―教育と平和の友好交流―
    寺田 治史
    2019 年 21 巻 p. 111-122
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/04
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    「デンマークと日本の人間教育」と題する本論文も今回で6回目となった。 第1回から一貫して取り上げてきたのは,池田とヘニングセンによる対談集「明日をつくる“教育の聖業”」(以後,「対談集」と略記)についてであった。 第5回目では,池田を人生の師匠と仰ぎ,ヘニングセンを学問の恩師と慕う神尾のデンマークでの青年時代を,彼の自叙伝を元に綴ってみた。 本稿でも,その続編を書く予定であったが,自叙伝という性格から論文には馴染まないところもあるため,続きは彼の回顧録集に譲ることにした。 したがって,本稿ではデンマークSGIとアスコー校を舞台として,神尾が繰り広げてきた知られざる「教育と平和の友好交流」の経過について,書き遺しておくことにする。  「人間教育はカリキュラムでするものではなく教育者の人格でするもの」とのヘニングセンの言葉が思い起こされる。1) 神尾の行動を振り返ってみると,緻密な計画性は薄いが,思い込んだら即実行に移す行動力に優れた人物であると筆者は見ている。つまり,神尾にとっての人間教育の行動は,用意されたカリキュラムに則ったものではなく,コルがそうであったように,民衆の幸福を第一に考える師匠,池田やグルントヴィの教えに忠実な彼の純粋な性格から生まれたものと考えられる。 その彼に思想上の大きな影響を与えた人物が池田であり,ヘニングセンであったと言えよう。 本稿は,それらの具体的行動の足跡と今後の発展性について考えようとするものである。
  • ―サンデルによる『ハーバード白熱教室』に関して―
    中塚 健一
    2019 年 21 巻 p. 123-128
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/04
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    筆者は保育士・教員養成課程の講義の中で,サンデル米ハーバード大学教授による『ハーバード白熱教室』のVTRを視聴させることがある。一方で,教育哲学者の宇佐美寛らが,サンデルの対話型講義形式への痛烈な批判を行っている。本稿は,サンデルの講義のVTRを講義に活用している筆者の側からの弁明と,宇佐美らの批判に対する若干の反論を目的とする。
  • ~保育園児の朝食と排便の調査~
    井野 よし子, 吉松 将輝
    2019 年 21 巻 p. 129-131
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/04
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    学外組織連携型PBLの一環として,幼児の朝食と排便について調べ生活状況の把握に寄与することを目的とする。保育園の保育者の協力の基に,調査用紙を作成し,年長児22名に1ヶ月間,毎日の朝食と排便を記入。内容は,①朝食を食べた,食べていない,②朝うんちが出た,出ていない,③うんちの種類(軟便・固い便・普通便)に分け,シールで分類。結果,休日明けの月曜日は朝食を食べていない子どもの割合が79.5%で,他の曜日と比較すると半数以上を示している。排便に関しては,曜日にかかわらず朝食を取っている子どもと朝食を取っていない子どもとの差異がはっきり見られなかった。今後の課題は,朝食を食べることによって,排便のリズムが作られるといった理想的な朝食と排便の関係を解明するには,個々の子どもの背景となる家庭環境など生活全般を追跡調査し,一人ひとりの生活改善に繋げていくことが求められる。
  • ―テキストマイニングを用いて―
    村田 史之
    2019 年 21 巻 p. 133-138
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/04
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    2018年に多数発出された高等教育関係の文書から,「今後の高等教育の将来像の提示に向けた 中間まとめ」と「2040 年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申) 」を取り上げ,文書の構造,内容,テキストマイニングを用いた分析と比較を予察的に実施した。
  • 佐々木 豊
    2019 年 21 巻 p. 139-146
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/04
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    筆者は四半世紀に亘って,ささやかな詩の会を主宰してきた。この間に,詩の会でお話を伺った詩人・表現者は延べ100人を超える。詩の会で会った表現者・実践者から直接伺った子ども,ことば,こころについて学んだことの一つの報告である。
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