胆道
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12 巻, 2 号
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  • 木下 壽文, 中山 和道, 今山 裕康, 蓮田 啓, 奥田 康司
    1998 年 12 巻 2 号 p. 143-148
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    中部胆管癌の根治術式としては膵頭十二指腸切除術が基本術式であるが,胆管切除術でも長期生存例がみられる.今回は中部胆管癌に対する胆管切除術の適応について検討した.胆管切除術の非治癒切除因子はhw因子:61.5%,dw因子:76.9%,ew因子:69.2%,n因子:30.8%で,dw因子が最も多く,n因子も高率であった.根治度別累積生存率では治癒切除と非治癒切除との間に有意差を認めた.3年以上の長期生存例は7例で,肉眼型は乳頭型:1例,乳頭浸潤型:2例,結節型:3例,特殊型:1例で,全例治癒切除であった.累積生存率を胆管切除術と膵頭十二指腸切除術とを比較すると有意差はなかった.胆管切除術の適応は肉眼型は乳頭型,結節型でリンパ節転移がなくStage I症例で,特に高齢者や全身状態不良例には有用な術式と考えられる.
  • 大高 雅彦, 須田 耕一, 信川 文誠, 平井 周
    1998 年 12 巻 2 号 p. 149-156
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    十二指腸乳頭部癌の肉眼型と深達度・進展様式との関連性を明らかにする目的で,26例(男15例,女11例,平均61歳)について検討した.肉眼型別頻度は,露出腫瘤型が最も多く17例(65.4%)を占め,次いで潰瘍形成群5例(19.2%),非露出腫瘤型3例(11.5%),ポリープ型1例(3.8%)に認められた.露出腫瘤型を,さらに非びらん亜型,びらん亜型および開口部拡大亜型に分けると,それぞれ3例(11.5%),10例(38.5%),4例(15.4%)であった.乳頭部癌のOddi筋を越える浸潤は,26例中20例(76.9%)であり,非露出腫瘤型,潰瘍形成群,びらん亜型の全症例に,また開口部拡大亜型では4例中2例に認められた.ポリープ型および非びらん亜型では,いずれもOddi筋内にとどまっていた.リンパ節転移は26例中7例(26.9%)にみられ,非露出腫瘤型33.3%,潰瘍形成群40.0%,びらん亜型40.0%であった.ポリープ型,非びらん亜型,および開口部拡大亜型には,リンパ節転移は認められなかった.膵管なしい胆管の上皮内進展は,いずれの肉眼型にも認められた.以上より,乳頭部癌は十二指腸粘膜面の肉眼型から深達度の推測が可能であった.
  • 中澤 俊郎, 能澤 明宏, 武井 伸一, 小林 勲
    1998 年 12 巻 2 号 p. 157-163
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    80歳以上の高齢者19例の胆道狭窄に対し,Expandable Metallic Stent(EMS)を留置後,EMSの開存性維持のための抗癌療法を併用せず早期に在宅療養に移行し,EMSの開存期間および生存期間などに関して検討を加えた.EMSの留置は18例94.7%において成功し,留置に伴う重篤な合併症は認められなかった.外瘻チューブの抜去は15例78.9%に可能であり,いずれも在宅療養に移行できた.15例におけるEMSの累積開存率は6カ月で50.9%,12カ月で10.9%であり,5例に死亡時までEMSの開存が認められた.また,19例全体の累積生存率は6カ月で56.7%,12カ月で26.4%であった.さらに,生存期間とPSの関連を検討すると,PS-3群にはEMS留置後60日以内の早期死亡例が4例存在し,その死因には原疾患との関連のない他病死が2例含まれた.以上の結果より,高齢者においても,EMS留置の安全性および有用性が確認されたが,その適応決定には原疾患の病態のみならず,全身状態の評緬に慎重になる必要があるものと思われた.
  • 原 均, 磯崎 博司, 森田 真照, 石橋 孝嗣, 仁木 正己, 左古 昌蔵, 大谷 昌裕, 谷川 允彦
    1998 年 12 巻 2 号 p. 164-170
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    十二指腸乳頭部癌切除例のリンパ節転移状況を検索し,局所進展度に応じた適切なリンパ節郭清につき検討した.
    術後病理組織学的検査が十分であった29例を検索対象とした.対象を早期癌8例(癌浸潤がOddi筋にとどまるもの),準早期癌6例(癌浸潤がOddi筋を越えるが膵実質に浸潤なし),進行癌15例(癌浸潤が膵実質におよぶもの)に分類し,リンパ節転移状況を検討した.
    リンパ節転移は11例(37.9%)に認め,早期癌1例(12.5%),準早期癌2例(33.3%),進行癌8例(53.3%)であった.早期癌,準早期癌のリンパ節転移部位は第1群のリンパ節転移までであったが,進行癌は第1群2例,第2群2例,第3群4例であった.さらに進行癌においてproliferating cell nuclear antigen labelling index(PCNAL.I.)高率群は大動脈周囲リンパ節(No.16b1 interaorticocaval)転移を認めた.十二指腸乳頭部癌の局所進展度に応じたリンパ節郭清は,早期癌がD1,準早期癌がD2を,進行癌がD3を,進行癌のうちPCNAL.I.高率群は大動脈周囲リンパ節郭清をすべきと考えられた.
  • 牛窪 利明
    1998 年 12 巻 2 号 p. 171-177
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    総胆管結石20例に,亜硝酸剤併用下内視鏡的乳頭バルーン拡張術を施行し,内視鏡的乳頭括約筋切開術で治療した総胆管結石14例と治療効果・合併症につき比較検討した.両群間に,結石の個数と径,採石成功率に差はなかった.亜硝酸剤併用下内視鏡的乳頭バルーン拡張術群1例に,術中一過性の血圧低下を認めたが治療に支障はなく,また,同群1例に内視鏡的乳頭括約筋切開術を追加した.術後血清アミラーゼの上昇は,亜硝酸剤併用下内視鏡的乳頭バルーン拡張術群の方が,内視鏡的乳頭括約筋切開術群に比べて,有意に低く抑えられた.亜硝酸剤併用下内視鏡的乳頭バルーン拡張術群の胆嚢結石を合併した11例は,胆嚢摘出術をせずに最長2年間の経過観察中,1例も急性胆嚢炎を発症しなかった.直径10mm前後の総胆管結石に対する亜硝酸剤併用下内視鏡的乳頭バルーン拡張術は,内視鏡的乳頭括約筋切開術同様,安全で,しかも乳頭機能温存の期待できる治療法と考えられた.
  • 下田 貢, 多賀谷 信美, 門脇 淳, 小暮 洋暉
    1998 年 12 巻 2 号 p. 178-182
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    1994年2月から1997年12月まで,当教室と関連施設で経験した胆道系悪性腫瘍の内,手術不能悪性胆道閉鎖症例14例に対し18回のExpandable metallic stent(以下,EMS)を用いた経皮経肝胆道内瘻術を経験した.内訳は,膵頭部癌4例,肝門部胆管癌2例,胆管癌3例,乳頭部癌1例,直腸癌の肝十二指腸リンパ節転移による胆管閉塞1例,胃癌の肝門部リンパ節転移による胆管閉塞1例,胆嚢癌1例,膵頭部癌の疑い1例であった.stentの種類は,Wallstent 8例,Accuflex 10例(内,1例は両方を使用した)であった.平均生存期間は198.1日であった.11例(79%)で外瘻チューブの抜去ができ,9例(82%)が退院可能であった.急性閉塞を1例に認め,チューブ内瘻を施行した.再黄疸を来したのは2例(14%)で2例ともに在院死した.stentの再閉塞は認めていない.EMSは患者のQOL改善に有効な治療法と考えられた.
  • 自験例と本邦集計54例の検討
    諏訪 敏一, 木村 文夫, 兼子 耕
    1998 年 12 巻 2 号 p. 183-189
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は55歳,女性.34歳のとき他院で胆摘術をうけ,43歳(1985年),全身掻痒感と褐色尿が出現し閉塞性黄疸の診断で経皮経肝胆管ドレナージ( P T C D ) を施行された.胆道造影で肝門部の胆管は広範囲に狭窄し,左肝内胆管も全体に硬化,狭窄していた.左右肝管合流部から総肝管にかけて同様の所見がみられたが,総胆管は正常であった.胆管造影像所見から原発性硬化性胆管炎を疑った.外来通院でカテーテル管理を行い,約10年間,肝機能の増悪なく経過した.1997年4月頃より発熱,黄疸が出現し,6月に化膿性胆管炎,肝膿瘍で死亡した.剖検で左右肝管合流部を中心に胆管壁の肥厚と胆管内腔への不整形の突出がみられ,病理組織学的に断端神経腫であった.検索しえた本邦報告54例中にこのような広範囲に多発した症例はみられず,本症例は病変の確定診断,進展様式,また手術不能時の胆道ドレナージ方法の適応と限界の上からも興味ある症例と考えられた.
  • 小西 一朗, 上田 順彦, 広野 禎介
    1998 年 12 巻 2 号 p. 190-195
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    経皮経肝的胆道ドレナージ(PTCD)を併用し,保存的治療により3年3カ月経過観察中の原発性硬化性胆管炎(PSC)の1例を経験し,直接胆道造影像の経時的変化を中心に報告した.症例は67歳,男性.黄疸を主訴に入院した.腹部超音波検査で,総肝管を中心に層構造を伴う胆管壁肥厚と内腔の狭窄を認めた.PTCD下直接胆道造影では,左右の肝管から中部胆管にかけての不整狭窄像を認めた.5回の胆汁細胞診では,悪性細胞は認められなかった.黄疸の消失とともに胆管の不整狭窄像は改善し,6カ月後にPTCDチューブを抜去した.内服治療薬として,Ursodeoxycholic acid,プレドニゾロンを投与した.初回治療から3年3カ月後の直接胆道造影では,胆管の不整狭窄像は全く認められなかった.PSCは胆管癌を合併することが多く,引き続き経過観察中である.
  • 糸井 隆夫, 武井 和夫, 篠原 靖, 武田 一弥, 中村 和人, 真田 淳, 堀部 俊哉, 斎藤 利彦
    1998 年 12 巻 2 号 p. 196-203
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    膵・胆管合流異常(以下,合流異常)を合併した,胆嚢adenomyomatosis(以下,ADM)の1例を経験した.症例は33歳,女性.右季肋部痛を主訴に当科受診.各種画像検査により合流異常を伴った胆嚢ADMと診断され,外科切除が施行された.病理組織学的に,体部から底部の肥厚と増生したRokitanski-Aschoff-sinusを認め,胆嚢ADMと診断された.さらに,本症例における合流異常と胆嚢ADMの因果関係を,組織学的観点から検討した.合流異常を合併した胆嚢ADMの成因として,胆嚢内圧の上昇説や慢性炎症刺激説が挙げられるが,本症例においては,これらの説を裏付ける組織および細胞増殖能の点から明確な証拠は得られなかった.
  • 藤本 武利
    1998 年 12 巻 2 号 p. 204-206
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
  • 大元 謙治, 清水 道生
    1998 年 12 巻 2 号 p. 207-208
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
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