十二指腸乳頭部癌の肉眼型と深達度・進展様式との関連性を明らかにする目的で,26例(男15例,女11例,平均61歳)について検討した.肉眼型別頻度は,露出腫瘤型が最も多く17例(65.4%)を占め,次いで潰瘍形成群5例(19.2%),非露出腫瘤型3例(11.5%),ポリープ型1例(3.8%)に認められた.露出腫瘤型を,さらに非びらん亜型,びらん亜型および開口部拡大亜型に分けると,それぞれ3例(11.5%),10例(38.5%),4例(15.4%)であった.乳頭部癌のOddi筋を越える浸潤は,26例中20例(76.9%)であり,非露出腫瘤型,潰瘍形成群,びらん亜型の全症例に,また開口部拡大亜型では4例中2例に認められた.ポリープ型および非びらん亜型では,いずれもOddi筋内にとどまっていた.リンパ節転移は26例中7例(26.9%)にみられ,非露出腫瘤型33.3%,潰瘍形成群40.0%,びらん亜型40.0%であった.ポリープ型,非びらん亜型,および開口部拡大亜型には,リンパ節転移は認められなかった.膵管なしい胆管の上皮内進展は,いずれの肉眼型にも認められた.以上より,乳頭部癌は十二指腸粘膜面の肉眼型から深達度の推測が可能であった.
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